日銀会合開始-現状維持へ、薄氷の標準見通し-不確実性前面に(2)

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【記者:日高正裕】

4月30日(ブルームバーグ): 日本銀行の金融政策決定会合が30日午前9 時に始まった。有力日銀ウオッチャー17人全員が現状維持を見込んでいる。同 会合で白川方明総裁の下で初となる経済・物価情勢の展望(展望リポート)を討 議し、2009年度にかけての経済・物価情勢の見通しを示す。米国経済の先行き など不透明感の強さから、不確実性の高さを前面に出した内容となりそうだ。

日銀は展望リポートで、08年度と09年度の実質GDP(国内総生産)成長 率と消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)上昇率の予測を公表する。 エコノミスト17人の実質GDP成長率見通し(中央値)は、08年度がプラス

1.4%、09年度がプラス1.8%と、おおむね潜在成長率並みの成長を見込んでい る。日銀が昨年10月末の展望リポートで示した08年度実質成長率の中央値は プラス2.1%だったので、下方修正は必至の情勢だ。

HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストは「展望リポートでは4月の金 融経済月報で示された景気の現状認識、先行き見通しがほぼ踏襲されるだろう。 標準シナリオは年後半以降の米国経済の緩やかな回復を想定したもので、薄氷の 前提に基づいた不確実性の高いシナリオとなろう」としている。

大恐慌以来の深刻さ

白川総裁は8日、衆院議院運営委員会の所信聴取で「米国では1930年代の 大恐慌以来の深刻な金融市場の動揺が続いている」と言明。9日の会見では「現 在は不確実性が特に高い」とした上で、「さまざまな下振れリスクが薄れて持続 的な成長経路が実現していくのか、下振れリスクが顕在化する蓋然(がいぜん) 性が強まるのか、毎回の決定会合でよく見極めていく必要がある」と語った。

経済情勢の見通しで注目点の1つは、生産・所得・支出の好循環メカニズム をめぐる文言の変化。白川総裁は9日の会見で「足元は弱まっている」としなが らも、「やや長い目でみると、プラスの循環メカニズムが途切れてしまったわけ ではなく、景気は当面減速が続くものの、その後は潜在成長率並みの緩やかな成 長経路をたどると考えている」と述べており、こうした見方が基本となりそうだ。

金融政策面では、昨年10月の前回展望リポートで示された「経済・物価情 勢の改善の度合いに応じたペースで徐々に金利水準の調整を行う」という文言が どう修正されるかも注目点。白川総裁は9日の会見で「経済、物価の見通しの蓋 然性と上下両方向のリスク要因を丹念に点検し、それらに応じて適切に政策運営 を行っていきたい」としており、こうした姿勢が踏襲される公算が大きい。

物価安定の範囲は据え置きへ

三菱UFJ証券の石井純チーフ債券ストラテジストは「景気が踊り場に入っ ている以上、早めの利上げの必要性は薄れている」とする一方で、「利下げを急 ぐ状況でもない」と指摘する。3月のコアCPIは前年同月比1.2%と上昇ピッ チを速めており、「狂乱物価以来と言われるような広範な値上げラッシュを受け て、消費者のインフレ予想も上昇している」(石井氏)。

一方で、世界の金融情勢は日銀総裁が1930年代の大恐慌と比較するほど不 確実性が高いこともあり、石井氏は「日銀は金利正常化に拘泥せず、柔軟な金融 政策運営を心掛けてゆくことを市場に示すだろう」とみる。クレディ・スイス証 券の白川浩道チーフエコノミストは「金融政策運営は短期の景気の振れに大きく 左右されるべきではなく、中期的な視点に立って資産価格の動きや市場や家計の 期待インフレにも配慮すべきであることを確認する可能性がある」という。

日銀は「中長期的な物価安定の理解」の、1年に1度の見直しも行う。2% を上限としていたとみられる岩田一政前副総裁が退任し、白川総裁が新たに加わ ったことで、物価安定の範囲が下方修正されるとの見方もあるが、大和証券SM BCの岩下真理シニアマーケットエコノミストは「従来通り、CPIの0-2% のレンジ、中心値は概ね1%前後との見方は変わらないだろう」としている。

