G7:ドル安言及がカギ、米当局に危機感-ドレスナー証・クラフト氏

ドレスナー・クラインオート証券のジョセフ・ クラフト・キャピタル・マーケッツ本部長は9日までにブルームバーグ・ニュ ースとのインタビューで、米金融当局者の間でドル安進行に対する危機感が強 まっているとしたうえで、11日に米国のワシントンで開かれる7カ国財務相・ 中央銀行総裁会議(G7)でドルへの言及もあり得ると予想。ドルの下落不安 が和らぐ可能性があるとの見解を示した。

クラフト氏は、今回のG7に関して、為替介入も含めて、市場には明らか に協調的な声明あるいは策の期待はあるが、協調介入はないと断言。ただ、「声 明文の中でドルへの言及があれば、相当大きなストーリーになるだろう」と見 る。

クラフト氏がドル安言及の可能性を指摘する背景には、欧州側が協調姿勢、 あるいは協調的な政策を打ち出すように求めているとの観測が市場に広がって いるほか、米金融当局者の間でドル安の進行に危機感が強まっている状況が挙 げられる。

クラフト氏は、「米国も1カ月前であれば、口先も含めて介入に関して聞く 耳を持たないばかりか、一部ではドル安で輸出が伸びていいじゃないかという 部分もあったが、最近は当局内でもドル安が必ずしもいいものではないという ような議論が出てきている」と説明する。

ドルの先安観が強まるなかで、「民間セクターから米国債への資本流入が大 分鈍っている」(クラフト氏)といい、財政赤字と経常赤字の「双子の赤字」を 抱える米国のファンディング問題が生じる可能性が再浮上。ドルの下支えが必 要だとの議論につながっているようだ。

クラフト氏は、「これまでのG7声明では、為替の過度の変動に関して注視 するという文言になっているが、例えばこれがドルの過度の動きを注視すると いうことになれば、相当マーケットが動く」として、ユーロ・ドル相場は1ユ ーロ=1.50ドル台、ドル・円相場も1ドル=105円台までドルが値を戻す展開 もあり得るとみている。

米欧間の利害対立、「歩み寄り」焦点

また、「ドル安がサブプライム(信用力の低い個人向け住宅ローン)問題に 端を発した金融危機の象徴になっている部分があって、ドル安イコール金融危 機というところで、心理的にドル安をある程度食い止める必要がある」(クラフ ト氏)という。

しかし、米欧間の利害対立が鮮明なことから、ドル安阻止に向けた各国の 協調行動が困難な面も残る。「為替に関しては欧州がユーロ高に対する協調行動 を求める半面、米国側は金融政策の方で欧州に協力してほしいが、欧州中央銀 行(ECB)は一環して、『NO』の姿勢を貫いている」(クラフト氏)ためだ。

米欧双方の利害が対立している状況で、せめぎ合いが激しくなることが予 想されるが、クラフト氏は「米欧の当局としても、今回のG7で何も出ずに、 前回と全く同じ結果になった場合には、マーケットの金融不安を再びあおる格 好になり、株価の下落などにつながる可能性があることはわかっている」とし て、その中で何を協調できるかということが最大の焦点になると見る。

今回は具体策を打ち出すまでには至らない可能性も濃厚で、そうなった場 合は、G7明けのマーケットは波乱含みの展開も見込まれる。「当局がまったく 為替に関して歩調が合わなかったり、あるいは興味を示していないというよう な印象を与えたりした場合は、今月中にも1.60ドルを優に超えて、夏場には1.65 ドルまでのユーロ高・ドル安の進行もあり得る」(クラフト氏)。

対ユーロでドル安が加速すれば、「ドル・円も引っ張られて、今月中にもま ずは3月に付けた95円台後半を試す展開になっていく」(クラフト氏)という。

「玉虫色」に落ち着く可能性も

足元ではサブプライム危機を背景とした金融不安が少し緩和してきている タイミングで、「あと一押し、二押しすれば、結構、マーケットのセンチメント としては自信が出てきて、株価が支えられて、ドルも自然に上がっていくよう なトンネルに光が見えてきたような状況」(クラフト氏)にある。

クラフト氏は、「当局はその辺のリスクをわかっているため、何らかの措置 を取ると期待している」として、ドルが下支えされる展開を見込んでいるが、 今回のG7ではしごを外されたら、相当のドル下落もあり得ると危惧(きぐ) する。

結論としては、「ありがちな玉虫色に落ち着いて、多少の協調姿勢が示され る程度にとどまり、ドル売りリスクは回避されるが、期待には及ばないという ことで、上昇の勢いもつきにくいといったシナリオが想定」(クラフト氏)され、 ドル・円相場は95円割れが回避されるものの、97円から105円の間での推移に 落ち着く可能性がありそうだという。

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