業績下方修正のIHI株に売り、円高や海外工事トラブル-宇宙でも

10日に前期の業績予想の下方修正を発表し たIHIの株価は、一時前日比8円(4.2%)安の185円まで下げ、1月17日に 付けた52週安値(181円)に接近する場面があった。業績予想の見積もりの甘 さや取り巻く環境への不安から売りが先行、売買高は1800万株を超え、午前10 時51分時点では東証1部の3位。ただ、相場全般が上げ幅を拡大した影響もあ り、安値後は前日水準まで下げ渋っている。

IHIは10日、2008年3月期の連結純利益が従来予想に比べて60億円の 減額となり、200億円になったようだと発表した。赤字予想だった営業損失、経 常損失も下方修正。円高進行や資機材の高騰、海外工事の新たなトラブル発生な どが要因としている。

売上高は昨年12月発表時と同じ1兆3200億円だが、営業損失は150億円か ら180億円に悪化する。原子力事業で工事請負契約の増額交渉が年度内に決着し なかったことや、保守点検工事が予想を下回ったことなどで損益が100億円悪化 したことが主因だとしている。第4四半期に、セメントプラント事業で追加の補 修工事が発生したことも追い討ちをかけた。

円高で為替レートが1ドル=100円(想定110円)となり、為替差損を計上 して営業外損益も悪化、経常損失は60億円悪化。特別損失では宇宙開発関連の 評価損60億円が発生したため、株式売却益を計上するものの、当期利益も60億 円の悪化を余儀なくされた。

野村証券金融経済研究所の岡嵜茂樹アナリストは、プラントのさらなる損益 悪化で印象は良くないとの見解を10日付の投資家向けリポートで指摘。「ポイ ントは、資機材上昇や円高が続く中で、09年3月期にエネルギー・プラント事 業の採算改善がどの程度進むか」(同氏)だとした。

昨年とは内容違うと会社側、宇宙評価損の詳細

一方、10日に会見したIHIの芹沢誠財務部長は、今回の業績悪化要因が 昨年発表したプラント事業の大幅赤字とは内容が違うと強調。昨年の巨額赤字は、 内部管理体制に起因するものであったのに対し、「今回は事業主体ではなく、特 定の工事が要因」と説明している。

また芹沢部長は、今回の宇宙開発関連の特別損失60億円が、GXロケット 部品の評価損であることを明かした。GXはIHIが主導となって進めている国 家プロジェクトで、2段目のロケットに世界で初めてLNG(液化天然ガス)を 使うのが特徴。しかし開発が遅れており、昨年12月31日付の日本経済新聞は、 開発そのものが存続の危機に直面していると伝えている。芹沢部長によると、今 回の特損はGXの1段目のロケットの部品の評価損。開発が遅れていく中で、1 段目のエンジンを製造している米メーカーが製造を中止してしまい、IHIが保 有する部品が使用できなくなったための措置だという。

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