シティ:LBO融資売却で買い手に資金貸し付け-差し引きは変わらず

信用収縮が終わりに近づいているという米 銀大手シティグループのビクラム・パンディット最高経営責任者(CEO)の 発言が真実なら、同CEOはなぜ、自社のバランスシート上に抱えるレバレッ ジド・バイアウト(LBO)向け融資債権を、不利な条件で売却するのだろう。

事情に詳しい複数の関係者が匿名を条件に明らかにしたところによると、 シティは今月、80億ドル(約8310億円)の融資債権をプライベートエクイティ (未公開株)投資会社に売却した。売却前に60億ドルを、自社の調達コストよ りも低い金利で投資会社に貸し付けていた。ドイツ銀行と英ロイヤル・バンク・ オブ・スコットランド・グループ(RBS)も、融資債権を売却するために買い 手に資金を貸し付けた。

このような売却によって、銀行が抱えていた2300億ドル相当の売れ残り融 資債権は910億ドルまで圧縮された。しかし、ベアリング・アセット・マネジ メントの債券・為替調査ディレクター、ナイジェル・シリス氏は、銀行が早急 に新規融資に積極的になるとは限らないと指摘する。なぜならば、このような 取引では、ある種類の債権を別種の債権に交換したことにしかならないからだ。

「売れ残りがなくなり、正常な状態に戻ったと考えるのは楽観的に過ぎる」 とシリス氏は話す。「売らざるを得ない状況の売り手は、そこにいる唯一の買い 手との間で売買を成立させている」として、「本物の融資が回復するのは先のこ とだ」と述べた。

銀行は過去4カ月に、アポロ・マネジメントやブラックストーン・グルー プ傘下のGSOキャピタル・パートナーズなどの投資会社に、一部資金を貸し 付けることによって650億ドル前後のLBO融資債権を売却した。

売却価格は有利

銀行は買い手に資金を貸し付けることで、売却する融資債権について、よ り高い価格を得られる。事情に詳しい複数の関係者によると、ドイツ銀は保有 債権を額面1ドルに対し90セントで売却したが、買い取り資金を融資しなかっ たゴールドマン・サックス・グループの売却価格は63セントだった。

規制当局への届け出によると、パンディットCEOはシティが抱えるLB O向け融資を今年1-3月(第1四半期)に55億ドル減らし377億ドルとした。 またシティによれば、同行はその後さらに120億ドルを売却したが、そのうち 80億ドルについては買い手に融資した。投資会社への融資の金利は、ロンドン 銀行間取引金利(LIBOR)に1.5ポイント上乗せという低水準のものもあ るという。これは約4.3%となるが、シティが先週発行した優先証券の利回りは

8.4%だった。

シティの売却の結果、融資債権の価格は回復し、パンディットCEOは18 日、信用市場の低迷の開始点よりは「終点の方に近い」と投資家に語った。

ブルームバーグ・データによれば、銀行融資は過去1年で73%減少した。 債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(P IMCO)で欧州高利回り債を運用するアクセル・ポットホフ氏は、融資の種 類を変えても「バランスシート上からなくなりはしないので、新規融資にはつ ながらない」と指摘している。

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