NY外為:ユーロ、初の1.6ドル台-インフレ警戒で欧州利上げ観測

ニューヨーク外国為替市場ではユーロが対 ドルで上昇。初めて1ユーロ=1.6ドル台に乗せた。欧州中央銀行(ECB) 高官が物価上昇率が低下しない場合、利上げを実施する構えを示したため、ユ ーロ買い・ドル売りが膨らんだ。

ドルは2日連続で下げた。原油相場が1バレル=119ドル台に上昇したほ か、物価上昇が消費者の行動に影響を与え始めているとしたダラス連銀のフィ ッシャー総裁発言がドル売りを誘った。南アフリカ・ランドは主要通貨すべて に対して上昇した。消費者物価の上昇で同国中央銀行が利上げに追い込まれる との見方がランド買いを誘った。

シティグループ・グローバル・マーケッツの通貨戦略グローバル責任者、 トム・フィッツパトリック氏は「為替市場はECBの利上げを織り込み始めて いる。現在の勢いを考えると、ユーロは少なくとも1.6350ドルまで上昇するだ ろう」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時23分現在、ユーロはドルに対して前日比0.4% 高の1ユーロ=1.5979ドル。前日は1.5912ドルだった。一時は1.6019ドルと 1999年のユーロ導入以来の最高値を付けた。対円では1ユーロ=164円57銭。 前日は164円32銭だった。ドルは対円で0.3%下落し、1ドル=102円99銭 (前日は103円27銭)となった。

ECB政策委員会メンバーのノワイエ仏中銀総裁の発言をきっかけに、ユ ーロ買い・ドル売りが出始めた。同総裁は22日、ユーロ圏のインフレ率が低下 しない場合、ECBは行動するとの考えを示した。同総裁はRTLラジオとの インタビューで、「重要課題はインフレ率を来年、確実に2%未満に低下させ ることだ」と指摘。「そのために必要な措置を取る」と述べた上で「必要なら ば金利を変更する」と付け加えた。

ノワイエ総裁はその後、ウォールストリート・ジャーナル紙に対し、金利 は「上下どちらの方向にも動く」と指摘。先の発言が拡大解釈されたと述べた。

ギリシャ中銀総裁

ECB政策委員会メンバーのガルガナス・ギリシャ中央銀行総裁は記者会 見で、ユーロ圏のインフレ率は向こう数カ月は「高止まり」し、7-12月(下 期)に「急激なペース」で低下することはないとの認識を示した。

ユーロは対ドルで4月に入って1.3%上昇、年初からでは9.7%上昇してい る。インフレ懸念からECBが政策金利を据え置くとの思惑が背景にある。先 週発表の3月のユーロ圏物価上昇率は年率3.6%と16年ぶりの強い伸びとなっ た。

ウェルズ・ファーゴの為替ストラテジー責任者、ニック・ベネンブローク 氏(ニューヨーク在勤)は「ECBはユーロ高よりもインフレの方を懸念して いる。それが最大のユーロ買い材料だ」と指摘した。

ABNアムロ銀行のシニア通貨ストラテジスト、グレッグ・アンダーソン 氏は顧客向けリポートで、ユーロが1.60ドルを上抜けたことを受け、1週間以 内に1.65ドルまで上昇する可能性があると指摘。ユーロがこれまで1.3ドル、

1.4ドル、1.5ドルの節目を突破した後、いずれもその後1週間で3セント前後 上昇してきたことを理由に挙げた。

3カ月物LIBOR

3カ月物EURIBOR(欧州銀行間出し手金利)先物12月限は0.15ポ イント上昇の4.62%。ECBの利上げ観測が強まり、今月に入って0.63ポイ ント上昇している。ECBは昨年6月以来、政策金利を据え置いている。

一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)は昨年9月から合計3ポイント の利下げを実施し、現在は政策金利を2.25%に設定している。シカゴ商品取引 所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利先物相場はFOMCが30日 に0.25ポイントの利下げを実施する確率が84%あることを示唆している。金 利据え置きの確率は16%。

ノワイエ総裁の発言を受けて、欧州債が下落。2年物の独国債利回りの米 国債への上乗せ幅は0.09ポイント拡大し1.71%となった。欧州債利回りの上 乗せ幅が拡大すると、ユーロ建て証券の魅力が高まる。

カナダ・ドル

カナダ・ドルはほとんどの主要通貨に対して下落。カナダ銀行(中銀)が 政策金利を0.5ポイント引き下げ、3%に設定したことがカナダ・ドル売りに つながった。同中銀は最大の貿易相手国である米国の景気減速が深刻化し、長 期化すると予想した。カナダ・ドルは米ドルに対して0.3%下げ、1カナダ・ ドル=99.21米セント。

全米不動産業者協会(NAR)が3月の中古住宅販売件数を発表すると、 対ユーロでのドルの下げ足が速まった。中古住宅販売は前月比2%減少の年率 493万戸。前月の503万戸から悪化した。

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