温暖化で北極のゴールド・ラッシュに期待高まる-BHPなど鉱山大手

米空軍は冷戦時代、北極地方の上空を飛 行するソビエト軍の爆撃機を監視するため、カナダのバフィン島にある砂利で できた滑走路を利用した。いま、地球温暖化によって氷が溶解しているこの島 から、ケン・リー氏は鉱石のサンプルを空路で輸送している。同氏が最高経営 責任者(CEO)を務めるコマンダー・リソーシズ(バンクーバー)が、島に 金が埋蔵されているとみているからだ。

リー氏は、バフィン島を含むカナダの準州、ヌナブトについて「探査がま だ行われていない地域がある」と述べ、「この未開拓地域が開発されつつあ る」と語る。

北極地方を覆っている氷の溶解により、この地域へのアクセスがより容易 になっている。米地質調査所によると、この地域には、金や鉄鉱石のほか、世 界の未開発の原油とガスの埋蔵量のうち最大7分の1が眠っている。また、金 と原油相場が過去最高水準となり、鉄鉱石価格がことし、最大71%高騰したこ とにより、豪BHPビリトンや加テック・コミンコ、英蘭系ロイヤル・ダッ チ・シェルなどの企業にとって、探査に取り組みやすい環境になっている。

1990年代初頭に多くの住民たちが移動してしまったこの地域の状況は、北 極地方に眠る鉱物資源を狙う企業の動きによって覆されつつある。当時、金属 価格は現在の4分の1程度。鉱山会社はリターン(投資収益率)が高く、コス トの安い南米やインドネシアでの開発を目指し、カナダには目を向けなかった。

地球温暖化によって開発の可能性が高まる一方、干ばつや洪水などの環境 災害の恐れが強まっている。資源を開発するためには重機を稼働させる必要が あり、燃料を積載した船舶は生態系を脅かすことになる。原油漏れや大気汚染、 動植物に被害を与える可能性があるため、既に複数の訴訟が提起されており、 シェルは野生生物に被害を及ぼす可能性のある事業を縮小した。

「途方もない可能性」

米地質調査所のエネルギー資源プログラムを管理するブレンダ・ピアス氏 は「北極地方は途方もない可能性を秘めている。だからこそ皆、関心を寄せて いる」と指摘。「同時に、環境が脅かされやすい地域であるため、開発には大 きなリスクを伴う」との見方を示す。

加モントリオール銀行の1部門で210億ドル(2兆1400億円)相当の運 用に携わるドナルド・コックス氏(シカゴ在勤)は、利益を得るためには忍耐 強さと十分な資金が必要になると予想している。2003年に鉱業株の「数年間に わたる上昇相場」を予測したコックス氏は「ゴールド・ラッシュが実現し、原 油や鉱物資源が発見されれば、発見した人々がより強い力を持つ」と指摘。 「わたしの祖父はクロンダイク地区でただ1人の宣教師だった。この地域から 引き揚げた人々は、金持ちになるより無一文になった者のほうが多いというこ とを覚えておくべきだ」と忠告する。カナダのユーコン準州にあるクロンダイ ク地区は1900年前後にゴールド・ラッシュを経験している。

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