首相の求心力低下の公算-暫定税率復活法案、30日に衆院再可決へ(3)

民主党候補が衆院山口2区補欠選で2万票 超の大差で自民党候補を破ったことで、福田康夫首相の求心力低下に拍車が掛 かる公算が大きい。福田政権の支持率は「危険水域」の30%前後にまで低下、 衆参で与野党の勢力が異なる「ねじれ国会」の下、参院第1党の民主党は早期 の衆院解散・総選挙に向けて攻勢を強めており、福田政権は一段と厳しい政権 運営を強いられる。

福田政権を支える自民、公明の連立与党は同補欠選で最大の焦点となった 揮発油(ガソリン)税の暫定税率の早期復活に向けて、参院で審議が進んでい ない租税特別措置法改正案について、憲法の規定に基づき30日に与党が過半 数を占める衆院で3分の2以上の多数で可決、成立させる方針。

これに対して民主党など野党は、参院に首相問責決議案を提出する構えを 見せている。同決議案に法的拘束力はないが、過半数を占める野党の賛成多数 で同決議案を可決させることで、福田政権に対し早期の解散・総選挙を促すと ともに、有権者にアピールするのが狙い。与党は衆院で内閣信任決議案を可決 させて対抗する構えだ。

「福田政権、支持率回復の方法ない」-曽根教授

慶応大学大学院の曽根泰教政策・メディア研究科教授(政治学)は、山口 2区補選の結果について、「福田政権をつぶすほどの力ではないが、ある程度 の打撃を与える結果となった。最大の要因は後期高齢者(長寿)医療制度だ。 自民党の支持基盤で福田政権を支えていた60歳代以上の支持を失ったのは大 きい」と分析。「福田政権の支持率はさらに低下し、それを回復させる方法は ない。道路特定財源問題の扱いと問責決議が次の焦点となる」と語った。

民主、首相問責のタイミング検討

道路特定財源を2008年度以降も10年間維持する道路整備費財源特例法改 正案は3月13日に衆院を通過しており、憲法の規定で参院で採決されなくて も5月12日以降に衆院で再議決が可能で、3分の2以上の与党議席で成立さ せることができる。

民主党など野党は、参院に首相問責決議案を提出するタイミングについ て、租特法改正案が衆院で再議決される4月30日か、道路整備費財源特例法 改正案の再議決が可能になる5月12日を念頭に検討を重ねている。

民主党の小沢一郎代表は28日夕、党本部で記者会見を行い、同補欠選に ついて「国民生活を無視する自公政権に対する主権者からの不信任、問責の意 思表示を福田首相は受けた」と述べた。「解散・総選挙を行うのが筋」と早期 衆院解散をあらためて促した。

小沢氏はその上で、政府、与党が目指す30日の租特法改正案の衆院再議 決に関して、「われわれとしては再値上げが起きないよう、再議決を翻意する よう主張し働き掛けていく」と言明。首相問責決議案の参院への提出について は、道路整備財源特例法改正案の再議決が可能となる5月12日以降の状況を 見極める意向を示した。

福田首相は28日夕、官邸で記者団に、同補欠選に関して、「敗因はいろ いろあるだろうが、長寿医療制度の問題が大きかった。これからしっかり立て 直して、政策をきちんとしていかなければならない」と語った。同制度の見直 し論に対しては、「制度をよく説明して、よく理解してもらわなければならな い。まだその段階ではない」と否定した。

暫定税率30日再議決を確認-自公党首

福田首相は28日午後、国会内で公明党の太田昭宏代表と会談し、30日に 租特法改正案を衆院で再議決して成立させる方針を決めた。太田氏が会談後、 記者団に明らかにした。

参院首相問責なら衆院に内閣信任案-自民・伊吹氏

産経新聞(電子版)が28日報じたところによると、自民党の伊吹文明幹 事長は同日朝、TBSテレビの番組に出演し、「山口県知事らは『揮発油税の 暫定税率は復活してほしい』と言っており、これも民意だ」と述べ、租特法改 正案の衆院再議決を30日に行う考えをあらためて表明。民主党が首相問責決 議案を参院に提出すれば、対抗策として「衆院に内閣信任決議案を出して乗り 切っていくべきだ」と述べた。

産経によると、伊吹氏は、政府、与党が合意している2009年度からの道 路特定財源の一般財源化をめぐり、閣議決定するかどうかについて、「多分 (閣議決定)するのではないか」と語ったという。

長寿医療制度の説明不足-補選敗因で与党

山口補欠選の結果を受けて、民主党など野党は暫定税率の復活見送り、後 期高齢者医療制度(長寿医療制度)の廃止、早期の衆院解散・総選挙を要求。 与党は、同補欠選で長寿医療制度について有権者への説明が不十分だったこと を敗因に挙げた。

NHKは28日午前のニュースで、同補欠選に対する与野党幹部の発言場 面を放映。それによると、民主党の鳩山由紀夫は27日夜の会見で、「福田首 相はこれまで進めてきた政策を反省し、行動を改めてほしい。与党は税制関連 法案を再可決すべきではない」と言明し、首相問責決議案の参院提出に関し て、「まず国会審議の中で福田内閣への追及を強めていくが、福田政権への批 判が強い中で、今の国会中に何も手だてを講じないということは考えにくいの ではないか。タイミングを見て検討したい」と語った。

NHKによると、自民党の伊吹幹事長は記者団に同補欠選の結果は「残念 だが、なかなか厳しい結果だと思う。後期高齢者医療制度についての政府・与 党の説明が不十分で不適切であり、60-70代の有権者の支持が民主候補に流れ たことが敗因だ」と語った。公明党の北側一雄幹事長は党本部で記者団に対 し、「候補者の知名度不足と、長寿医療制度について国民に説明する十分な時 間がなかったのが大きな敗因だ」などと述べた。

--共同取材:坂巻幸子 Editor: Hitoshi Sugimoto, Kenshiro Okimoto

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