アイスランド国民は誰もが為替の専門家-通貨安で生活すべてに影響

エギル・ヨハンソン氏(44)はアイスラン ドのレイキャビクにあるオフィスで、15分ごとに同国通貨クローナの相場をチ ェックする。

といっても、ヨハンソン氏は為替トレーダーではない。自動車のディーラー だ。クローナの対ユーロ相場が年初来で約2割も下げたため、最大12%値上げ せざるを得ないのだ。同氏は「自動車の販売にもっと時間を充てることができれ ばいいが、ここはアイスランドだ。為替がすべてを左右する」と語る。

クローナは、世界的に信用が収縮するなかで、アイスランドの対外債務比率 は高過ぎるとの懸念から売られている。同国中央銀行が10日、政策金利を過去 最高の15.5%に0.5ポイント引き上げることにつながった通貨安で、約30万 人の国民はクローナ相場の動きに一喜一憂している。

白夜や火山国として有名なアイスランドは魚以外、ほとんどすべてを輸入に 頼っているが、同国中銀のオッドソン総裁が「投機的」と呼ぶクローナ売りを受 け、自動車から食料品、衣料品に至るすべての価格が高騰している。10日の利 上げは3月25日の1.25ポイントの緊急利上げに次ぐ動きだった。インフレ率 は3月に6年ぶり高水準の8.7%となった。

アイスランドは変動相場制採用国では経済規模が最も小さい。純対外債務は 国内総生産(GDP)の122%と、経済協力開発機構(OECD)加盟の30カ 国中で最も高い。

アイスランド商工会議所のエコノミスト、フロスティ・オラフソン氏は「あ る意味で、アイスランドは経済の実験台のような国だ。20年から50年後、経 済学者がこの国を見て、この程度の経済規模で自国通貨を持つことが可能かどう かを判断するだろう」と語る。

クローナ安の影響は国内の至る所に及んでいる。高い国内金利を避けるため、 外国通貨での借り入れを行う国民が多いためだ。ヨハンソン氏は今年の販売が 20%落ちるとそろばんをはじく。自動車の買い手の多くはユーロや円で借り入 れるため、為替レートがものをいう。同氏は「われわれは皆、為替の専門家だ。 厳しい1年になりそうだ」と語った。

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