東京外為:円上昇、金融不安くすぶりドル103円届かず―102円前半(2)

東京外国為替市場では、円が上昇。週末の7 カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)など注目イベントを控え、持ち高調整 の動きがくすぶる中、ドル・円は1ドル=103円ちょうど手前でドルが堅調に推 移していたが、午後に日本株が下げ幅を拡大すると、投資リスクを縮小するた め、ユーロや高金利通貨を売って円を買い戻す動きが強まった。

みずほコーポレート銀行国際為替部の加藤倫義参事役は、「金融不安がいっ たんは落ち着いたとの見方が浮上し、ドル・円は102円と円安方向に進んでい たが、IMF(国際通貨基金)が世界の金融機関の損失が100兆円近いものに なるとの推計を出すなど、本当に金融不安が底を打ったのかは自信が持てない」 と指摘。「103円ぐらいになると本邦輸出企業のドル売り注文も見受けられるし、 なかなかドル買いの方向に流れが出るのは難しい」と語る。

リスク回避で円買い戻し

前日の海外市場では、2月の米中古住宅販売成約指数が2001年の統計開始 以来の最低水準に落ち込んだほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録 で米景気について悲観的な見通しが示されるなど、ドルの悪材料が目立ったも のの、ドルは対円で堅調さを維持。こうした流れを受け継ぎ、ドル・円は1ド ル=102円台後半で東京市場を迎えると、午前8時前には一時、102円83銭(ブ ルームバーグ・データ参照、以下同じ)までドル買い・円売りが進んだ。

しかし、103円手前のドル売りに上値を抑えられると、ドル・円は徐々に伸 び悩み、午前11時前には一時、102円46銭までドルが軟化。その後、いったん ドルは持ち直したが、午後に入り日本株が下げ幅を拡大すると、クロス円(ド ル以外の通貨と円の取引)を中心に円の買い戻しが強まり、ドル・円も一時102 円17銭までドル安・円高に振れた。

ユーロ・円も1ユーロ=161円前半からいったん161円46銭まで円が売ら れたものの、その後は円が買い戻され、午後には160円62銭まで値を戻す場面 が見られた。

一方、ユーロ・ドルは、1ユーロ=1.5700ドルちょうどを挟んでもみ合っ ていたが、午後には1.5742ドルまでユーロが反発している。

また、ユーロは対ポンドで一時、史上初の1ユーロ=80ペンスへ上昇。10 日に開かれる欧州中央銀行(ECB)の定例政策委員会では、根強いインフレ 懸念から政策金利が据え置かれる見通し。一方、英住宅価格の落ち込みを受け、 市場ではイングランド銀行が同日の金融政策委員会(MPC)で利下げに動く との観測が高まっている。

G7、米経済と金融市場動向を協議へ

財務省幹部は9日、11日にワシントンで開かれるG7では、景気後退が懸 念される米国経済や金融市場の動向が主要課題になるとの見通しを示した。為 替問題については「議論としては出るが、その内容について予想はできない」 と述べるにとどまった。

IMFは8日に発表した年次の世界金融安定報告で、米国の住宅ローン危 機に端を発した金融混乱に伴う金融機関の損失総額は1兆ドル(約102兆円) に迫る可能性があるとの見通しを示した。米格付け会社スタンダード・アンド・ プアーズ(S&P)は同日、MGICインベストメント、PMIグループ、レ ーディアン・グループの住宅ローン保証大手3社の格付けを引き下げた。

一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が8日に公開した3月18日開催の FOMC議事録では、多くの参加者は米経済が上半期には縮小すると予想して おり、なかでも一部の参加者は「長期にわたる深刻な景気低迷」について懸念 を表明したことが明らかとなった。

HSBC為替資金本部外国為替営業部の花生浩介部長は、「G7で何か具体 的な指針は出ないと思うが、協調的なサポートをうたい上げることができれば いいのではないか。また、為替に関しても、ユーロ高について何か出るかもし れないし、2月末にバーナンキFRB議長の『ドル安容認発言』でドルが急落 した経緯もあるので、いろいろな意味でG7は注目」と語る。

白川次期総裁「現在は特に不確実性高い」

白川方明次期日銀総裁は9日夕、定例会見で、日本経済の先行きについて 「現在は特に不確実性が高い」とした上で、「金融政策の方向性に予断を持つの は適当ではない」と述べた。さらに、「この先の展開が下振れリスクが薄れ、持 続的な成長経路が実現するのか、下振れリスクの蓋然(がいぜん)性が高まる のか、よく見極めていく必要がある」と語った。

日銀は同日開いた金融政策決定会合で無担保コール翌日物金利の誘導目標 を「0.5%前後」とする方針を維持することを全員一致で決定。午後に公表した 4月の金融経済月報では、景気は「エネルギー・原材料価格高の影響などから 減速している」として、前月から「基調としては緩やかに拡大している」との 文言を削除、情勢判断を下方修正した。

市場では白川総裁は利下げに慎重との見方もあり、会見内容が注目されて いたが、特にサプライズはなく、円相場への影響はほとんど見られていない。

--共同取材 柿崎元子 Editor:Norihiko Kosaka, Hidenori Yamanaka

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