2月の鉱工業生産は新基準でプラスに上方修正-景気判断に影響も(3)

2月の日本の鉱工業生産指数確報値は、新 製品の登場などに伴う産業構造の変化に対応するため5年ごとに実施される指 数基準改定の結果、前月比でプラスとなり、マイナスだった改定前の速報値か ら大幅に上方修正された。景気の重要指標である生産がプラスに転換したこと で、政府・日銀の景気判断にも影響を与えそうだ。

経済産業省が17日発表した鉱工業生産指数(確報)によると、2月は前月 比1.6%上昇し、110.2(季節調整済み、2005年=100)となった。新たな05年 基準では過去最高となり、これまでの00年基準で生産のピークとみられていた 昨年10月を上回った。前年同月比では5.1%の上昇。00年基準に基づく速報値 では、前月比が1.2%低下、前年同月比は4.2%上昇だった。速報値の前月比は 基準改定で0.9%上昇に上方修正された。また、1月は改定前の前月比2.2%低 下から同0.5%の低下となった。

政府は3月の月例経済報告で、景気回復は「このところ足踏み状態にある」 とし、02年2月以降の景気拡張局面で3度目となる「踊り場」入りとの認識を 示した。米国景気の景気後退懸念が強まる中、輸出との関係が深い生産の動向 は、日本経済が踊り場からの脱却を判断する上で鍵となる。

みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は発表を受けて、 「1-3月期の生産のベクトルが、下向きから上向きへと大きく変化。すでに 景気は後退したという見方にとって、大きな打撃である」と述べ、日銀による 早期利下げ説にも「今回の統計改定は、決定的な打撃になった」としている。

三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは発表後、 過去最高水準となった2月の生産指数水準を受けて「断言はできないが、一部 にあった昨年11月ごろが景気の山で既に後退局面に入っているという見方を覆 し、やはり足元の景気は厳しい環境下ながらも在庫調整の必要がなく『踊り場』 でとどまる可能性が大きくなったようだ」との見方を示した。

予測指数も上方修正

同時に発表された新基準に基づく製造工業生産予測指数は、3月が前月比

0.2%上昇、4月は同1.1%の低下となった。旧基準では3月が同2.0%上昇、4 月は1.0%低下だった。経産省の経済解析室の久武昌人室長は同日午後の記者説 明で、3月の予測指数をそのまま当てはめると、1-3月期の生産は前期比

0.5%上昇の見込みになると説明。ただ、基調判断については「総じてみれば横 ばい傾向で推移している」との改定前の判断を維持した。

新基準と旧基準の間で、生産指数作成上の業種別比重の変化をみると、電 子部品・デバイス、情報通信機械や窯業・土石製品などは低下する一方、鉄鋼、 電気機械、輸送機械などは上昇した。

指数採用品目数は旧基準の521品目から496品目に減少。このうち、新規 採用品目は34、分割・統合品目は29、廃止品目は71になった。例えば電気機 械では、一般用タービン発電機、電気温水器などが新規採用された一方、電子 レンジやマンガン乾電池などが廃止された。

2月の生産を業種別にみると、輸送機械、化学、一般機械などが上昇する 一方、その他工業、情報通信機械、パルプ・紙・紙加工品などが低下した。2 月の製造工業稼働率指数は、15業種中10業種で上昇し、106.3と前月比1.8% 上昇。また、製造工業生産能力指数は105.6と前月比0.1%上昇した。

景気一致指数も上方改定へ

生産関連指数の上方修正を受けて、内閣府が21日に発表する2月の景気一 致指数(改定)も上方修正される可能性が出てきた。7日に発表された景気動 向指数(速報)によると、現状の景気を示す一致指数(DI)は44.4%、先行 指数(同)は50.0%、遅行指数(同)は50.0%だった。

三井アセットの宅森氏は、2月鉱工業生産の確報結果を受けて、「先行DI

54.5%程度、一致DIは60.0%程度と、ともに景気分岐点の50%を上回ると暫 定的に予測する」としている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE