【今週の日本株】13000円攻防、政治と経済の変化待つ-底打感は醸成

今週(21-25日)の東京株式相場は、国内 の政治と経済両面で今後の方向性を探る重要な材料が相次ぐ上、ゴールデンウイ ーク入りを前に徐々に市場参加者も減少していく可能性が強く、持ち高を一方向 に傾けにくそうだ。このため、過度の世界的金融不安が後退し、再び1万3000 円を大きく割り込むリスクは薄まったが、心理的節目の1万3500円を目指して 戻り歩調にあった日経平均株価も、今週はやや調整含みとなる。

現在の日本株相場の起点を2005年8月と見るJPモルガン証券の宗岡功二 エグゼクティブ・ディレクターは、「政治、景気両面で当時に戻り、サブプライ ム問題がなくても日本株は下がっていただろう。今後重要なのは『これからどう なるか』だが、政治、経済ともまだ何も見えていない」と話している。

05年8月は、小泉純一郎元首相が国民に郵政民営化を問うとして衆院を解 散した月だ。翌月の総選挙で自民・公明の与党は圧勝、「小泉構造改革」が進む との期待から日経平均は1万1700円から翌年4月には1万7000円台まで急伸し た。日本株上昇をリードしたのは外国人投資家で、05年年間で過去最高となる 10兆3000億円を買い越し、06年、07年の合計買い越し額も約11兆円に達して いる。その外国人が、今年1-3月に2兆円売り越した。

現在の永田町は、昨年の参院選挙で野党の民主党が勝利し、過半数を握る勢 力が衆参で異なるねじれ現象が起きており、法案審議が停滞する中で財政に穴が 開く道路特定財源の暫定措置の期限切れ、国会同意人事である日本銀行総裁の 空席という異例事態も招く。05年以降の日経平均終値ベースの高値は昨年7月 の1万8261円。直後の参院選で小泉路線を歩んだ安倍晋三政権が惨敗を喫して 9月に退陣、主要派閥からの支持をまとめた福田康夫首相が後継に立つが、ねじ れの中での度重なる国会混乱、福田政権の漂流は現在まで続いている。日経平均 は3月17日、郵政解散前と同じ1万1700円台に下げた。

一方、4月1日に日銀が発表した企業短期経済観測調査(短観)では、大企 業・製造業の業況判断指数(DI、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪 い」と答えた割合を引く)が2期連続で悪化、03年12月以来の低水準に落ち込 み、3期連続で悪化した大企業・非製造業も05年3月以来の悪さとなった。米 国を中心とした世界金融の混乱、経済減速、原油高騰、円高進行に対する企業経 営者の不安心理を色濃く映した格好だ。政府が18日にまとめた月例経済報告で も、「回復はこのところ足踏み」とする基調判断は据え置くが、業況判断は「慎 重さが増している」と前月の「慎重さが見られる」から下方修正されている。

「昨年8月から本格化したサブプライムショックで、日本株の下げが大きく 急になった面はある」(宗岡氏)ものの、記録的な日本株買いを行ってきた外国 人が売りに回った現在までに、日本の政治と景気情勢は確実に変質した。

衆院山口2区補選、有力企業の決算始まる

4月27日に、衆院山口2区の補欠選挙が投開票される。自民党新人と民主 党前職の2人が立候補を届け出ており、町村信孝官房長官も「すべての国民の判 断を山口2区に委ねたつもりはない」としながらも、「重要な選挙であることは もとよりだ」と述べている。

補選2日後、3月末で失効したガソリン税など道路特定財源の暫定税率を復 活させる租税特別措置法改正案が、憲法の規定に基づき衆院で3分の2以上の賛 成多数で再可決、成立が可能になる。暫定税率廃止の是非、特定財源の一般財源 化時期をめぐって与野党の主張は平行線にあり、補選結果が今後の国会運営に影 響を与えると見る向きは多いようだ。政治評論家の森田実氏もブルームバーグと のインタビューで、補選で「民主党が負けたら、小沢代表の指導力に陰りが生じ、 非常に大きい。また29日が最大のヤマで、再可決できれば福田内閣の危機は遠 のくが、造反者が出て失敗すれば、福田内閣の即時総辞職という事態が起こり得 る」と指摘する。

政治日程と並び、今週は国内有力企業の08年3月期の決算発表が本格的に 始まってくるため、投資家は足元の業況、見通しを通じて経済の方向性を探って いくことになる。主な決算発表予定は23日に花王、24日にJFEホールディン グス、リコー、KDDI、25日に東芝、シャープ、ホンダ、新日鉄、京セラ、 アドバンテスト、商船三井、野村ホールディングス、NTTドコモなど。

