債券はもみ合いか、米債下落も押し目買いが支え-日銀政策見極め(2)

債券相場はもみ合いが予想されている。前日 の米国市場で債券相場が下落した地合いを引き継ぎ、売り先行で始まる見通し。 もっとも、下値では押し目買いが期待されており、底堅く推移する見込み。日銀 総裁人事や8、9日開催の日銀金融政策決定会合で、今後の金融政策の行方を見 極めたいとのムードも強まりそうだ。

みずほインベスターズ証券マーケットアナリストの井上明彦氏は、「昨日と は逆に海外市場動向が逆風となる中、下値の堅さを確認することになる。売り物 の乏しさからみて下げ渋るとみられ、10年債利回りは昨日つけた1.30%-

1.35%のレンジでこう着感が強まる」と予想している。

東京先物市場の中心限月6月物は、前日の通常取引終値139円43銭をやや 下回って始まった後、日中は139円20銭-139円60銭程度のレンジで推移しそ う。

7日のロンドン市場で6月物は、東京終値から18銭安い139円25銭で引け た。

日興シティグループ証券チーフストラテジストの佐野一彦氏は、米国市場の 動向を受けて、「相場は下押し後、投資家の押し目買いを待つ展開」を予想、イ ールドカーブ(利回り曲線)は修正が続き、中期以降のゾーンでフラット(平た ん)化を見込んでいる。

前日の先物相場は反落。前週末の米国市場で、前週末に米国債相場が上昇し た地合いを引き継ぎ、買い先行で始まったものの、日経平均株価の反発や高値警 戒感から売りが優勢になった。今週末の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G 7)を控え、一部で欧米中央銀行によるモーゲージ担保証券(MBS)買い取り 提案がなされるとの観測も売り材料となったもよう。

10年債利回りは1.3%台半ばで取引か

現物債市場で新発10年物の291回債利回りは、前日終値1.345%を若干上 回る水準で始まり、日中ベースでは1.3%台半ばでの取引が見込まれる。

三菱UFJ証券シニア債券ストラテジスト、長谷川治美氏は、「長期金利は もみ合い。昨日の米債安を受けて強含みで始まるが、日経平均が昨日の米株と同 様に上値の重さを見せると、押し目買いを受けて弱含みに転じる」と予想してい る。

日本相互証券によると、7日の業者間取引で新発10年物の291回債利回り は、前週末比3ベーシスポイント(bp)低い1.305%で寄り付いた後、1.30%に 下げ、1日以来の低水準をつけた。その後は、徐々に水準を切り上げ、午後零時 54分ごろに1.35%まで上昇した。結局、1bp高い1.345%で引けた。

一方、10年物国債の291回債利回りは、東京時間の前日午後3時時点で、 大和証券SMBC、日興シティグループ証券、みずほ証券、三菱UFJ証券各社 の平均値であるブルームバーグ公社債基準価格(BBYF)によると1.341%だ った。

日銀総裁に白川氏昇格へ

政府は7日夕、衆参両院の議院運営委員会の合同代表者会議で、空席となっ ている日銀総裁に、白川方明副総裁を昇格させ、副総裁に渡辺博史一橋大教授 (前財務官)を充てる日銀正副総裁人事を正式に提示した。衆院は8日午前11 時から、参院は同午後2時から相次いで議院運営委員会を開き、両氏から所信聴 取と質疑応答を行う。

民主党は白川総裁には同意する見込みだが、渡辺副総裁には賛否両論があり、 事態は依然、流動的とみられている。

リーマン・ブラザーズ証券チーフエコノミストの川﨑研一氏は、「白川氏が 総裁に昇格しても、当面、金融政策に大きな変化があるとは考えにくい。2008 年中、日銀は金利を0.5%に据え置く見込み」と予想している。

市場では、「空席の解消によって、日銀の金融政策運営に何か抜本的変化が 生じるというわけではない。誰が総裁になっても、内外景気悪化のもとで、『利 上げ』という選択肢を今後も長い期間にわたって封印せざるを得ないことには変 わりがない。一方、『利下げ』という選択肢については、日銀短観が発表される 直前から、早期実現の可能性はむしろ低下していた」(みずほ証券チーフマーケ ットエコノミストの上野泰也氏)などの声も聞かれた。

8、9日開催の日銀金融政策決定会合に関しては、有力日銀ウオッチャー16 人全員が現状維持を予想している。総裁に昇格する白川副総裁の会見が注目され ている。

米国市場では株高・債券安

7日の米国債相場は下落。米連邦準備制度理事会(FRB)が一段の景気悪 化の抑制へ十分な措置を講じたとの見方が強まったことから、国債需要が弱まっ た。2年債利回りは2月以来の高水準を付けた。

信用市場に安定の兆候が見えてきたとして、高利回り資産への投資意欲が戻 り、2年債相場が下落。米S&L(貯蓄・貸付組合)最大手ワシントン・ミュー チュアルが資本を増強するとの観測を受けて、株価が上昇したことも手がかりと なった。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時5分 現在、2年債利回りは前週末比12ベーシスポイント(bp)上昇し1.94%。利回 りは一時、2月28日以来の高水準となる1.99%を付けた。10年債券利回りは前 週末比9bp上昇の3.56%。

一方、米株式相場は上昇。経済成長の鈍化がテクノロジー企業の業績を損ね るとの不安が根強いものの、ワシントン・ミューチュアルが50億ドルの出資を 受けるとの観測が好感されて地合いが改善した。

(7日の債券価格)                      前週末比      利回り
長期国債先物6月物         139.43        -0.22       1.475%
売買高(億円)             37471
10年物291回債            99.61                 1.345%(+0.01)
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