日ロ:東シベリアで初の油田共同開発、年内にも開始-100億円投入

ロシアを訪問した福田康夫首相は26日午 後(日本時間同日夜)、プーチン大統領とモスクワ市郊外の大統領公邸で初め ての会談を行い、極東・東シベリア地域のエネルギー開発分野などでの協力強 化で一致した。その一環として2008年冬にも東シベリア南部のイルクーツク 地域で初めて油田共同開発を開始することで合意した。日本外務省が現地で会 談概要を文書で公表した。

同省幹部が現地で行った事前説明によると、共同探鉱は、独立行政法人の 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)がロシア民間会社のイルク ーツク石油が合弁会社を設立。イルクーツク市から北へ約1000キロ地点にあ るセベロ・モグディンスキ-鉱区(面積3747平方キロ)で、油田の埋蔵量な どを調査するための探鉱作業を実施する。調査費用は5年間で計約100億円。 日ロの出資割合は現時点で未定。

日ロのエネルギー協力をめぐり、安倍晋三前首相は07年6月、プーチン 大統領との会談で、エネルギー、運輸、環境など8部門での協力を盛り込んだ 「極東・東シベリア地域における日ロ間協力強化に関するイニシアチブ」を提 唱。両首脳は同年9月にシドニーで行われた首脳会談で、太平洋パイプライン 計画などを進めることで一致した。

ロシアではメドベージェフ第一副首相が5月7日に大統領に就任、プーチ ン氏は首相として新政権で影響力を維持するとみられる。今回の会談で福田首 相はプーチン大統領に訪日を招請、プーチン大統領は快諾した。福田首相はプ ーチン大統領との会談後、メドベージェフ氏とも会談した。

首脳間の信頼構築が狙い-サミット控え

福田首相の就任後初の訪ロは、日本が議長国を務める7月の主要国首脳会 議(北海道洞爺湖サミット)を控え、5月7日に大統領に就任するメドベージ ェフ第一副首相、新政権で首相に就き影響力を維持するものとみられるプーチ ン氏との個人的な信頼関係を築くのが最大の狙い。

首相は両氏との会談後、モスクワ市内のホテルで同行記者団に、「非常に 率直な意見交換になった。日ロ関係をより高い次元に格上げし、幅広く力強い 協力関係を築くことに向けた第一歩になったと思っている」と語った。

領土問題解決が必要-プーチン大統領

首相は両氏との初会談で、双方が領有権を主張している北方領土(国後、 択捉、歯舞、色丹)の領有権問題や長期間にわたり懸案となっている平和条約 締結交渉についても協議。「双方が受け入れ可能な解決策」を引き続き話し合 っていくことで一致した。

日本外務省幹部が現地で行った記者説明によると、プーチン大統領は福田 首相との会談で、日ロ関係のためには領土問題を解決しなければならないと表 明。福田首相も記者団に対し、「前向きな方向性を出すことはできると思って いる」と述べ、解決に向けた進展に期待を示した。

北海道大学スラブ研究センターの田畑伸一郎教授(ロシア経済)は、「ロ シアの大統領は間もなく交代するし、福田首相の国内の指導力は脆弱だ」と指 摘。このため北方領土問題に関して「今回の首相訪ロで解決には至らないだろ う」と分析した。

また福田首相はプーチン大統領、メドベージェフ氏との会談で、北海道洞 爺湖サミットに関して、主要議題となる気候変動問題などの分野について協力 することを確認。ロシア側の両氏はそれぞれ13年以降の温室効果ガス削減に 向けた「ポスト京都議定書」の枠組みに主要排出国である米国、中国、インド の3カ国が参加することが重要だとの認識を表明した。

福田首相はプーチン氏との会談で北朝鮮問題についても意見交換し、北朝 鮮と外交関係を持つロシアが核問題などの解決に向けて影響力を発揮するよう 要請。プーチン氏は拉致問題を含めた極東地域の安定に向けて、今後とも日ロ 連携を重視する姿勢を示した。

07年9月の就任以来、初めてとなった訪ロの全日程を終えた福田首相は 26日深夜(日本時間27日未明)に政府専用機でモスクワを出発して帰国の途 に就き、27日昼に帰国予定。

--共同取材:坂巻幸子 Editor: Keiichi Yamamura

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