【来週の日本株】戻り高値へ、持たざるリスク意識-円と原油高は警戒

5月最終週となる来週(26-30日)の東京 株式相場は、米国経済の動向をにらみつつ、日経平均株価は16日に付けた戻り 高値(1万4392円)を更新しそうだ。3月安値からの戻りが速く、海外投資家 や個人投資家の間でこれまでの「日本株総悲観」が見直されている。ただ、連動 性を高めているドル・円相場が円高に振れたり、原油価格がさらに高値を更新す る可能性もあり、上昇は小幅にとどまるとみられる。

住信アセットマネジメントの三沢淳一執行役員兼株式運用部長は、「一巡し た企業の決算発表は今期見通しが当初予想ほど落ち込まず、安心感がある。海外 を見ると、原油高騰によるインフレ懸念が広がっているが、世界経済が底堅く推 移するとのシナリオに変化はなく、グローバルに展開する企業などに注目した い」と話す。

今週の日本株は、原油価格が最高値を更新したことを受けて、石油や鉱業と いった資源関連株に資金が向かう一方、原油高がコスト高につながる海運や、小 売や不動産、銀行といった内需関連業種が売られた。日経平均の週間騰落率はマ イナス1.5%、TOPIXは1.4%下落した。

海外勢買い流入で底堅さ確認

経済成長が低く昨年のパフォーマンスが芳しくなかった日本株は、海外投資 家の間で不人気。多くは日本株の比率をアンダーウエートとしている。ところが、 世界の株式市場が3月17日の急落を底に反発する局面で、相対的に良好なパフ ォーマンスを記録。日本株を持たざるリスクが意識されている。丸和証券の小林 治重・調査情報部長によれば、「最近、海外勢の日本株ウエート引き上げによる とみられる現物株のバスケット買いが入っている。こうした買いで、相場の下値 は固まったとの認識が広がった」という。

東京証券取引所の発表によると、海外投資家は5月第3週(12-16日)に 東京・大阪・名古屋の3市場1、2部で4233億円を買い越した。買い越しは7 週連続で、額は今年最高だ。海外勢が日本株を急ピッチで買い進んでいることが うかがえる。日経平均は22日の取引で、25日移動平均線(1万3805円)を下 回ったところですかさず買いが入り、急速に切り返した。「3月安値が今年の安 値との確証が生まれた。これは安心感を呼び、効果は大きい」と、三菱UFJ証 券の投資情報部の山岸永幸部長代理は指摘している。

割安感後退とインフレ懸念が重し

ただ、一本調子の上昇は難しそうだ。東証1部の予想PER(株価収益率) は17倍。13倍台だった3月17日と比べ、株価の割安感は薄れてきた。「高成 長国のインドを抜いてさらに上がっていくとは考えにくい。1万4000円台後半 が当面の上値めど」と、丸和証の小林氏は見ている。決算発表が一巡し、新たな 買い材料に乏しいことも、上値を抑える要因。

また、投機資金の流入で火がついたように高騰を続ける原油価格も懸念材料 だ。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場7月限は22日、1 バレル=135.09ドルと、1983年の取引開始以来の最高値を付けた。米エネルギ ー省が21日に発表した先週の原油在庫は532万バレル減の3億2040万バレルと、 過去4カ月で最大の落ち込みを示し、需給ひっ迫への警戒は続く。クレディ・ス イス証券の市川真一ストラテジストによると、コモディティ価格の高騰は一時的 な投機資金の流入だけでなく、「ファンダメンタルズを背景としたものである可 能性が高い。長期にわたり上昇が続き、世界経済のルールが物価安定から物価上 昇へとシフトしつつある」という。

くすぶる米住宅問題

米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題は峠を越えたが、 住宅価格の下落が続き、解決にはまだ時間を要するとの見方が大勢だ。国際投信 投資顧問の荒武秀至経済調査部長は、主要先進国の住宅ローンが拡大しているこ とから、住宅バブルを引き起こした可能性を指摘。住宅価格の下落傾向が株式市 場にまで波及する「『負のスパイラル』になるか、が警戒される。住宅価格の下 落が止まることが重要」との見解だ。

こうした中で来週は、米国で27日に4月の新築住宅販売が発表される。前 月まで5カ月連続で減少しており、さらに減る可能性もある。一方、国内では 30日に4月の鉱工業生産速報や全国消費者物価指数、新設住宅着工戸数、家計 調査、完全失業率などの発表が集中する。

21日公表の4月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、米景気減 速のリスクとインフレ加速のリスクが一段ときっ抗してきたため、メンバーの大 半が利下げは「ぎりぎりの判断」と認識していたことが分かった。このため市場 では、「利下げ期待がなくなった。悪い指標が出ても利下げできないとなれば、 株価に下げ圧力がかかるだろう」(東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部 長)との警戒も浮上しつつある。

注目される投資対象としては、原油価格高騰を踏まえ、石油関連や商社など 「資源関連株を下がった場面で拾いたい。まだPERが低い商社は買いやすい」 (隅谷氏)との声が出ている。また、代替エネルギーの需要増加が予想され、東 芝や日本製鋼所など原子力発電所など関連企業の動向も注視されるところだ。

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