債券は大幅高、米債高や生産下振れで景気懸念-10年債1.6%割れ(終了)

債券相場は大幅高(利回りは低下)。前日 の米株安・債券高に加えて、3月の鉱工業生産が市場予想を下回り、景気懸念が 強まったことが支援材料となり、円債市場は買い優勢となった。新発10年債利 回りは節目の1.6%を割り込んだほか、先物中心限月は終値で136円台を回復し た。日本銀行は、政策金利の現状維持を全員一致で決定したが、市場では予想通 りと受け止められた。「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)も想定の範囲 内で意外感はないという。

三菱UFJ銀行円貨資金証券部副部長の峯島泰樹氏は、「これまでの売られ 過ぎの反動だろう。日銀の金融政策変更なしは予想通り。展望リポートも若干弱 くなるトーンで大きな材料にはならないのではないか」と述べた。

30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に関しては、「25ベーシスポイ ント(bp)の追加利下げが行われ、その後は様子見で、しばらく据え置きと予想 されている。米国市場がどう反応するかに注目」と説明した。

東京先物市場で中心限月6月物は、28日終値比40銭高の136円00銭で寄 り付いた後、上げ幅を縮小し、午前9時48分ごろに日中安値135円63銭まで値 を下げた。その後は買いが優勢となり、引け際に日中高値136円22銭まで上昇。 結局、55銭高の136円15銭で引けた。6月物の日中売買高は3兆9618億円と なった。

日経平均株価は反落。28日終値比44円38銭安の1万3849円99銭で取引 を終了した。

新発10年債は1.6%割れ

現物債市場で新発10年物の291回債利回りは、28日終値比0.5bp低い

1.615%で取引開始後、若干水準を切り上げ、1.62%をつけた。その後は徐々に 水準を切り下げ、午後2時59分ごろに4.5bp低い1.575%まで低下。25日以来 の1.6%割れとなった。午後3時58分ごろは4.5bp低い1.575%で推移している。

新発5年債利回りも25日以来の1.2%割れとなり、午後4時ごろは9.5bp 低い1.135%で推移している。

トヨタアセットマネジメントのチーフファンドマネジャーの深代潤氏は、 「前週の段階で、投げ売りを出す動きは一巡したようだ。米国のインフレ懸念や 日本の利下げ期待がなくなったので、金利が上昇したが、きょうの経済指標を見 ても景気減速を控えて、冷静になれば一段と金利が上昇する感じでもない」と指 摘。

その上で、「生産は基準改訂の影響もあり、2月分は悪くないとの見方だっ たが、3月は悪化を示し、トレンドとして良くなっていく感じではない。景気は 弱い状況が続きそう」と語った。

三井住友銀行チーフストラテジストの宇野大介氏も、「生産の数字が市場予 想より弱かったことで、景気が弱いということを一部の投資家に思い出させ、債 券買いを支えた。利上げはさすがにできないだろうとの見方から、利上げの憶測 も多少後退し、特に5年債などに買い戻しが入りやすい」と説明した。

ただ、「長いところは金利が上がるリスクをぬぐいきれないため、上値が重 い」ようだ。

鉱工業生産は市場予想を下回る

朝方発表された3月の鉱工業生産は、前月比3.1%低下となり、市場予想 (0.8%低下)を下回った。1-3月期は前期比0.6%低下と4四半期ぶりの低 下となった。

市場では、「当面、生産の下振れリスクは高く、4-6月期も2期連続で減 産となる可能性は十分にある」(リーマン・ブラザーズ証券チーフエコノミスト、 川﨑研一氏)、「4-6月期も小幅減産継続の可能性があることから、生産活動 は昨年10-12月期、ピンポイントでは2月でやはりいったんピークアウトした 公算がある」(モルガン・スタンレー証券チーフエコノミストの佐藤健裕氏)な どの声が聞かれた。

日銀金融政策決定会合、全員一致で現状維持決定

日銀は、金融政策決定会合で政策金利を「0.5%前後」に維持する方針を全 員一致で決めた。

また半年に1度の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を公表。実質 国内総生産(GDP)成長率の「政策委員見通しの中央値」は2008年度がプラ ス1.5%、09年度がプラス1.7%、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCP I)前年比上昇率の「中央値」は08年度がプラス1.1%、09年度がプラス

1.0%となった。

金融政策については、「現在のように不確実性が極めて高い状況のもとで、 先行きの金融政策運営について予め特定の方向性を持つことは適当ではない」と した上で、「この先、下振れリスクが薄れ、物価安定のもとでの持続的な成長を 続ける見通しのがい然性が高まるのか、あるいは下振れリスクが顕在化するがい 然性が高まるのか、よく見極めていく必要がある」との方針を示した。

三菱UFJ証券チーフ債券ストラテジストの石井純氏は、「金融政策運営に 関する表現上で、サプライズはなかった。コアCPI見通しは今年度・来年度と もに弊社予想よりもやや高い数字。上振れ・下振れ要因も、想定されていた内容 だった。金融政策については白川総裁が機動的にやっていくと発言していたこと に沿っている」と指摘。「これまで金利引き上げ、水準調整を打ち出していた表 現からトーンダウンし、サプライズはない。市場は、今年度後半に利上げを織り 込む形になっていたが、落ち着いてくるのではないか」と述べた。

市場では、「日銀は足元の景気減速に柔軟な姿勢を示した。当面は、金利の 正常化を休止するスタンスを明らかにした。しかし、2009年度までには経済が 緩やかな拡大基調に戻り、金利の正常化路線に戻る可能性が示唆された」(カリ ヨン証券チーフエコノミストの加藤進氏)との声も聞かれた。

加藤氏は、次の一手は利上げで、早ければ年末までには25bpの利上げが行 われると予想している。

白川日銀総裁、景気下振れリスクに最も注意

白川方明日銀総裁は、定例会見で、「海外経済や国際金融資本市場をめぐる 不確実性、エネルギー・原材料価格高の影響など景気の下振れリスクに最も注意 する必要がある」と発言。金融緩和の長期化がもたらすリスクについては、「以 前より低いが、引き続き存在する」と語った。

東海東京証券債券ディーリング部シニアリーダーの有麻智之氏によると、 「白川総裁の会見は、想定の範囲内。市場は、大きな期待をしていたのかもしれ ないが、展望リポートで経済成長率見通しもほぼ想定通り。表現も予想の範囲内 だった」という。

--共同取材:YUMI TESO、日高正裕 Editor:Hidenori Yamanaka,Norihiko Kosaka

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