東京外為:ドル小動き、米インフレ加速の影響見極め-原油先高を警戒

東京外国為替市場ではドル・円相場が1ド ル=104円台前半を中心に小幅な値動きに終始した。原油相場の反落を受けた米 株上昇を背景にリスク回避姿勢が緩和するなか、日本株の底堅い推移も相まっ てドル売り・円買いが鈍化。ただ、原油相場が再び騰勢を強める公算も残るこ とから、米国のスタグフレーション(景気減速下の物価上昇)懸念はくすぶっ ており、ドルの上値は抑えられた。

みずほコーポレート銀行国際為替部の加藤倫義参事役は、米金融当局と市 場関係者は、米国の経済についてインフレと成長鈍化のどちらを重視すべきか が定まっていない感があり、しばらくは指標内容を見極めたいとの姿勢から、 トレンドが出にくくなっていると指摘。そうしたなか、ドル・円相場は「105円 台から106円台にかけては国内輸出企業のドル売りが大量に並んでおり、なか なかそれより上にドルを買い進めていく材料も見当たらない一方、指標内容が 強弱まちまちの中でドル売りの決め手にも欠く状況になっている」と説明する。

インフレの影響を見極め

21日に公表された4月末開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事 録では、リスクとインフレ加速のリスクが一段と拮抗(きっこう)してきたた め、メンバーの大半が利下げは「ぎりぎりの判断」と認識していたことが明ら かとなった。

市場では、原油相場の高止まりを背景にインフレ警戒感が高まるなか、前 日に発表された米国の雇用関連指数が強含みとなったことで、足元では利上げ 観測が強まっており、ドルを下支えする格好となっている。

一方、インフレの加速が個人消費を圧迫する可能性も警戒され、景気の先 行き不透明感が強まっている面もある。物価上昇の影響については、「金利先 高期待を背景としたドル買いか、景気への悪影響を警戒したドル売りか、市場 は方向性を決めかねている」(中央三井信託銀行総合資金部・北倉克憲主席調 査役)。

そうしたなか、この日の米国時間には4月の中古住宅販売件数が発表され る。前日に米連邦住宅公社監督局(OFHEO)が発表した統計によると、1 -3月の一戸建て中古住宅価格は前年同期比で3.1%低下。中古住宅販売件数で あらためて住宅市場の低迷が確認された場合は、サブプライム(信用力の低い 個人向け)住宅ローン問題の影響が残るなか、インフレ懸念も相まって景気減 速の深刻化が浮き彫りとなり、ドルの下押し圧力につながる可能性がある。

原油や株価動向にらみの展開

半面、前日は原油先物が最高値更新後に反落して取引を終了。また、17日 までの1週間の米新規失業保険申請件数(季節調整済み)が市場の予想外に前 週から減少し、景気の先行き不透明感が和らぐ格好となった。

このため、米国株式相場は3日ぶりに上昇し、株価の予想変動率の指標で あるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX指 数)は18.05と、9日以来の高水準を付けた21日の18.59から低下した。

損失リスクを伴う投資先の代表格とされる株式への警戒感が和らぐと、外 為市場では、低金利の円から高金利通貨などに資金がシフトするリスク選好的 な動きが出やすくなる。海外市場のドル・円相場は一時104円39銭(ブルーム バーグ・データ参照、以下同じ)と、2日ぶりの水準までドル高・円安が進行 した。

この日の東京市場では、朝方の取引で103円96銭まで円が値を戻す場面が 見られたが、日経平均株価が節目の1万4000円台を回復して底堅い展開となっ たことから、104円25銭まで円が下押され、その後も104円台前半で推移した。 しかし、午後の取引で株価が伸び悩むと、ドル・円相場は午前に形成したレン ジ内でこう着した値動きに陥り、結局、日中の値幅は29銭にとどまった。

ユーロ・円相場も朝方は1ユーロ=163円57銭まで円が上昇したあと、163 円86銭まで軟化。その後は4月28日以来の円安値圏で小幅な値動きに終始し た。欧州時間に向けては163円46銭まで円が上昇している。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の清水昭男グループマネージャーは、「原 油の上昇に歯止めがかかって、株が安定すれば、ドルの底堅さにつながる」と いったシナリオも想定されるといい、引き続き原油と株価の動向がドル・円相 場に影響しやすい状況が続くとみている。

原油の先高警戒感根強い

そうしたなか、国際エネルギー機関(IEA)は世界の主要400油田の枯 渇率を調査した結果、原油供給の長期的見通しを下方修正する計画にある。今 回の油田調査の結果は11月12日に発表する「年次世界エネルギー見通し」に 盛り込まれるが、昨年の同見通しでは、2030年の供給量は日量1億1600万バレ ルが予想されていた。

22日の原油相場は反落したものの、引き続き高止まりの状況となっており、 需給環境の悪化が確認されれば、再び騰勢を強める可能性が警戒される。

ユーロ・ドル相場は前日の取引で一時1ユーロ=1.5814ドルと、4月24日 以来の水準までユーロ高・ドル安が進行。その後は1.5693ドルまでドルが値を 戻したものの、この日の東京市場では再び1.57ドル台前半に軟化して推移した。 欧州時間に向けては一時、1.5697ドルをつけた。

三菱UFJ信託銀の清水氏は「原油の高騰が継続していくと、株式市場の 下落につながり、ドル安が一段と進行する展開もあり得る」といい、市場には 警戒姿勢が残っている。

--共同取材:曽宮一恵 Editor:Tetsuzo Ushiroyama, Hidenori Yamanaka

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