外債投資家は原油150ドルを覚悟、インフレには不慣れ-バークレイズ

バークレイズ・キャピタル証券によると、 外国債券に投資する国内投資家は、最高値更新を続ける原油高を「投機」と判断 し、1バレル=150ドル程度までの高騰を覚悟している。ただ、米国のインフレ 加速に対する懸念は、約半年前と比べて小幅な増加にとどまる。飯田美奈子外債 ストラテジストは、「国内投資家は長年のデフレにより、本格的なインフレ懸念 には、なお不慣れだ」との見方を示した。

ニューヨーク原油先物相場は22日に一時、1バレル当たり135ドルを超え、 過去最高値を更新。約3週間で19%も上昇した。米国債10年物利回りは3.8% 前後で推移。インフレ連動米国債(TIPS)との利回り格差が示す米インフレ 率予想(ブレーク・イーブン・インフレ率、BEI)は2.58%台に上昇し、3 月13日以来の高水準となる場面があった。

同社の調査では、外債投資家の36%が、原油価格が今後150-159ドルまで 上昇すると予想。140-149ドルとの回答も32%を占めた。140ドル未満に収ま るとの見方は24%にとどまった。調査時点の原油相場は126ドル程度。原油高 の理由は「主に投機」との認識が44%、「需給要因と投機の両方」が40%だっ た。飯田氏は22日のインタビューで、「投資家は投機による一段の原油高を覚 悟する半面、持続性には疑問を抱いている」と指摘した。

米インフレ懸念、高まらず

原油高が加速するとの見方が大半を占める一方、米国のインフレが悪化する との懸念は、比較的小幅な増加にとどまった。「非常に」懸念するとの回答は 12%。原油価格が90ドル前後で推移していた2007年11月の調査では7.7%だ った。高橋祥夫チーフ外債ストラテジストは調査結果をまとめたリポートで、 「最近の原油高で投資家のインフレ懸念が大きく強まったとは判断されない」と の見方を示した。

インフレの加速は、受け取る金利の実質的な価値を低下させるため、債券の 売り材料とされる。ただ、エネルギー価格の上昇は個人消費に打撃を与え、経済 成長を抑制することから、買い材料とされる場合もある。日本の投資家による米 国債保有額は、外国勢の中で最大の6007億ドル。2位は中国で4906億ドルだ。

国内の外債投資家の間で米インフレ加速に対する懸念が限定的な背景として、 飯田氏は「インフレに対する日本人の実感の乏しさ」を挙げる。長年にわたって デフレを経験したため、国内外で生活必需品などが値上がりしても「懸念しなく てはならないほどのインフレなのか、肌で感じられない」と分析。日本の消費者 物価指数(CPI)に占める「エネルギー分野の構成比が米国よりかなり低い」 点も、米インフレに対する感覚が鈍くなる一因だと話した。

円高予想が増加

バークレイズ・キャピタル証券は05年5月から毎週、米10年債利回りと円 相場、米欧国債のどちらが魅力的かの3点について、日本国内の主な外債投資家 を対象にアンケートを実施している。市場で関心が高いテーマに関する質問も設 定。今回は原油高について聞いた。

今週の調査では25社が回答。米10年債利回りが今後「上昇する」との回答 率から「低下する」を差し引いた見通しDIが、前週とほぼ同水準のマイナス 8%となった。円相場については、「円高」予想から「円安」を差し引いた見通 しDIが28%と、前週の7.7%から大幅に増加。約3カ月ぶりの高水準となった。 高橋氏は、前週末に一時1ドル=105円台まで円安・ドル高に振れたため、横ば い圏内での推移が続くと見る投資家が今週は円が反発すると予想したためと分析 した。

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