日銀会合:現状維持、利下げ期待後退―日銀は当面中立スタンス

【記者:日高正裕】

4月30日(ブルームバーグ):日本銀行は30日午後、金融政策決定会合で 政策金利を「0.5%前後」に維持する方針を全員一致で決めた。日銀は同日午後、 半年に1度の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を公表し、2009年度 にかけての経済・物価情勢の見通しを示す。内外経済の先行き不透明感は依然と して強いが、株価の堅調などもあり利下げ観測はひとまず後退している。

日銀は9日公表した4月の金融経済月報で、景気は「エネルギー・原材料 価格高の影響などから減速している」として情勢判断を下方修正。先行きも「当 面減速が続くものの、その後緩やかな成長経路をたどると予想される」として、 前月の「拡大を続ける」という文言を削除して判断を引き下げた。日銀は30日 の決定会合でも同様の情勢判断を踏襲したもようだ。

金融政策運営については「経済・物価の見通しの蓋然(がいぜん)性と上 下両方向のリスク要因を丹念に点検し、それらに応じて適切に政策運営を行う」 (白川方明総裁の9日の会見)方針を確認。「国際金融資本世界経済の動向、エ ネルギー・原材料価格高の影響については引き続き注意する必要がある」(4月 の金融経済月報)との姿勢も維持したとみられる。

物価も上昇

日銀の利下げ期待はこのところ大幅に後退している。東短リサーチの加藤 出チーフエコノミストによると、28日時点のOIS(オーバーナイト・インデ ックス・スワップ)金利は09 年1月物が0.735%、同4月物が0.845%と、 「日銀が来年1月ころ0.25%利上げし、来春にかけて次の利上げの織り込みが 進んでいくような金利形成」となっており、5割以上の確率で「利下げ」が織り 込まれていた今年3月半ばとは様変わりとなっている。

その背景には株式市場の堅調と予想外に底堅い経済指標がある。日経平均 株価は3月17日に底(1万1787円51銭)を打った後、1万3000円台後半ま で戻している。5月中旬に発表される1-3月の実質GDP(国内総生産)成長 率も前期比年率2%近傍と、昨年10-12月(同3.5%)からは減速するものの、 外需の堅調や消費に支えられ、潜在成長率並みの成長が見込まれている。

物価面からも「金融緩和の可能性は後退しつつある」(ゴールドマン・サ ックス証券の山川哲史チーフエコノミスト)。3月の消費者物価指数(除く生鮮 食品、コアCPI)は前年同月比1.2%上昇と、消費税率が引き上げられた 1997年度を除くと93年8月以来14年半ぶりの高い伸びとなった。

白川総裁の誕生も影響か

利下げ観測の後退には白川総裁の誕生も幾ばくか影響しているようだ。大 和総研の田谷禎三特別理事は「日銀は白川総裁の下、これまでより明確な金利正 常化スタンスが基本になるのではないか」とみる。モルガン・スタンレー証券の 佐藤健裕チーフエコノミストは利下げ予想を取り下げてはないが、「総裁指名プ ロセスが政争により意外な展開をたどった結果、予防的利下げの蓋然性は後退し、 利下げ見通しが瀕死(ひんし)の状況にあることは否定しない」という。

一方、東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「世界的に中央銀行が インフレ警戒を強めていることもあって、日銀が利下げを選択する可能性はいっ たん後退した」としながらも、「日銀は米国の金融システムと米国経済の先行き に対して警戒的なスタンスを変えていない」と指摘する。

バークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジストは「基 本的には、米国を中心とする世界経済および金融市場のリスクを見極めるという 過去数カ月間のスタンスから変わりようもなく、新体制が特にタカ派的とも思え ない」という。ただ、「日本の実体経済を客観的に見れば、実質金利ゼロないし マイナスの現状で、金融政策をさらに緩和するだけの必然性がある状況にはなく、 新体制は中立的なスタンス、すなわち現状維持を続ける」と予想している。

今後の金融政策決定会合の予定

日銀は無担保コール翌日物金利の誘導目標を「0.5%前後」に据え置くとと もに、補完貸付金利を「0.75%」に、長期国債の買入額は「月1兆2000億円」 に据え置いた。日銀は午後3時に半年に1度の経済・物価情勢の展望(展望リポ ート)を公表し、09年度にかけての経済・物価情勢の見通しを示す。3時半に 白川方明総裁が会見を行う。議事要旨は6月18日に公表される。

次回以降の金融政策決定会合、総裁会見などの日程は以下の通り。

会合開催 総裁会見 金融経済月報 議事要旨公表 5月19、20日 5月20日 同左 6月18日 6月12、13日 6月13日 同左 7月18日 7月14、15日 7月15日 同左 8月22日 8月18、19日 8月19日 同左 9月22日 9月16、17日 9月17日 同左 10月10日 10月6、7日 10月7日 同左 11月6日 10月31日 10月31日 - 11月27日 11月20、21日 11月21日 同左 12月25日 12月18、19日 12月19日 同左 未定

金融経済月報は午後3時に公表。総裁会見は午後3時半。次回の経済・物 価情勢の展望(展望リポート)は10月31日の午後3時に公表される。

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