債券は大幅高、米債高・株安や反動の買い-先物は一時140円台(終了)

債券相場は大幅高(利回りは低下)。前週 末の米国市場で株安・債券高となった地合いを踏襲。日経平均株価が大幅反落し たことを受けて、円債市場は買い優勢となった。先物6月物は朝方に一時140円 台を回復した後、午後はあすの30年債入札を控えて高値圏でもみ合いとなった。

11日に米ワシントンで開催された7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G 7)でサブプライム(信用力の低い個人向け住宅ローン)問題に対する即効性の ある対策が打ち出されなかったこともあり、前週末に急落した反動の買いも入っ た。

岡三証券経済調査部シニアエコノミストの坂東明継氏は、「株価の動きに敏 感に反応して朝方から先物が買われた。先物に比べると現物債の方は狭いレンジ 内での動きにとどまった。現物債は需給の良さを背景に、下げたところでは押し 目買いが入るが、上値を追う動きはみられない」と述べた。

東京先物市場で中心限月6月物は、前週末比44銭高い139円75銭で寄り付 いた。寄り値が日中安値。その後、株価の反落を受けて、午前9時17分ごろに 日中高値140円1銭まで上昇し、2営業日ぶりに140円台を回復した。午後は高 値圏でもみ合う展開となり、結局は59銭高の139円90銭で引けた。

日興シティグループ証券シニアストラテジストの山田聡氏によると、「前週 末から今週にかけて債券先物は、株価との逆の動きが目立っている」という。

日経平均株価は大幅反落。一時450円超の下落となり、前週末比406円22 銭安の1万2917円51銭で取引を終了した。

新発10年債利回りは一時1.33%に低下

現物債市場で、新発10年物の291回債利回りは、前週末比3.5ベーシスポ イント(bp)低い1.335%で寄り付いた後、一時1.33%まで低下した。その後は、 徐々に低下幅を縮め、午前9時42分ごろに1.345%をつけた。午後は1.34%で 推移していたが、3時45分すぎからは1.335%で取引されている。

岡三アセットマネジメントの債券運用部長、山田聡氏は、「前週は入札結果 が良くなかった。またG7に対する懸念もあったため、先週末は下がり過ぎた。 その反動が出ている。G7は金融市場への具体的な協調行動を提示していなかっ たので、債券相場にとって少なくともネガティブ材料とはならなかった」と説明 した。

あす30年債入札、クーポンは2.4%か2.5%

財務省はあす15日、30年債入札を実施する予定。発行予定額は1月の前回 入札と同額の6000億円程度。発行日は4月18日、償還日は2038年3月20日。 表面利率(クーポン)は、前回債と同じ2.5%か、0.1ポイント引き下げの2.4% か、両方の可能性がある。

日興シティの山田氏は、「クーポンは2.4%か2.5%になりそう。2.5%近辺 では需要は高い。ただ先物でヘッジしづらい形となっており、慎重になるかもし れない。もっとも超長期債は投資家の実需はあるので、5年債、10年債入札ほ ど悪くはないと思う」と予想している。

また坂東氏は、「割安感が出ているので、利回り重視の投資家の買いが期待 できる」としながらも、「今週は米金融大手の決算発表が本格化するので、米国 市場が不安定な動きを示すとみられることから、外国人投資家の動きは読みづら い」と語った。

4月に入って、10年債に続き5年債入札も低調な結果となっており、証券 各社のリスク許容度が低下しているとの指摘も出ていた。

G7は為替変動に懸念、金融業界再編観測も

G7共同声明では、2000年9月以来、約7年7カ月ぶりに為替の急激な変 動に対する懸念が表明された。

みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、「焦点の信用不 安問題への対応策を中心に議論が行われたが、大きなサプライズを市場に与える イベントにはならなかった。むしろサプライズだったのは、共同声明の為替相場 に関する部分が書き換えられたこと」と指摘。「今回のG7の債券相場への影響 は、株価・為替を通じたものとなる」との見方を示した。

一方、JPモルガン証券チーフエコノミストの菅野雅明氏は、今回の金融安 定化策の特徴として、①安定策の主眼が従来の「流動性不足」から「金融機関の 資本不足」への対応にシフト②監督当局の役割見直し③金融インフラの整備―を 指摘。そのうえで、「公的資金注入の有無にかかわらず、今後さらなる国際的な 金融機関の再編は不可避」と予想している。

市場では、「サブプライム問題に対する即効性のある対策や、各国の協調姿 勢が強く出されなかったため、全体的には市場の不安はぬぐえていない。株安・ ドル安の流れは当面続く可能性が高い」(ニッセイ基礎研究所主任研究員の矢嶋 康次氏)、「国際金融業界に再編と資本増強を強く迫る異例の会合」(クレディ スイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏)との声も聞かれた。

今週は、16日にJPモルガン・チェース、17日にメリルリンチ、18日にシ ティなど米金融機関の決算が相次ぐ。

リーマン・ブラザーズ証券チーフJGBストラテジストの山下周氏は、「金 融市場混乱に伴う損失拡大額、収益力、先行き見通しなどのうち、足元悪いこと は想定済みだが、先行きの見通しがよほど改善しなければ、株高にはつながりに くいだろう」と分析している。

(債券価格)                           前週末比       利回り
長期国債先物6月物         139.90       +0.59         1.436%
売買高(億円)             30394
10年物291回債            99.69                  1.335%(-0.035)

--共同取材:宋泰允 Editor:Hidenori Yamanaka,Norihiko Kosaka

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