IMF世界経済見通し:08年成長率3.7%に下方修正-金融混乱懸念(2)

国際通貨基金(IMF)は9日、世界的に リセッション(景気後退)が発生する恐れを避けるため、米国には住宅市場立 て直しに向けた支援増を、ユーロ圏には利下げを、日本には金融引き締めの回 避をそれぞれ求めた。

同日発表した世界経済見通しで、IMFは今年の世界経済成長率を

3.7%とし、1月時点の予想(4.1%)から下方修正した。また、世界的なリ セッションの発生確率を25%とした。

IMFは米国について「緩やかなリセッション(景気後退)」を見込んで おり、日本と欧州に対しては経済成長の鈍化を予想している。各国中銀は積極 的に金融システムに資金を供給しているものの、「本格的な信用収縮の脅威に 備え、さらなる措置を講じる必要性があるかもしれない」と指摘した。

英HSBCホールディングスで通貨戦略のグローバル責任者デービッド・ ブルーム氏は、「最悪局面はまだ終わっていない。IMFの予想通りになった 場合、世界経済を活性化させる緊急対策が必要とされる」と述べた。

IMFは、米国経済の足元がしっかりするまで同国の金融当局は金融緩和 の方向性を継続するべきだと主張。サイモン・ジョンソン調査局長は、「金融 市場と住宅市場を救うために公的資金の利用が必要になる可能性がある」と語 った。

世界経済見通しの下方修正は昨年7月以来でこれが3回目。同月時点で今 年の成長率を5.2%と見込んでいたIMFのエコノミストは「大恐慌以降で最 大の金融ショック」が成長率見通しの急激な引き下げ理由としている。

下方修正が最もきつかったのは米国の成長率見通しで、IMFは今年

0.5%になるとして、1月時点の予想(1.5%)を変更した。2009年は0.6% の見込みで、同1.8%からこちらも引き下げた。

米景気の低迷が他地域にも波及する見込みで、IMFはユーロ圏の今年の 成長率見通しを1.4%と、1月時点に予想した1.6%から下方修正。日本は

1.4%と、同1.5%から引き下げた。英国経済は1.6%成長と、伸び率が昨年 の3.1%のほぼ半分になると予測している。

さらなる下方修正も

IMFはこの見通しが今後、上方修正されるよりさらに引き下げられる可 能性が高いとし、「金融市場で依然展開中の出来事が最大の不透明要因だ」と 指摘した。

向こう2年の成長率が最も高いとみられるのはアジアの新興地域で、IM Fは08年と09年についてそれぞれ8.2%と8.4%を予想。07年に11%を 上回る成長を遂げた中国はそれぞれ9.3%と9.5%の見込みとしている。イン ドはそれぞれ7.9%と8%を予想。

またIMFは、財政引き締めを各国に求めてきたこれまでの方針を転換し、 景気減速を抑えるため、税制や政府支出の活用を検討するべきだと指摘した。 ただ、中期的な財政均衡努力を損なうべきではないとも付け加えた。また、中 央銀行各行が景気の下振れリスクとインフレの双方を抑制する「微妙な綱渡 り」に直面しているとも説明した。

ユーロ圏のインフレ率は景気減速に伴って09年には2%を下回るとIM Fは予想し、それによって「欧州中央銀行(ECB)には幾らかの金融政策緩 和の余地が生まれる」と指摘。日本銀行については、政策金利を据え置くべき だが、「成長見通しが著しく悪化すれば、既に低い水準にある政策金利を引き 下げる幾分限られた余地が出てくるだろう」と予想した。

原油相場見通しは、08年から09年にかけて1バレル当たり95ドル付近 での推移となっている。

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