ドル反発にはG7声明だけでは不十分、行動が必要-アナリストの見方

7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7) は先週、ドル安けん制に向けて踏み込んだ声明を発表したが、ドルの持続的な反 発にはG7による行動が必要となるかもしれない。

ポールソン米財務長官やトリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁らG7出席者 はワシントンで11日開催された会合後、最近の為替相場の「急激な変動」が世 界経済に悪影響を与えるリスクがあるとの認識を示した。それでもECBが米金 融当局に追随した利下げを拒み続ける限り、ドル押し上げには失敗しそうだ。ま た、声明内容を援護するような市場介入に消極的になれば、文言の効果は限定的 となる恐れがある。

モルガン・スタンレーのチーフ通貨ストラテジスト、スティーブン・ジェン 氏(ロンドン在勤)は、「当局者らは明らかにドルに対する懸念を強めているが、 公に市場に対抗する準備はできていない。ECBが利下げに消極的な状況では、 信頼性がないことを認識しているためだ」と語る。

ドルはG7の2月の会合以来、下落が加速。対ユーロで8%下落して最安値 を付けたほか、対円で6%値下がりした。ドルのオプションのボラティリティ(変 動率)は3月に14.5%へ上昇。これはG7が前回ドル安阻止を試みた1995年 以来の水準だ。これを受けて、G7の為替に関する声明が変化した。

共同声明のトーンの変化は、ドル安による輸出への影響を懸念する欧州各国 の政府にとっては勝利を意味する。ラガルド仏財務相はブルームバーグテレビジ ョンとのインタビューで、「為替に関して協調した今回の文言が支援材料となる ことを望んでいる」と語った。

ポールソン財務長官が声明に同意したのは、ドル安が原油高につながったほ か、米国の株式や他の資産に対する国外からの投資を脅かす要因になりかねない ためだと、ゴールドマン・サックス・グループの世界経済調査責任者、ジム・オニ ール氏はみる。

声明内容

声明は為替問題について、2月の前回会合以降、「主要通貨において時とし て急激な変動があり、経済や金融の安定へ与え得る影響について懸念している」 と表明。その上で「引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する」と指摘し た。2004年2月のボカラトンG7以来維持してきた「過度の変動や無秩序な動 きは望ましくない」との表現を4年ぶりに変更し、警戒感を示した。日米欧各国 はユーロ買いの協調介入を実施した2000年9月以後、為替介入を行っていない。

G7の今回の声明を受け、ドルの下落ペースは抑えられるかもしれないが、 その方向性を転換するには、中銀各行が金融政策をそろえる必要があると、アナ リストらは指摘する。昨年9月以来、米金融当局はリセッション(景気後退)回 避を目的に3ポイント利下げしたが、インフレ率がほぼ16年ぶり高水準のユー ロ圏では、ECBが政策金利を6年ぶり高水準の4%で据え置いている。これで はユーロ買い・ドル売りが有利だ。

投資家が今月にも米国で追加利下げがあると見込むなか、G7に参加したE CBの定例政策委員会メンバー、ウェーバー独連銀総裁は「現在の状況下で、利 下げする余地は見られない」と語った。

経済上の優先事項が異なるため、G7はドル買いで実際に外為市場に介入す ることはないと、RBSグリニッチ・キャピタル・マーケッツの国際通貨戦略の 責任者、アラン・ラスキン氏は指摘する。また、ゴールドマンのオニール氏は、 G7がドルを支えるかどうかを試すため、市場が1ユーロ=1.60ドル方向へド ル売りを試みる可能性を指摘した。11日の相場は同1.5808ドル。

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