G7のドル安けん制は効果薄、協調介入程遠く-米国の3要因変わらず

11日閉幕した7カ国財務相・中央銀行総裁 会議(G7)が、共同声明で示唆したドル安けん制の効果は小規模で短命に終わ り、ドルが売られやすい相場環境に戻る公算が大きい。米国を取り巻く金融不 安・景気悪化・金利低下というドル安要因に総じて大きな変化がなく、日米欧が 協調する形での利下げや市場介入の可能性は低いと、多くの市場関係者が見てい るためだ。

共同声明では、為替に関する部分を大幅に変更し、2月の前回G7以降の相 場動向について「主要通貨において時として急激な変動があり、経済や金融の安 定へ与え得る影響について懸念している」と明記した。2004年2月の米ボカラ トンG7で「過度の変動や無秩序な動きは望ましくない」とした文言を4年ぶり に変更。主要通貨に対する「懸念」が記されたのは、2000年9月のプラハG7 以来となる。

三菱東京UFJ銀行市場業務部の高島修チーフアナリストは、G7のドル安 懸念の共有は「ドルの売り手に切迫した危機感を抱かせるものではない」と指摘。 JPモルガン・チェース銀行の佐々木融チーフFXストラテジストは、G7が為 替に関する焦点を「(米経常赤字に代表される)世界的な不均衡の是正から、ド ル急落が金融システムに及ぼす悪影響に移した」ものの、ドル買いの協調介入の 可能性は低いとの見方を示した。

米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題に端を発した金融 危機は3月に、米証券大手ベアー・スターンズの実質的な破たんと買収、米連邦 準備制度理事会(FRB)による緊急資金供給にまで発展。米経済は急速に悪化 し、FRBは昨年秋以降、政策金利を3%も引き下げた。

3月中旬には、FRBが算出するドルの実効相場(対主要国通貨)が過去最 低を記録。円相場は一時1ドル=95円台と、1995年以来の円高・ドル安水準に 達した。ドルは対ユーロでも今月10日、99年1月のユーロ導入以来の最安値と なる1ユーロ=1.59ドル台に下落した。

ガス抜きか

市場では、共同声明の為替に関する文言は前回までと同じになるとの予想が 大勢。変更は「サプライズ」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミ スト)だった。にもかかわらず、日米欧の当局者はそろって、詳細についての言 及を避けた。ポールソン米財務長官は「強いドル政策」をあらためて強調。トリ シェ欧州中央銀行(ECB)総裁はインフレ警戒姿勢を崩さず、額賀福志郎財務 相は円高に懸念を表明しなかった。

バンク・オブ・アメリカの藤井知子・日本チーフエコノミスト兼ストラテジ ストは、声明文の文言は「最大公約数の合意で、G7各国には温度差がある」と 指摘。為替政策の「大幅な変更を意味しない」と結論付けた。みずほ証券の上野 氏は、急速なドル安は原油など商品市況の高騰を通じて世界経済の悪化をもたら しかねないとの懸念が文言変更の背景と分析する。

市場関係者の多くは、G7声明の為替に関する表現変更を「相場の方向や水 準ではなく、あくまでボラティリティー(変動の大きさ)を懸念したもの」(ロ イヤル・バンク・オブ・スコットランドの山本雅文ヘッド・オブ・FXストラテ ジー・ジャパン)と解釈。「ごく目先には小幅なドル買い材料にはなっても、中 長期的には大きな意味合いはない。相場全体の大きな流れは変わらない」(バー クレイズ・キャピタル証券の高橋祥夫チーフ外債ストラテジスト)と予想してい る。

週明け14日の東京市場で、円・ドル相場は朝方こそ一進一退にとどまって いたが、その後はじりじりと円高・ドル安が進行。G7直前の先週後半と同様、 1ドル=100円台に上昇した。

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--共同取材:下土井京子   Editor:Norihiko Kosaka, Tetsuzo Ushiroyama

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