G7:各国は協調行動で見解一致しない可能性も-11日開催

ワシントンで11日に開かれる7カ国財務 相・中央銀行総裁会議(G7)では、信用危機に伴う景気悪化を緩和するため、 との程度の協調行動が必要かについて見解が一致しない可能性がある。

各国の財務相や中銀総裁は将来的な危機の回避に向けて、金融市場の規制 強化を協議する方針を示しているが、エコノミストの一部は市場が現在直面し ている緊張感に対応するものではないと指摘している。

国際通貨基金(IMF)在籍の経験があるウニクレディトMIBのチーフ エコノミスト、マルコオ・アヌンジアンタ氏(ロンドン在勤)は「今回のG7 に市場が失望するリスクは高い」と指摘。「危機的状況への具体的な対応策が ほとんど出されない可能性がある」との見方を示した。

欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は10日、金融市場の緊張による「実 体経済への影響は現在の想定以上に広範に及ぶ可能性がある」と指摘。ポール ソン米財務長官も同日、米経済は「著しく下降した」との認識を示した。イン グランド銀行は、同日実施した利下げを正当化する理由として、世界的な成長 鈍化と資金調達難を挙げた。

G7当局者は11日午後6時半(日本時間12日午前7時半)すぎに、共同 声明を発表し、記者会見に臨む予定。その後、日米欧金融機関約10社の首脳と の夕食会に出席する。

「期待外れ」

ドイツ銀行のチーフ欧州エコノミスト、トーマス・メーヤー氏は「われわ れは各国中銀が現在の危機的状況への対応で協力し、共通の方針をとることを 望んでいる」との考えを示しながらも、「この望みが期待外れになる可能性は 高いようだ」と語った。

IMFは今週、世界的なリセッション(景気後退)に陥る確率を25%と推 計。資産家ジョージ・ソロス氏は、米住宅ローン証券の損失に端を発した信用 収縮は、改善前にさらに悪化することになるとの見通しを示した。

G7は、金融市場の透明性強化のための金融安定化フォーラム(FSF) の提言を支持する方針だ。主要国の金融監督当局の代表が参加するFSFは、 自己資本の引き上げや銀行の損失開示の迅速化、当局の国境を越えた監視強化 などを提案している。

G7の「期待」

FSFの提案についてマコーミック米財務次官(国際金融担当)は、9日 のインタビューで「その一部は市場の信頼感の構築に役立つと期待している」 との考えを示した。

エコノミストの間には、規制を強化しても現在の信用市場の緊張緩和には 十分でないとの懸念がある。

マコーミック財務次官とカナダのフレアティ財務相は今週、財政難に陥っ た住宅所有者や銀行を救済するために公的資金を投入する措置を拒否。メーヤ ー氏によると、各国中銀は金融危機への対応で統一歩調を取る意思をほとんど 示していないという。

米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年9月以降これまでに政策金利を合 計3ポイント引き下げ、貸し出しの担保の対象を住宅ローン債権にも広げたが、 欧州の中銀の対応はそれほど積極的ではない。欧州中央銀行(ECB)は利下 げを見送り、イングランド銀行も緊急貸し出しの担保を制限している。

協調できる措置

一方で、住宅ローン担保証券の買い入れや、国外銀行への貸し出し容認な ど、各国中銀が協調できる措置はまだ残っていると言うのは、UBSの外為ス トラテジスト、ジェフリー・ユー氏だ。

ユー氏は「平常の状態を取り戻すためには、的を絞った大規模で長期的な 行動が必要だ」と指摘した。トリシェECB総裁は9日、ECBが住宅ローン 担保証券を買い取る計画はないと言明している。

ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフエコノミスト、カール・ ワインバーグ氏は、G7各国が「異なる経済事情」を抱えているため、協調行 動が強化される可能性は低いとの見方を示す。米国がリセッション(景気後退) 入りの危機にある一方、欧州はほぼ16年ぶりの高インフレと戦っていると指摘。 「利下げや財政政策での協調は想像し難い」と語った。

為替相場

アナリストは為替相場に関しては、G7各国がそれぞれ異なった立場にあ るという見解では一致するかもしれないと指摘する。ドルは今週、対ユーロで 最安値に下落した。

ドル安を受けて、日欧当局者の間には、輸出が受ける悪影響への懸念が強 まった。その半面ドル安は、米景気の悪化がさらに深刻化するのを食い止めて いるほか、欧州がインフレ加速を回避する上でも一役買っている。

ゲイン・キャピタル傘下FOREX・ドット・コムの主任為替ストラテジ スト、ブライアン・ドーラン氏は、こうした状況はG7声明が「為替相場の過 度の変動は好ましくない」との文言を繰り返すことを示していると指摘した。

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