================================================================= ◎利下げ(0.25%への引き下げ)予想時期は次の通り(敬称略)

【08年4-6月】HSBC証券の白石誠司チーフエコノミスト(6月)

【08年7-9月】三菱UFJ証券景気循環研究所の嶋中雄二所長(7月)、モ ルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエコノミスト(7月以降)

【利下げはリスクシナリオ】三菱UFJ証券の石井純チーフ債券ストラテジスト (確率30%で7-9月)、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミス ト、信州大学の真壁昭夫教授、アールビーエス証券の山崎衛チーフエコノミスト (50%未満)

【利下げ想定せず】大和証券SMBCの岩下真理シニアマーケットエコノミスト、 東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト、JPモルガン証券の菅野雅明調査部 長、第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト、BNPパリバ証券の河野 龍太郎チーフエコノミスト、日興シティグループ証券の佐野一彦チーフストラテ ジスト、クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミスト、大和総研の田谷 禎三特別理事、野村証券の松沢中チーフストラテジスト、バークレイズ・キャピ タル証券の森田長太郎チーフストラテジスト

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◎利上げ(0.75%への引き上げ)予想時期は次の通り(敬称略)

【09年1-3月】大和証券SMBCの岩下真理シニアマーケットエコノミスト、 バークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジスト(3月)

【09年4-6月】三菱UFJ証券の石井純チーフ債券ストラテジスト、JPモ ルガン証券の菅野雅明調査部長(6月)

【09年7-9月】野村証券の松沢中チーフストラテジスト(7月)、東短リサ ーチの加藤出チーフエコノミスト、大和総研の田谷禎三特別理事、信州大学の真 壁昭夫教授、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト(7月以降)、 アールビーエス証券の山崎衛チーフエコノミスト(8月)

【09年10-12月】BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト、三菱U FJ証券景気循環研究所の嶋中雄二所長(10月)

【10年以降】第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト、日興シティグ ループ証券の佐野一彦チーフストラテジスト、モルガン・スタンレー証券の佐藤 健裕チーフエコノミスト、HSBC証券の白石誠司チーフエコノミスト、クレデ ィ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミスト(10年半ば以降)

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◎無担保コール翌日物金利の予想水準は以下の通り(敬称略、50音順)

                     08    08    08    09    09    09    09    10
                    6末  9末  12末  3末  6末  9末  12末  3末
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調査機関             17    17    17    17    17    17    17    17
 中央値             0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.75  0.75  1.00
 最高               0.50  0.50  0.50  0.75  0.75  1.00  1.25  1.50
 最低               0.25  0.25  0.25  0.25  0.25  0.25  0.25  0.25
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三菱UFJ 石井     0.50  0.50  0.50  0.50  0.75  0.75  1.00  1.00
大和SMBC証 岩下     0.50  0.50  0.50  0.75  0.75  1.00  1.00  1.00
みずほ証 上野       0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.75  0.75  0.75
東短リサーチ 加藤   0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.75  0.75  1.00
JPモルガン証 菅野      0.50  0.50  0.50  0.50  0.75  0.75  1.00  1.00
第一生命経研 熊野   0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.50
BNPパリバ証 河野  0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.75  0.75
モルガンS証 佐藤      0.50  0.25  0.25  0.25  0.25  0.50  0.50  0.50
日興シティG証 佐野     0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.50
三菱UFJ景気研 嶋中  0.50  0.25  0.25  0.25  0.25  0.50  0.75  1.00
HSBC証 白石     0.25  0.25  0.25  0.25  0.25  0.25  0.25  0.25
クレディS証 白川   0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.50
大和総研 田谷    0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.75 0.75 1.00
信州大 真壁         0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.75  0.75  1.00
野村証 松沢         0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.75  0.75  1.00
バークレイズC証 森田   0.50  0.50  0.50  0.75  0.75  1.00  1.25  1.50
RBS証 山崎       0.50  0.50  0.50  0.50  0.50  0.75  0.75  1.00

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アンケート回答期限は21日午前8時。

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