武田薬:米医薬品ミレニアム買収、8880億円TOB-がん領域強化(4)

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国内製薬最大手の武田薬品工業は、米医薬品 会社ミレニアム・ファーマシューティカルズを買収する。株式公開買い付け(TO B)で最大88億ドル(約8880億円)を投じて全株式を取得する。高い成長が見込 めるがん領域を強化する一環で、企業の合併・買収(M&A)を通じて事業拡大を 加速させる。

東証で10日開示した資料によると、武田薬は米国拠点を通じて1株25ドルで ミレニアム株に友好的TOBをかける。ミレニアム株の9日終値は16.35ドルで、 53%高い水準。米国時間の10日から5営業日以内に買い付けを開始、開始後20営 業日で終了する。

買い付け価格設定に際して武田薬はUBSの助言を参考にした。国内製薬会社 によるM&Aとしては過去最大規模になる。

武田薬は2月に米アムジェン日本法人を買収、3月には米セル・ジェネシス(C GI)と前立腺がんワクチンを世界で開発・販売する契約を結んだ。ミレニアムが 強みを持つがん領域は武田薬が研究開発の重点領域と位置づけており、買収を通じ て世界的な製薬会社としての地位確保を目指す。

独立系ヘッジファンドのジャパン・アドバイザリーで運用に携わる近江光雄氏 は武田薬について「ゲノム創薬で世界をリードするミレニアム買収に踏み切ったこ とはポジティブ」と評価した。同時に「アクトス特許切れのマイナス影響を完全に カバーするには少し足りない」とも指摘した。

武田薬は現在主力薬の1つ糖尿病治療薬「アクトス」が2011年に主要市場の 米国での特許が切れる。これを含めて今後特許が切れる主力薬の穴埋めが課題にな っている。少子化で日本市場の縮小が進む中、米国で収益源を確保する方針で、3 月にはアボット・ラボラトリーズと合弁会社を完全子会社化すると発表した。

この対応として豊富な手元資金を活用してM&Aを加速させている。今回の買 収に必要な資金も手元資金を充てる。現金・預金と短期有価証券を合わせた手元流 動性は昨年末で1兆7700億円あり、うち1兆円をM&Aなどに使う方針だった。

この買収収益については来期からプラス効果で中長期的には大きく貢献する と予想している。具体的な影響については改めて開示する。

武田薬は同時に、機動的な財務政策のために自己株式を600億円上限に取得す ると発表した。株数では発行済み株式の1.24%に相当する1100万株で、期間は4 月11日から28日を予定している。

武田薬株の終値は、前日比140円(2.5%)安の5410円。ミレニアム株は過去 1年間で41%上昇している。

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