富士フイルムHD:医療の利益率15%に-富山化シナジーで10年後(2)

富士フイルムホールディングスは、成長 分野と位置付ける医療事業の営業利益率を10年後に15%程度まで引き上げる 方針だ。インフルエンザ薬などを開発中で3月に子会社化した富山化学工業の 収益が、富士フイルムの資金力や技術力によるシナジー(相乗)効果を背景に 本格的に貢献すると見込んでいる。現在の同利益率は12%程度とみられる。

古森重隆社長はブルームバーグ・テレビジョンのインタビューで、営業利 益率は研究開発負担もあり20%を超える上位製薬会社には及ばないものの、 「医療全体で15%はいくようにしたい」と語った。医療の利益率は公表してい ないが、前期(2008年3月期)は医療を含むインフォメーション部門の利益率 の12%と同程度という。

富士フイルムは、創業事業の写真フィルムの連結売上高に占める割合が前 期に3%まで低下。生産体制の再編や人員削減などの改革を進め、写真関連事 業は4期連続の赤字。今後は医療や複合機、液晶材料、印刷、光学デバイスな どを成長の柱と位置付けている。富山化学の前期利益率は3.5%で、同業他社 20社の利益率中央値約11%より大幅に低く、向上が課題だ。

古森氏によると、大型薬開発には10年で1000億円の費用が必要とも言わ れ、売上高が前期270億円の富山化学には負担が重く、権利を途中で譲渡する ケースもあった。古森氏は富士フイルムには「耐える力がある。資金力があ る」と述べ、今後は最終製品化まで投資を継続し、収益に結び付けられると語 った。技術面では、写真用フィルムで培った超微粒子化やそれを保護する技術 が新薬にも役立つという。

JPモルガン証券の森山久史シニアアナリストは、富山化学は資金不足か ら、これまで導出(開発や販売権の使用許諾の供与)における交渉などで不利 な立場にあったが、「富士フイルムの資金が入ることで導出のタイミングをコ ントロールできるようになり、価値の最大化を狙える」とみている。古森氏の インタビューは16日に収録した。

「2、3年で新薬2つ、3つ」

富士フイルムの医療事業の前期売上高は「診断」「予防」分野を中心に 2900億円。富山化学の収益への本格貢献は2010年以降となるが、10年後の18 年ごろには「治療」も加えた3分野で1兆円の売り上げを見込み、うち富山化 学は新薬の世界販売などで「3000億円程度は作りたい」という。

富山化学はインフルエンザ治療薬「T-705」やアルツハイマー病治療 薬「T-817」などを開発中。古森氏は新薬候補の中から「2、3年で2つ か3つぐらいは市場に出せるだろう」と述べた。医薬事業は「需要が大きく収 益性も高い。技術、効能で勝負という世界で、価格競争ではない」と説明。 「世界で困っている人の役に立つと思うと経営者として冥利(みょうり)に尽 きる。社会に貢献することで収益は付いてくる」と述べた。

今後の合併・買収(M&A)については「うちに足りないものは何か、M &Aは絶えず考えている」という。新規事業も10年単位で考えれば「2つぐ らいの新しい候補がある」と述べたが、具体的には言及しなかった。

富士フイルムホールディングスの株価は前週末比30円(0.8%)安の3750 円(午後1時18分)。

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