崩壊したウォール街のビジネスモデル-新たな収益源、見つからない

ウォール街の金もうけマシンは壊れてしま った。金融業界始まって以来最悪の損失を受け、修復が試みられているものの、 向こう数年にわたって収益に悪影響が出そうだ。

米シティグループやメリルリンチ、スイスのUBSなど主要銀行や証券会社 は米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン市場の崩壊から合わせて 3100億ドル(約32兆4600億円)もの評価損や貸倒損失を計上した。業界全 体では4万8000人が職を失い、4人の最高経営責任者(CEO)が事実上更迭 された。米5大証券会社は過去1年間に時価総額で計1100億ドルを失った。

ビジネスモデルが機能していると確信する人間はもはや誰もいない。金融機 関幹部や当局者らは原因の究明を進めているが、信頼回復に向けて一致した解決 策は見つかっていない。検討対象になっているのはレバレッジや簿外投資、資産 の証券化、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)で、過去10年の記録 的な好業績をもたらした原動力だ。これら無くして、成長するのは難しいだろう。

イーグル・アセット・マネジメントのマネジングディレクター、トッド・マカ リスター氏は「当面、証券各社は大変だろう。最近の成長の主エンジンだった証 券化が抑制され、規制は強まる。すべてが不利に働いている」と語る。

米証券5位ベアー・スターンズが破たん寸前に陥り、先月には身売りが決ま ったことから、ウォール街のビジネスの危険性は、銀行と証券の垣根を設けたグ ラス・スティーガル法が撤廃された1999年以降に醸成されたことが浮き彫りに なった。同法の撤廃を受けて、投資銀行と預金受け入れ機関(銀行)は互いに競 争し始めたのだ。

サンフォード・C・バーンスティーンのアナリスト、ブラッド・ヒンツ氏は 信用危機について、「投資銀行は預金ベースを持たずに商業銀行分野へ傾き、商 業銀行はリスク管理を知らずに投資銀行業務を始めた。その結果がこれだ」と話 す。

利益率低下につながる行為

当局は新たな規制を図っているものの、作業には数年かかりそうだ。その間、 投資家からの圧力でモルガン・スタンレーやメリルリンチ、リーマン・ブラザー ズ・ホールディングス、シティ、UBSなどでは事業の変化を余儀なくされてい る。各社は保有株の持ち分売却や資本増強を実施し、借り入れによって資産を膨 らませるレバレッジを抑制している。これは利益率の低下につながる行為だ。

収益源が減るなかで、ウォール街の幹部は失われた事業に代わる新たな成長 源を見つけようともがいている。ゴールドマン・サックス・グループのロイド・ブ ランクフェインCEOやモルガン・スタンレーのジョン・マックCEO、リーマ ン・ブラザーズのリチャード・フルドCEO、シティのビクラム・パンディット CEOはそれぞれ、今月開催された年次株主総会で、信用危機は始まりよりは終 わりに近いとの認識を示した。が、近い将来の収益性回復を予想したCEOは皆 無だ。

ファー・ミラー・アンド・ワシントンのマイケル・ファー社長は、「毎四半 期末に、ウォール街各社のCEOは過去最悪の四半期は去ったと語ってきたが、 利益率を押し上げる起爆剤を示唆した人間はいない。『最悪期は終わった』との 彼らのお題目を信じて金融株を買うことなんかできない」と語る。

金融サービス部門の米企業利益に占める割合は昨年38%に達し、1994年 の21%から拡大したが、パトナム・インベストメンツの投資副責任者、ジェフ リー・ナイト氏は、同部門の収益性回復には時間がかかるとみる。同氏は「金融 部門は新たな均衡点に向かって縮小している。この部門の資産が経済全体の多く を占めるようになるには恐らく数十年かかるだろう」と話した。

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