3月コアCPIは前年比1.2%上昇-消費者心理の悪化が景気の重荷に

【記者:日高 正裕】

4月25日(ブルームバーグ):3月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食品、 コアCPI)は6カ月連続で前年同月比プラスとなり、ガソリン価格や食料品の 値上がりで上昇幅がさらに拡大した。足元の景気はエネルギー・原材料価格高の 影響などから減速しており、身近な製品の値上がりは消費者マインドの悪化を通 じて、景気にとって一段の重荷となりそうだ。

総務省が25日発表した3月の全国コアCPIは前年同月比1.2%上昇、4 月の東京都区部のコアCPIは同0.7%上昇した。予想調査ではそれぞれ同

1.2%上昇、同0.5%上昇が見込まれていた。2月の全国コアCPIは同1.0% 上昇し、消費税率が引き上げられた1997年度を除くと、94年5月以来13年9 カ月ぶりに1%の大台に乗ったばかり。3月の東京コアは同0.6%上昇だった。

日本銀行はコアCPIについて、今後も「石油製品や食料品の価格上昇など からプラス基調を続けていくと予想される」(金融経済月報)としている。アー ルビーエス証券の山崎衛チーフエコノミストは「原油や原材料高などコスト上昇 による交易条件の悪化が企業収益を圧迫し、企業が人件費や設備投資を抑制する スタンスによって、景気の減速傾向が当面続く」と指摘している。

コアコアCPI

CPI総合指数は3月の全国が同1.2%上昇、4月の東京都区部は同0.6% 上昇した。前月はそれぞれ同1.0%上昇、同0.6%上昇だった。食料(酒類除 く)とエネルギーを除く米国型のコア指数、いわゆる「コアコアCPI」は、3 月の全国が同0.1%上昇、4月の東京都区部は同横ばいだった。前月は全国が同

0.1%下落、東京都区部は同0.1%上昇だった。

日銀は4月の金融経済月報で、景気は「エネルギー・原材料価格高の影響な どから減速している」として、情勢判断を下方修正した。18日に発表した「地 域経済報告」も足元の景気について「地域差はあるものの、エネルギー・原材料 価格高の影響などから、全体として減速している」として、1月の前回報告から 下方修正。地域別では、全9地域のうち8地域が景気判断を下方修正した。

議事要旨が14日に公表された3月6、7日の金融政策決定会合では、複数 の委員が「石油製品や食料品の価格など身の回り品の値上げが続いていることな どから、消費者マインドが慎重化している」と指摘。「米国経済や国際金融市場 の不確実性に加え、エネルギー・原材料高が中小企業の業況や消費者マインドに 悪影響を与えるリスクはさらに強まっている」(1委員)との声も出た。

物価上昇で消費者マインドは悪化

日銀が3日発表した生活意識に関するアンケート調査によると、物価が1 年前と比べて「上がった」という回答が85%を超え、97年3月調査開始以来最 も高い水準となった。一方、景気が1年前から「良くなった」という回答の比率 から「悪くなった」という回答の比率を引いた「現在の景況感DI」は、マイナ ス57.7と前回調査から大幅に悪化し、2003年3月以来の低水準となった。

ニューヨーク原油先物相場は引き続き最高値近辺で推移している。3月の国 内企業物価指数は原油などエネルギー価格の高騰を受けて、前年同月比3.9%上 昇し、伸び率は81年2月(同5.7%上昇)以来の高水準となった。07年度通年 でも前年度比2.2%上昇と4年連続プラスとなり、消費税率が導入された89年 度を除くと、80年度(同12.5%上昇)以来の高い伸びとなった。

日銀は30日、「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を公表し、09年 度にかけての経済・物価情勢の見通しを示す。東短リサーチの加藤出チーフエコ ノミストは「食品やエネルギー価格上昇を見込んで、08年度のコアCPIは上 昇基調を予想するだろう」とみる。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコ ノミストは「コアCPIについては、安易に利上げの手掛かりにするのではなく、 悪い物価上昇の側面もきちんと指摘するだろう」としている。

ガソリン価格めぐる不透明要素も

5月以降のコアCPIの先行きには、ガソリン価格をめぐる不透明感も漂う。 道路特定財源にかかる暫定税率は3月で失効し、4月1日から揮発油税や自動車 重量税、軽油引取税などの税率が引き下げられた。政府は憲法59条に基づく衆 院再議決(60日規定)を用いて租税特別措置法改正案を再可決し、暫定税率を 復活させる方針だ。実現すれば、ガソリン価格は再び上昇する。

モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエコノミストは「10日時点の ガソリン価格は全国平均で3月末比14.4円(約11%)下落した。揮発油税は元 売り業者への蔵出し段階で課税が発生するため、1日以降も単純に暫定税率分だ け小売価格が下がったわけではないが、予想外に速いペースでガソリン価格は下 落した。消費者物価への影響は0.3ポイント程度とみられる」という。

佐藤氏は「4月末に暫定税率が再度引き上げられる公算が大きいが、ガソリ ン小売価格は一度には上がらず、5月中旬ころから徐々に上昇するだろう」と予 想する。ただ、再議決が行われれば、参院で首相の問責決議案が可決され、国会 審議が完全にストップして総選挙となる可能性も排除できない。この場合、「選 挙結果次第で暫定税率の扱いは大きく変わる」(BNPパリバ証券の河野龍太郎 チーフエコノミスト)だけに、コアCPIには当面かく乱要因となりそうだ。

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