3月コア消費者物価は実質14年半ぶり高い伸び、消費者心理は悪化(3)

(5段落目に債券相場の動きを追加します)

【記者:日高 正裕】

4月25日(ブルームバーグ):3月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食品、 コアCPI)は6カ月連続で前年同月比プラスとなり、消費税率が引き上げられ た1997年度を除くと、93年8月以来14年半ぶりの高い伸びとなった。ガソリ ン価格や食料品の値上がりで上昇幅が拡大しており、消費者マインドの悪化を通 じて景気にとっては一段の重荷となりそうだ。

総務省が25日発表した3月の全国コアCPIは同1.2%上昇と、事前の予 想調査と同じ伸びとなった。2月の全国コアCPIは同1.0%上昇と、97年度 を除くと94年5月以来13年9カ月ぶりに1%の大台に乗ったが、3月は一段 と伸びが高まった。4月の東京都区部コアCPIは同0.7%上昇し、予想調査 (同0.5%上昇)、前月の実績(同0.6%上昇)のいずれも上回った。

アールビーエス証券の山崎衛チーフエコノミストは「ガソリン、食料といっ た非裁量的な品目の価格上昇が実質購買力を低下させて、裁量的な品目の消費に も悪影響を及ぼし、消費全体を抑制するリスクは一段と高まっている」と指摘す る。大田弘子経済財政政策担当相は同日の会見で消費者物価の上昇について「ひ とえにコスト面からの上昇圧力」であり、「決して良い形ではない」と述べた。

米国型コアCPIもプラスに

CPI総合指数は3月の全国が同1.2%上昇、4月の東京都区部は同0.6% 上昇した。前月はそれぞれ同1.0%上昇、同0.6%上昇だった。食料(酒類除 く)とエネルギーを除く、いわゆる米国型のコア指数は3月の全国が同0.1%上 昇と、98年8月以来9年半ぶりにプラスに転じた。4月の東京都区部は同横ば いだった。前月は全国が同0.1%下落。東京都区部は同0.1%上昇だった。

債券市場では、世界的な長期金利の上昇傾向や日経平均株価の反発に加えて、 CPIがインフレ圧力の高まりを示したことが嫌気され、先物中心限月は約4カ 月半ぶりの安値に下落する一方、新発10年物291回債利回りは節目の1.50% を上回り、一時、前日比6.5ベーシスポイント高い1.545%まで上昇、昨年12 月28日以来の高水準をつけた。また、新発5年債利回りは一時、同16ベーシ スポイント高い1.205%に上昇した。利回りの上昇幅は2003年9月20日以来、 約4年7カ月ぶりの大きさだった。

JPモルガン証券の菅野雅明調査部長はブルームバーグテレビジョンで、 「従来のCPIの上昇の主役だったエネルギーが引き続き寄与はしているが、食 料品の寄与度が徐々に高まりつつある」と指摘。「今後の原油と食料品の商品市 況次第というところはあるが、このトレンドはまだ続くだろう」として、コアC PIは秋口には1.5%程度まで上昇すると予想する。また、米国型コア指数にも 「徐々にではあるが、波及の兆しが見られている」という。

一方、4月からガソリン税の暫定税率が失効してガソリン価格が低下したた め、同月の東京都区部コアCPIは伸びが鈍化するとみられていた。しかし、 「ガソリン安が食品高で相殺された格好」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケ ットエコノミスト)で、事前のエコノミスト予想を上回った。

物価上昇で消費者マインドは悪化

日銀は4月の金融経済月報で、景気は「エネルギー・原材料価格高の影響な どから減速している」として、情勢判断を下方修正した。18日に発表した「地 域経済報告」も足元の景気について「地域差はあるものの、エネルギー・原材料 価格高の影響などから、全体として減速している」として、今年1月の前回報告 から下方修正。地域別では全9地域のうち8地域が景気判断を下方修正した。

議事要旨が14日に公表された3月6、7日の金融政策決定会合では、複数 の委員が「石油製品や食料品の価格など、身の回り品の値上げが続いていること などから、消費者マインドが慎重化している」と指摘。「米国経済や国際金融市 場の不確実性に加え、エネルギー・原材料高が中小企業の業況や消費者マインド に悪影響を与えるリスクはさらに強まっている」(1委員)との声も出た。

日銀が3日に発表した生活意識に関するアンケート調査によると、物価が 1年前と比べて「上がった」という回答が85%を超え、97年3月調査開始以来 最も高い水準となった。一方、景気が1年前から「良くなった」という回答の比 率から「悪くなった」という回答の比率を引いた「現在の景況感DI」は、マイ ナス57.7と前回調査から大幅に悪化し、03年3月以来の低水準となった。

ガソリン価格めぐる不透明要素も

5月以降のコアCPIの先行きには、ガソリン価格をめぐる不透明感も漂う。 道路特定財源にかかる暫定税率は3月で失効し、4月1日から揮発油税や自動車 重量税、軽油引取税などの税率が引き下げられた。政府は憲法59条に基づく衆 院再議決(60日規定)を用いて租税特別措置法改正案を再可決し、暫定税率を 復活させる方針だ。実現すればガソリン価格は再び上昇する。

モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエコノミストは「10日時点の ガソリン価格は全国平均で3月末比14.4円(約11%)下落した。揮発油税は元 売り業者への蔵出し段階で課税が発生するため、1日以降も単純に暫定税率分だ け小売価格が下がったわけではないが、予想外に速いペースでガソリン価格は下 落した。消費者物価への影響は0.3ポイント程度とみられる」という。

佐藤氏は「4月末に暫定税率が再度引き上げられる公算が大きいが、ガソリ ン小売価格は一度には上がらず、5月中旬ころから徐々に上昇するだろう」と予 想する。ただ、再議決が行われれば、参院で首相の問責決議案が可決され、国会 審議が完全にストップして総選挙となる可能性も排除できない。この場合、「選 挙結果次第で暫定税率の扱いは大きく変わる」(BNPパリバ証券の河野龍太郎 チーフエコノミスト)だけに、コアCPIには当面かく乱要因となりそうだ。

--共同取材 鎌田泰幸 亀山律子 池田祐美 Editor:Hitoshi Ozawa、Masaru Aoki

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 日高正裕 Masahiro Hidaka +81-3-3279-2894 mhidaka@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

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