日本株:輸出や金融中心に3連騰、米銀決算波乱なし-静かに割安評価

東京株式相場は2週間ぶりの3連騰。米 銀大手JPモルガン・チェースなどの業績悪化が限定的だったため、信用収縮 や景気に対する過度の懸念が後退した。みずほフィナンシャルグループが5連 騰となるなど、金融や不動産が上昇。円安も追い風となり、輸出関連株も軒並 み上げた。今期営業利益が2割減益の見込みと報じられたトヨタ自動車は、業 績悪化は株価に反映済みとして終値では2週間ぶりに5000円台を回復。

みずほ投信投資顧問の柏原延行執行役員は、「想定以上の悪材料が止まり つつあることで、日本株のバリュエーションの割安さが静かに効き始めてい る」と指摘した。同氏によると、景気や企業業績への警戒から依然としてポジ ションを軽くしている投資家が多く、「相場の底堅さを受けて短期的にはいっ たん上値を試す可能性がある」(同氏)という。

日経平均株価の終値は前日比252円17銭(1.9%)高の1万3398円30銭。 TOPIXは21.44ポイント(1.7%)高の1293.32で、一時は7営業日ぶり に1300ポイントを回復する場面もあった。東証1部の売買高は概算で18億 6331万株、売買代金は同2兆3500億円。値上がり銘柄数は1255、値下がり銘 柄数は339。

東証業種別33指数では値上がりが30、値下がりが3。電気機器、銀行、 輸送用機器、機械、化学、不動産、証券・商品先物取引などが高い。半面、食 料品と陸運の景気動向に左右されにくいディフェンシブ関連業種のほか、保険 は安い。

波乱なしが好材料、日経平均75日線抜け

金融システム不安が最悪期を脱したとの見方から、日本株の売られ過ぎを 見直す動きが継続した。景気や企業業績の悪化はなお継続していることで中期 的な見通しは強弱観が対立しているものの、米国の減税や利下げ効果による回 復をいったん見極める局面として売り圧力が低下している。日経平均は心理的 節目となる1万3500円直前では伸び悩み傾向も見せたが、長らく上値抵抗線 となっていた75日線を約5カ月半ぶりに上回った。

注目された米金融決算では、JPモルガン(JPM)が16日に発表した 1-3月決算は前年同期比50%減益ながら、1株利益は市場予想と一致。ダ イモン最高経営責任者は、信用市場の危機は80%終了した可能性もあると発 言した。ブルームバーグの集計データによると、同社は過去最大となる総額 60億ドル(約6100億円)規模の永久優先株発行を計画している。

金融機関の決算では17日にメリルリンチ、18日のシティグループが予定 されている。追加損失に伴う信用不安に対する事前の警戒が強かっただけに、 JPMでは悪材料が出なかったことが好材料との受け止め方が広がった。「米 国金融セクターは業績回復には時間がかかるものの、これから明らかになる業 績悪化や追加損失に市場が驚くことはならないだろう」(トヨタアセットマネ ジメント投資戦略部の浜崎優シニアストラテジスト)。

金融不安の後退観測を反映し、株価の予想変動率の指標であるシカゴ・オ プション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX指数)は16日に 今年の最低水準に低下。また、2月の日本の鉱工業生産指数確報値が大幅に上 方修正されたことも追い風となり、債券市場は下落した(利回りは上昇)。為 替は1ドル=102円台に入るなど、外部環境は落ち着きを示している。

米大手証券メリルリンチが16日発表した機関投資家を対象にした調査に よると、日本株のポジション(「オーバーウエート」-「アンダーウエー ト」)は3月のマイナス27%から4月はマイナス25%となり、アンダーウエ ート幅は昨年12月以来の縮小となった。

悪化は予想の範囲内

一方、企業業績についても想定ほど悪くないとの受け止め方が出ている。 本格化している米企業決算では、前日の半導体最大手インテルや16日取引終 了後のコンピューターサービス最大手IBMなどがそろって先行きに強気の見 通しを示唆。「米国の景況感は足元が厳しいながらも、先行き改善を後押しす る内容として相場全体にプラスに働いている」(大和証券SMBCグローバ ル・プロダクト企画部の高橋和宏部長)とされた。外需依存度の高い電気機器 や輸送用機器、機械など輸出関連株は軒並み上げた。

また、きょうは09年3月期の業績悪化報道を受けたトヨタ自動車が3連 騰。今期企業業績の減益は市場コンセンサスとなっているため、「円高による 減益は織り込み済み」(大和SMBCの高橋氏)との見方が優勢になった。個 別企業については、業績のネガティブ・サプライズが今後も数多く出ることが 予想されるが、「それがマーケット全体としての地合いを悪化させるとは考え にくい」と、みずほ投信の柏原氏は話している。

金融や不動産高い

業種面では、金融収縮懸念で売り込まれていた金融株や不動産株の上げが 目立った。銀行株では三菱UFJフィナンシャル・グループが、終値では2月 5日以来となる1000円台を回復するなど、銀行は東証1部業種別上昇率で2 位。オリックスやクレディセゾンなどのその他金融は同3位、野村ホールディ ングスなど証券・商品先物取引は同5位となった。不動産では住友不動産が売 買を伴って3連騰。東証1部の上昇率上位にはアトリウム、ゼクス、サンフロ ンティア不動産、ジョイント・コーポレーション、アーバンコーポレイション などが軒並み並んだ。

Gウィルが急騰、田辺三菱薬は急反落

個別に材料が出た銘柄では、人材派遣業界4位のテンプスタッフが同業の ピープルスタッフを実質的に買収することが午後に明らかとなり、業界再編期 待からグッドウィル・グループが午後に急騰。08年11月期純利益が大幅な増 益に一転する見通しのイワキ、08年3月期営業損益が黒字になったもようと 17日付の日本経済新聞朝刊が報じたNECエレクトロニクス、09年2月期純 利益が2期ぶりに黒字浮上見通しのベスト電器もそれぞれ急伸した。

半面、抗リウマチ薬「レミケード」が競合激化でシェアを奪われるとの懸 念が強まった田辺三菱製薬が急反落。08年3月期の連結純利益が従来予想を 下回ったもようと発表した興銀リース、CLSAアジアパシフィック・マーケ ッツが投資判断を引き下げたカプコンが安い。売買代金上位では三菱商事や三 井物産が続落。JTやキリンホールディングスなど食品株も下げた。

--共同取材:Patrick Rial  Editor:Shintaro Inkyo

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