2月機械受注は前月の反動で12.7%減-「一進一退」の判断維持(4)

国内民間設備投資の先行指標である船舶・ 電力を除く民需(コア機械受注)は、2月に2カ月ぶりに減少した。鉄鋼や運 輸業などから大型案件が出た影響で前月に大幅増加となった反動が出たもの で、減少幅はほぼ事前予想の範囲内だった。内閣府は機械受注の基調判断を「一 進一退で推移している」と9カ月連続で据え置いた。

内閣府が10日発表した2月のコア機械受注は季節調整済み前月比12.7% 減で、総額は1兆608億円となった。前年同月比では2.4%増。内訳は製造業 が前月比13.2%減、非製造業が同13.3%減だった。1月のコア機械受注は同

19.6%の増加だった。ブルームバーグ・ニュースが民間エコノミスト30人を 対象にした調査によると、2月のコア機械受注の前月比の予測中央値は14.0% 減。予想レンジは10.0%減から18.0%減となっていた。

機械受注は各企業が設備投資のため機械をメーカーに発注する段階で集 計し、実際の民間設備投資に半年程度先行するとされる。内閣府が2月に公表 した業界集計に基づく予測調査によると、1-3月期は前期比3.5%増と3四 半期連続でプラスが見込まれている。米国の景気後退懸念や、ドル安・円高、 原材料価格の高騰に伴う収益圧迫を背景に、企業の設備投資意欲は減退してい る半面、短期的な景気循環に左右されにくい中期的な設備更新の需要も根強い。

基調判断は維持、設備維持更新の需要で堅調

内閣府経済社会総合研究所の妹尾芳彦総括政策研究官は記者説明で、2月 の減少は1月に増加した反動減の要因で、ほぼ説明できると指摘。反動要因な どを除く基調については、「今のところ落ちているとは評価していない。明確 に上昇傾向とは言えないが、底堅い動きをしている」との認識を示した。その 背景として妹尾氏は、大企業中心に設備更新の動きがある可能性に触れた。

妹尾氏は、1-3月期の見通しの3.5%増は、残る3月が前月比7.6%減 でも達成でき、仮に3月が2月と同水準の場合、1-3月期は前期比6.0%の 増加になると説明。その上で、「1-3月期はプラスに入る可能性がかなり出 ている」との見方を示した。

農林中金総合研究所主任研究員の南武志氏は発表後、「2月分は1月の反 動減が出たとはいえ、それも限定的であり、依然として底堅く推移していると 評価できるだろう」と指摘。南氏は、「企業の設備投資に対する姿勢は3月短 観に見られるように慎重化していることは間違いない」とする一方、生産拠点 の再構築の一環として国内回帰の動きが見られる中、過去の設備投資の更新需 要や将来的な労働力不足を見据えた省力化投資需要など、「構造的には国内の 設備投資需要は根強いことは確かであろう」としている。

三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストも発表後、 「景気の先行きに不透明さが漂う微妙な局面だが、1-3月期の機械受注は前 期比プラスになる可能性が大きく、足元設備投資の先行指標・機械受注の基調 は意外に底堅いと言える」との見方を示した。

焦点は4-6月

今後の焦点は4-6月期以降の動向だが、企業を取り巻く環境は厳しさを 増している。日銀が1日に発表した短期経済観測調査(短観)によると、08年 度の設備投資計画は、大企業・全産業が前年度比1.6%減、中小企業・全産業 は同24.2%減、全規模・全産業は同5.3%減となった。また足元では、鉱工業 生産が2カ月連続で減少しているほか、住宅着工件数は改正建築基準法の施行 規則緩和を受けて持ち直しているものの、事務所、工場、倉庫など非居住用の 建設は減少している。

みずほ証券の清水康和シニアマーケットエコノミストは発表後、「注目は 4-6月期へと移行している」と述べ、「景気循環に伴うトレンドの転換点近 辺では、特殊要因と言われるものも含めて10%を超える大幅増・大幅減が頻出 していることが多い」としている。その上で、「足元でトレンド転換が起きて いる可能性がある」との見方を示した。

日本政策投資銀行調査部の鈴木英介調査役は発表後、「日本経済を支えて きた企業部門の鈍化傾向が鮮明になってきている」とした上で、「景気後退局 面入りへの警戒感が高まっており、夏場以降に設備投資が一層減速する可能性 がないか留意が必要としている」と述べている。

官公需、外需などを含む機械受注総額は、前月比12.9%減の2兆7190億 円。このうち外需は同14.5%減少したものの、受注額は1兆2267億円と過去 3番目の高水準となった。

民需の業種別の受注動向をみると、製造業で前月比増加したのは15業種 中、金属製品(25.2%増)、精密機械(同18.3%増)、その他輸送機械(16.8% 増)など6業種で、減少した業種は石油・石炭製品(78.6%減)、鉄鋼(69.8% 減)、紙・パルプ(59.1%減)など9業種。非製造業では8業種中、鉱業(6.1% 増)、通信(5.5%増)など3業種が増加し、運輸(52.6%減)、電力(35.5% 減)など5業種で減少した。

ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次シニアエコノミストは発表後にブルーム バーグテレビジョンとのインタビューで、設備投資動向について「機械受注か らみると、一進一退ながら少し緩やかだが回復基調が続いている」と指摘。今 後の見通しに関しては、「ここ数年、機械受注と設備投資はかなり動きが乖離 (かいり)しており、足元の景気と収益に関しては下振れリスクが非常に高い。 設備投資は中長期的には更新需要だったり、競争強化ということで必要だと思 うが、足元の収益動向で振られる展開になるのではないかと予想している」と 述べた。

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