モルガン・スタンレー証券では、東証1部企業の09年3月期の経常利益を マイナス3.8%と想定している。「輸出が厳しく、日本の消費が良くならないこ とがポイント」(神山直樹ストラテジスト)という。新光総合研究所のまとめで は、今のところ製品値上げの一部浸透などで5.1%経常増益を見込むが、「急激 な円高による下振れが、まだ十分織り込まれていない」(山本光孝クオンツアナ リスト)そうだ。減益転落か増益維持か、決算を通じて市場コンセンサスがいず れかに傾いていくとみられ、この点からも積極的に相場の上値は追いにくい。

強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育つ

「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観とともに成熟し、幸 福感の中で消えて行く」――。ウォール街で昔から伝わる相場の格言だ。前週の 日経平均は前の週末末比で1.1%高の1万3476円で終え、週末にかけて今年初 めてとなる4連騰を演じた。週間でも昨年10月以来の5週連続上昇で、3月安 値からの反発色を鮮明にしている。相次いだ米金融機関の四半期決算が予想ほど 悪化せず、米国の金融株が堅調な値動きを示したことを好感。また、米大手証券 リーマン・ブラザーズのフルド最高経営責任者(CEO)は15日の株主総会で、 信用収縮について「最悪期は過ぎた」と発言。実体経済の統計は低調な内容が続 くが、足元の世界の株式市場で過度の悲観論は修正方向に向かっている。

市場の不安心理、株価の予想変動率を示す指標として著名な米シカゴ・オプ ション取引所(CBOE)のボラティリティ(VIX)指数は前週、今年の最低 水準に低下した。日本でも、新日本製鉄やトヨタ自動車といった代表的企業の今 期(09年3月期)減益予測が市場で取り沙汰されたが、結果的に株価は上昇、 投資家の不安心理を取り除く効果を果たした。

5週連続高の過程で、投資信託などファンド資金も高めていたキャッシュ比 率をやや下げ、株式投資に振り向けている。みずほ投信投資顧問が30年以上に わたって運用している「MHAM株式オープン」を見ると、3月末時点の現物国 内株比率は96.1%で、4月11日時点では96.4%へ高まった。日経平均は、投資 家の中期的売買コストの75日移動平均線を昨年11月以来回復、いったん売り圧 力が高まりやすい状況にあるが、JPモルガン証の宗岡氏は、「米証券ベアー・ スターンズの救済、1ドル=95円の円高という状況が同時に起こり、これを織 り込んだのが3月安値。目先の底になろう」と見ている。外国人が注視する経済 協力開発機構(OECD)景気先行指数は、直近公表分の2月に9カ月ぶりに上 昇。下値の硬さがより確認されれば、景気の底打ち反転を見込んだ相場が育って いくことになる。

【市場関係者による当面の日本株相場の見通し】
●三菱UFJ投信運用戦略部・石金淳シニアストラテジスト
  「今週は日経平均で1万2800-1万4200円を想定。円が対ドルだけでなく、
ユーロや豪ドルなどに対しても弱含み、実効ベースでの円高一服が明確化してい
る。1ドル=95円までの円高で、かなり業績悪化を株価に織り込んだだけに、
為替の落ち着きで安心感が出てきた。日本株の割安評価から、2月高値1万
4105円を試す可能性がある。もっとも、現在は1-2月のもみ合いで累積売買
高が多い水準で、利益確定売りは出やすい。実体経済の悪化が続いている以上、
一段の上値を買い上げる材料にも乏しい」

●日興コーディアル証券国際市場分析部・大西史一シニアストラテジスト
  「国内企業業績に関するネガティブな報道が4月に入ってから伝わったが、
最近のマーケットの反応は逆。3月17日の安値を更新しに行く過程で、今期業
績予想の最悪シナリオは織り込んでしまったようだ。ただマーケットは例年、決
算を控えて様子見となり、4月上旬に高値を付け後は5月中旬にかけてボトムを
付けにいく波動習性がある。また、6月末から起算して45日前はヘッジファン
ドの解約通達期限が来るため、外国人は多少売り越しになる可能性もある。この
ため、5月の中旬くらいまで上値は追えないのではないか」

●大和証券SMBCグローバル・プロダクト企画部の西村由美上席課長代理
  「米銀最大手のシティグループが18日発表した1-3月決算が一部予想ほ
ど悪くなかったことを好感し、週初は金融株を中心に買い戻しの動きが活発化し
そう。ただ、日経平均で1万3500-1万4000円の価格帯は昨年来の累積売買代
金が圧倒的に多く、市場エネルギーが高まってこないと、戻り待ちの売りに押さ
れやすくなる。東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)が18日時点で114%ま
で上昇し、過熱感を示唆する120%に接近。22日にピークアウトする公算が大き
く、テクニカル面でも相場の上昇が一服しやすいタイミングにきている」

--共同取材:長谷川 敏郎、常冨 浩太郎、河野 敏 Editor:Kenzo Taniai、Shintaro Inkyo

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 院去 信太郎  Shintaro Inkyo +81-3-3201-8348 sinkyo@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 東京 Nicolas Johnson +81-3-3201-8343 nicojohnson@bloomberg.net

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