CDS指数の一部は「フランケンシュタインの怪物」に変身-ワコビア

企業などの信用力を取引するクレジット・ デフォルトスワップ(CDS)市場は、現実は思惑通りにならないという教訓 になった。CDSなどに関連した大手金融機関の損失が、計2450億ドル(約24 兆7800億円)に達しているためだ。

CDSは、グリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長が予想 したようなリスク分散や借り入れコスト低下の効果を生むどころか、信用危機 のさらなる悪化を招いた。

デフォルト(債務不履行)から金融機関を守るはずだったこの手段は、計 45兆ドルの債券・ローンを対象にした誰にも規模が把握できない巨大市場を誕 生させ、信用の劣化を前提にした投機家の行動が実際に信用の劣化を呼び込む 状況を作ってしまった。

米銀ワコビアのアナリストは、CDS指数の一部は「フランケンシュタイ ンの怪物」に姿を変えたと指摘する。現物債価格を基に算出されるこの指数が、 反対に現物債価格を左右するようになったためだ。

金融機関は損失の再発を恐れ、自動車ローンや欧州住宅ローンなどさまざ まな債権を対象にした新たな指数を投資家に提供するのに消極的だ。このため 過去10年間にわたり毎年約2倍のペースで成長してきたCDS市場の伸びは停 滞している。

スイス再保険のジャック・エイグラン最高経営責任者(CEO)は、3月 18日にドバイで開かれた会合で「CDS指数は、対象の現物市場と全く関係の ない形で取引されている。その現物市場もすでに消滅してしまった」と指摘し た。

支持の欠如

英マークイット・グループによると、先月には複数の金融機関が米自動車 ローンを対象にした指数の導入計画を棚上げした。ディーラーの支持の欠如が 理由という。欧州の住宅ローンや米国の「オルトA」ローン(サブプライムと プライムの中間に位置するローン)を対象にした指数の導入も延期されている。

UBSの資産担保債シンジケーション担当責任者アンドルー・デニス氏(ロ ンドン在勤)は「証券化市場が最も必要としていないものは、投資家が元手な しに相場をもてあそぶことができてしまうような投資商品だ」と語った。

ワコビアは1月、商業用モーゲージ債権6億ドルの評価額を引き下げた。 オフィスからショッピングモールまでさまざまな対象のローン担保証券を基準 にしたデリバティブ(金融派生商品)に連動するCMBX指数の示唆する価格 が低下したためだ。

総資産で米銀最大手のシティグループも、保有資産を評価する指標にCD S指数「ABX」を導入した影響で、サブプライム関連の資産評価額を181億 ドル引き下げた。

会計規則によって企業には、ほとんど取引が成立しない資産の一部につい て、その評価額を見積もり、含み損益を計上することが義務づけられている。 この作業に必要な気配値が存在しない場合は、CDS指数などの指標を使って 評価しなければならない。

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