さわかみ投信社長:とにかく買いたい、資金足りずごめんなさい売り

さわかみ投信が運用する「さわかみファン ド」は今年に入り、1999年8月の運用開始以来、最大規模の売却を実行してい る。とは言え、一方で相場急落を好機として一部銘柄を買い進んでおり、株式 組入比率は98.9%と過去最高水準を維持する。これまで行っていなかった損失 覚悟の「ごめんなさい売り」を断行して買い付け資金に充当するほど、絶好の 買い場と判断している。3日に行われたブルームバーグ・ニュースとのインタ ビューで明らかにした。

ファンドには、定期定額購入制度を利用した資金が毎月21億円、スポッ トで月平均20億-30億円が入ってきている。しかし年初からの株価急落で、 「買い増したい銘柄が非常に安くなった。こうした銘柄を大量に買い付けるに は現金がいくらあっても足りない状況」(沢上篤人代表取締役)という。

昨年末に保有していたが、3月末までに全株手放した銘柄は京セラ、NE C、船井電機、オリックス、大阪ガス、セイコーエプソン、富士電機ホールデ ィングスなど。沢上社長は、「苦渋の判断だ。決して見方が悪化したわけでは なく、いつかまたお会いしたい銘柄ばかりだ」と話す。ポートフォリオの銘柄 数も、昨年末の328から今年3月末には310に減少した。今後も売却を続ける ため、「銘柄数は300を切るかも知れない」(同社長)という。

トヨタやホンダの組み入れ比率増える

こうして捻出した買い付け資金を元に、多くの投資家が見捨てて株価が急 落した銘柄を長期投資家として勝負どころと判断、「『ごきげん』で買い進ん でいる」(沢上社長)。その結果、これまで個別銘柄の組入比率が1%を超え ることはほとんどなかったが、3月末時点でトヨタ自動車が2.18%、ホンダが

1.46%、信越化学工業が1.41%、デンソーが1.35%など、1%以上が8銘柄 に達した。この3カ月間にトヨタは19万株、ホンダは10万株を買い増した。

自動車セクターについては先週、野村証券金融経済研究所やモルガン・ス タンレー証券、ゴールドマン・サックス証券などが米国販売の鈍化などを理由 に投資判断を相次いで引き下げた。先行き不安から株価は下落したが、「長期 投資では景気後退局面がチャンス。今買わないと、将来の上昇に間に合わな い」と沢上社長は意に介さない。

金融やIT組み入れず

「さわかみファンド」は金融や不動産、IT(情報技術)、通信・放送セ クターを全く保有していない。いずれも、「数年後の姿が見えない」(沢上社 長)ことが理由だ。

例えば、銀行は現在、超低金利をベースに事業を展開しているが、「この 超低金利は経済上、異常な状態。これが正常に戻るだけで、現在の事業モデル は崩壊する。10年という長期の投資スタンスで考えると買えない」(沢上社 長)という。また、「ITは訳が分からない、ゲームはなくても死にはしな い」(同社長)から魅力を感じないそうだ。

長期好成績で受益者12万人

「さわかみファンド」の3月末時点の設定来騰落率はプラス40%と、東証 株価指数(TOPIX)のマイナス17%を大きく上回る。

4日現在の純資産総額は2229億円。追加型株式投信で同ファンドより大 きい日本株ファンドは、フィデリティ投信の「フィデリティ・日本成長株・フ ァンド」のみ。受益者数は約12万人で、「これが30万-50万人に増えて資金 が入ってくれば、『ごめんなさい売り』をした銘柄も買えるのだが」と、沢上 社長は話している。

--共同取材 小笹 俊一 Editor:Shintaro Inkyo、Makiko Asai

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