債券急落、株高や利下げ観測後退で投げ売り―先物一時取引停止(終了)

債券相場は急落(利回りは上昇)。米金 融危機懸念の後退、日経平均株価の反発、消費者物価指数(CPI)などを受 けて、日銀の利下げ観測が消失したことを背景に、投げ売りや損失覚悟の売り が膨らんだ。東京証券取引所では、先物中心限月の下げ幅が2円を超えたため、 サーキットブレーカーを発動、取引を一時停止した。2008年1月15日にサー キットブレーカー制度が開始されて以来、発動は初めて。

大和総研債券ストラテジストの奥原健夫氏は、表面的にはCPIで動いた ようだが、これまでロング(買い建て)だったので、損失覚悟の売りで動きが 加速したと指摘。「最近まで利下げを見ていたのが、OIS(オーバーナイ ト・インデックス・スワップ)でも利上げを織り込んでおり、CPIも上がっ ている。ただ、株など他市場と比べれば、債券は物価や金融政策に対する憶測 に対して過剰に反応しているようにみえる」と述べた。

東京先物市場で中心限月6月物は、前日比95銭安の136円13銭と137円 割れで寄り付いた後、すぐに日中高値136円55銭をつけた。その後は、株価 の上昇やCPIでインフレ懸念が強まったことを嫌気して、売りが膨らみ急落。 午後に入って、下げ幅が2円を超えると、サーキットブレーカー発動により取 引が一時停止された。取引再開後も下げ幅を拡大し、午後1時28分ごろに2 円50銭安の134円58銭まで下げた。これは昨年10月16日以来、約6カ月ぶ りの安値。大引けにかけては下げ渋り、1円49銭安の135円59銭で取引を終 了した。

サーキットブレーカ制度が始まる以前では、2円下落でストップ安となっ たのは、2002年9月18日だった。

6月物の日中売買高は7兆233億円に膨らみ、連日の大商いとなった。

日経平均株価は大幅反発。前日比322円60銭高の1万3863円47銭で引 けた。

新発10年債は一時1.62%、5年債は1.28%に上昇

現物債市場で新発10年物の291回債利回りは、前日比5ベーシスポイン ト(bp)高い1.53%で取引開始後、すぐに1.525%に下げた。その後は水準を切 り上げ、午後1時2分ごろに14bp高い1.62%まで上昇。昨年11月1日以来の 高水準をつけた。午後3時過ぎは1.60―1.605%で推移している。

また新発5年債利回りは一時、23.5bp高い1.28%まで上昇。07年10月 12日以来の高水準をつけた。

モルガン・スタンレー証券債券ストラテジストの伊藤篤氏は、10年債につ いて、「止まると思われていた1.5%とか1.6%の節目のところが簡単にブレ ークされてしまったことで下値不安が大きくなり、売りが加速した」と指摘。

その上で、「国内投資家などは買い場を探していたと思われるが、海外勢 が先物などを売り、流れを作った。今のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸 条件)をみれば1.6%ならば絶対買ってもいい水準だと思うが、きょうのよう になると、だれもこの動きに買い向かっていける状況ではない」と語った。

CPIでインフレ懸念も

朝方発表された3月の全国CPIコア指数は前年比1.2%上昇、4月の東 京都区部コアCPIは同0.7%上昇となった。市場予想は全国が1.2%上昇、 東京都が0.5%上昇だった。

リーマン・ブラザーズ証券チーフJGBストラテジストの山下周氏は、 「CPIの数字を見ても、エネルギーや食品を除けば、そう大きく上がってい るわけでもない。インフレ懸念で売られているというより、CTA(商品投資 顧問)がロングを閉じているという形で先物主導で下げた」と語った。

一方で、ドイツ証券シニアエコノミストの安達誠司氏は、「当面、金融政 策は中立スタンスを維持する可能性が高い」としながらも、「暫定税率廃止に もかかわらず、4月の東京都区部CPIが予想以上の上昇となったことで、タ カ派的なスタンスが復活する可能性も否定できない。30日発表の展望リポート 後の総裁、副総裁、審議委員らの発言に今まで以上に注意する必要がある」と 指摘している。

FOMCで25bp利下げ、その後は利下げ打ち止め観測

来週は、30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)も注目材料となりそう だ。シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利先物相 場では、FOMCで金利を据え置く確率が18%あることを示唆している。1週 間前にはゼロだった。0.25ポイントの利下げ確率は82%。

JPモルガン・チェースのチーフエコノミストのブルース・カスマン氏は、 「来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では25bpの利下げ、その後は 2%の政策金利が来年4-6月期の引き締め開始まで続く」と予想。「その後 の引き締めは急速なものとなり、2009年9月までの利上げ幅は100bp」と予想 している。

声明文については、「インフレ懸念と景気の下振れリスクがともに指摘さ れると予想されるが、どちらかと言えば引き続き景気面への配慮を重視した内 容となるだろう」との見方を示している。

(債券価格)                          前日比     利回り
長期国債先物6月物         135.59     -1.49      1.80%
売買高(億円)             70233
10年物291回債            97.40                1.605%(+0.125)

--共同取材:YUMI TESO 日高正裕 Editor:Hidenori Yamanaka、Tstsuzo Ushiroyama

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