東証元常務の長友氏:財務状況の正確な把握当然-内部統制導入で

東京証券取引所の元常務で、現在は企業経 営支援・アドバイスなどの事業を手掛けるENアソシエイツ(千代田区)の代表 取締役兼早稲田大学大学院教授の長友英資氏はブルームバーグテレビジョンのイ ンタビューで、2008年度から導入される内部統制報告制度について、財務状況の 正確な把握は経営者にとって当然であり、同制度導入はステークホルダー(利害 関係者)にも有益なものだとの考えを示した。主な発言内容は次の通り。

内部統制とは、上場企業が08年度から財務報告に関する内部管理体制を自 社で構築、作成し、監査法人による監査を受けたうえで、結果を投資家に公表す るように義務付けた新しい制度。最初の報告は09年6月末となる。

内部統制が今期からいよいよ始まるが、どう認識しているのか

「企業の経営者にとって、財務の状況が一体どうなっているのか正確に把握 するのは当たり前のことであり、大前提でもある。その財務報告がどういう体制 で作られているか検証する、それ以上でも以下でもない。大騒ぎするのではなく 財務報告にかかる作成のプロセスのなかで、また業務執行のプロセスのなかでリ スクが存在していないかどうかを検証し、もしリスクがあるならばリスクの発生 を防止するよう予防策を講じることが最も大切なことだと考えている」

報告の提出期限の厳格化などを企業はどう捉えるべきか

「日産のカルロス・ゴーン氏は、かつて日本に経営はあるのかと発言したこ とがあるが、ここでゴーン氏が指摘したのは財務管理面のこと。財務管理は、会 社を運営するうえでは根幹。したがって財務状況が的確に、早期に経営のもとに 届けられるというのは当たり前の話。それが1日、2日でも早めに経営に届くと いうことは、そのデータを基に新たな戦略をとれるということ。早くなったから 大変だということではない。義務化を感じながらやるのではなく、この機会に足 元を見据えながら、自分たちの競争力強化のためにやる。しかも準備作業のなか でシナジー(相乗)効果を持たせるような対応をしていけばよい」

米国では02年に成立したSOX法(サーベンス・オクスリー法)の見直し機運 が高まっているようだが

「誰が言い出したか知らないが、今回導入されたものをJ-SOX(日本版 SOX法)と呼んでいるが、米国のSOX法とは全く別のもの。米国のように会 計士が別に見るものではなく、日本では同じ会計士が財務の作成プロセスのなか でBS(貸借対照表)、PL(損益計算書)の中身も同一に見るという方式をと っていることからも、SOX法と比較をして考える必要は全くないと言える」

「もっとも、金融庁の方でも『11の誤解』という文書を出しているようだが、 要は足元を見据えながら、正確な財務情報が伝えられていますね、作成プロセス に間違いはありませんねということをもう一度確認をしてくださいということ。 それ以上でも以下でもない」

新制度導入で今後の課題は何か

「リスクマネジメントがまだ不十分だ。事業リスクに対して発生の防止策を とるということは全てのステークホルダー、取引先や消費者も含めて迷惑を掛け ない形で誠実な企業運営をするということ。そのリスクの管理がまだまだできて いないようだ」

「企業は常に社会に存在する意義を考えなければいけない。世の中に役立つ ものを生み出すとの原点に立ち返り、それは何かをそれぞれの企業が考えながら、 誠実に生み出すためのリスクチェックをする必要がある」

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