東京外為:円上昇、内外株安でリスク回避強まる-アジア通貨高も波及

午前の東京外国為替市場では円が上昇。ド ル・円相場は一時1ドル=101円07銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同 じ)と、1日以来、約1週間ぶりの101円割れに迫った。内外の株安を背景に リスク資産圧縮に伴う円買いに圧力がかかるなか、シンガポール通貨庁(MA S)による自国通貨変動幅の引き上げを受けたアジア通貨高が円の上昇を後押 しする格好となった。

新光証券の林秀毅チーフエコノミストは、金融不安の再燃や原油高が米国 の株安につながり、株式から商品市場に資金が流れるという悪循環を背景にリ スク収縮の動きが強まっていると説明。この日は日本株の下落に加えて、「原 油高などによる輸入価格の上昇圧力にさらされやすいシンガポールが自国通貨 高につながる対策を講じたことで、アジア通貨全般に上昇圧力がかかり、一段 と円買いが促される格好になった」と言う。

リスク回避圧力とアジア通貨高

9日には国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しで、米国の経済成長率 予想を下方修正。加えて、米金融機関の評価損拡大懸念が強まっているほか、 米企業の決算も不振となっていることから、前日の米国株式相場は下落した。

この日の東京市場では日本株が軟調に推移しており、リスク回避に伴う円 買いが進行。ユーロ・円相場は一時1ユーロ=160円21銭と、3営業日ぶりの 水準までユーロ安・円高が進んだ。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドのヘッド・オブ・FXストラテ ジー・ジャパンの山本雅文氏は、「米金融機関の損失拡大懸念や株の下落など、 楽観論がはげるかたちとなっており、リスク回避的な動きが出てきて、ドル安・ 円高方向に圧力がかかりやすくなっている」と指摘する。

加えて、MASが午前9時過ぎにシンガポール・ドルの許容変動幅を「上 方向にシフト」すると発表したことを受けて、ドル売り・シンガポール・ドル 買いが進行。対円にもドル売りが波及し、損失を限定するためのドル売り注文 を巻き込んで、ドル安・円高が後押しされる格好となった。

ECBのタカ派姿勢を警戒

米景気の急減速が再び意識されやすくなるなか、シカゴ商品取引所(CB OT)のFF金利先物相場の動向によると、30日の連邦公開市場委員会(FO MC)での利下げ幅が0.5ポイントになるとの見方が強まった。

米国の大幅利下げ観測を背景に、前日の海外市場ではドル売りが活発化。 ユーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.5865ドル(ブルームバーグ・データ参照、 以下同じ)と、3月31日以来の水準までユーロ高・ドル安が進行し、この日も

1.58ドル台前半で推移している。

そうしたなか、この日は欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(B OE)の金融政策決定会合を控えている。

ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想では、BOEは0.25ポイン トの利下げが見込まれているが、ECBはインフレ抑制のため、今回の会合で は政策金利を据え置く見通し。さらに、ECBの利下げは9月まで見送られる 可能性もあるとみられている。

あす11日には、7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が開かれるが、 米国のサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題で混乱した金融 市場の安定化に向けて、一歩踏み込んだ対策案が提示されるかが焦点となるな か、ECB会合後に予定されているトリシェ総裁の会見内容が注目される。

住友信託銀行マーケット資金事業部門の松本三郎チーム長は、金融市場の 安定には世界的な協調行動が求められているとしたうえで、「トリシェ総裁が ユーロ高や原油高、金融市場の混乱に対して協調的な動きを示すことができる のかを見極めたい」としている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE