インフレ懸念で「駆け込み起債」、高格付け軸7000億円-金融不安も後退

国内社債市場が高格付けの大手企業を中 心とした起債ラッシュになっている。米サブプライム問題に端を発した市場混 乱が落ち着きを取り戻してきたところに、インフレ懸念による金利先高感が台 頭し、金利上昇前の駆け込み的な発行が相次いでいる。これまでの5月の発行 総額は前年実績の6600億円を上回る7050億円に達した。

5月中で23日までに発行したのは、東京電力(500億円)、関西電力 (300億円)、JR東海(300億円)、東京ガス(200億円)、三菱商事(500 億円)、新日本製鉄(600億円)、KDDI(700億円)、NTT(700億円) などいずれも日本を代表する名門企業。総額はサブプライム問題の顕在化前で 金利低下局面にあった昨年5月の発行額(22日まで)を既に超えた。

当面は「A格以上」が中心か

投資需要が旺盛だった大型連休明け後のタイミングで急速に金融不安が後 退して社債環境が落ち着いたところに今度は金利先高感が浮上し、低コストで の調達を目論む企業の発行を誘発したようだ。起債市場は米大手証券ベアー・ スターンズが実質破たんした3月中旬に国債+30bp程度まで拡大した電力10 年債のスプレッドは22日に起債の電源開発10年債で+20bpまで縮小した。

UBS証券クレジット調査の後藤文人部長は、「金融不安は相対的に後退 したが、投資家の信用リスクへの警戒感は完全に払しょくされておらず、当面 は信用力の高い企業中心の高水準の発行が続くだろう」という。近く東京電力、 NTTドコモ、NTT都市開発、新日本石油、エーザイ、東京急行電鉄、東海 ゴム工業、日新製鋼などA格以上の発行ラッシュとなる見通しだ。

一方で5月のBBB格級以下の起債は、日本板硝子債(200億円)、東武 鉄道債(100億円)の2銘柄にとどまっている。信用リスクの回復度合いは「現 状の発行市場はBBB格の社債を大量に吸収できる状態」(後藤氏)にまでは 至っていない。

10年国債は1.7%まで急上昇

社債発行条件決定の基準となる国内金利情勢は、3月下旬には1.26%まで 低下していた10年物国債の金利がインフレ懸念の台頭を背景に5月16日には

1.7%を上回る水準まで急上昇した。2カ月足らずでの上昇幅は45bp程度にも 上っている。

KDDI広報部の伊藤悟主任は、「金融不安が後退したことや、金利先高 観もあり、資金調達に踏み切った」と語った。電源開発の財務部担当者も、金 利動向を踏まえて起債したといい、将来の金利上昇に対する警戒感を示した。

販売もおおむね順調

金利上昇で高くなった表面利率や妥当なスプレッド水準が評価されて販売 も順調だ。特にNTT債は発行額700億円を上回る需要が集まるなど人気が高 かった。市場では、大型連休明け後に電力などの公益セクターが起債、それに 続いてKDDIのような優良事業会社が踏み切った一連の社債は、中央から地 方に至るまで幅広い投資家に販売できたという。

ただ、電力会社の社債については供給過剰と指摘する向きも多く、一部の 投資家の動きは徐々に鈍くなってきているという証券会社のシンジケーション 担当者の声もある。

Editor:Kazu Hirano, Takashi Ueno

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 上野 孝司 Takashi Ueno (813)3201-8696 tueno@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo(813)3201-3651 yokubo1@bloomberg.net Singapore Tony Jordan +65-6212-1150 or tjordan3@bloomberg.net

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