【今週の日本株】13000円固め、金融不安は後退-決算控え上値追えず

今週(7-11日)の東京株式相場は、日経 平均株価で1万3000円の水準を値固めする展開となりそうだ。欧米の大手金融 機関の増資が相次いだことなどから、金融システムへの不安はひとまず後退して おり、投資家心理は新年度入りとともに改善した。売り主体であった外国人投資 家の投資姿勢にも変化が見え始め、需給バランスも好転しつつある。国内企業の 業績発表を見極めようと市場エネルギーは依然低調ながら、底堅い展開が見込ま れる。

安田投信投資顧問の茶野宏ファンド運用部長は、「欧米の大手金融機関はよ うやく重荷を下ろした印象だ。相場状況は二転、三転する可能性がまだ残るもの の、相場に対する悪材料を1つずつ解決する兆しが見え始めている」と話す。

信用リスク指標が改善傾向

米住宅ローン問題に端を発した信用不安が後退している。企業の信用リスク を売買するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場を見ると、信用リ スクの高まり具合を示すCDX北米投資適格指数は、3月10日に付けた高値か ら4割近くも低下した。連邦準備制度理事会(FRB)による米証券大手ベア ー・スターンズの救済に続き、UBSやリーマン・ブラザーズ・ホールディング スといった欧米大手金融機関の増資が相次ぎ、資本不足などによる金融システム 不安が遠のいたためだ。

株式市場関係者の間でも、「投資家心理は相当好転してきている。欧米金融 機関の損失拡大などのリスク要因を織り込んで、今年3月17日に付けた安値 (1万1691円)を割り込む可能性は低くなっている」(野村証券投資情報部の 品田民治課長)との声が多くなってきた。

1-3月の外国人売り越しは5年ぶり

日経平均は年初から一本調子で下落。昨年来安値を付けた3月17日まで 3616円、率にして24%も下げた。売り主体は外国人投資家だ。東京証券取引所 によると、外国人の売り越し金額(東証・大証・名証3市場合計)は1-3月累 計で2兆512億円となった。1-3月に売り越しとなったのは2003年以来、東 証が1982年に統計を開始してからは5回目となる。「1-3月期は新年度入り で買い越しとなる可能性が高い。それだけ外国人が売りを出した証拠」(SMB Cフレンド証券の中西文行ストラテジスト)という。

しかしここにきて、外国人の売り越し姿勢がピークアウトしてきている。東 証が3日に発表した3月第4週(3月24-28日)の投資主体別売買動向では、 外国人は6週連続で売り越しとなったが、売り越し金額は167億円と前週(639 億円)から縮小。週間ベースで今年最大の売り越し金額(9226億円)となった 第2週から大きく減った。ちばぎんアセットマネジメントの大越秀行運用部長は、 「需給バランスが改善してきている」と受け止める。

需給や外部環境の好転で、前週の日経平均株価は前の週末比で472円 (3.7%)高の1万3293円で取引を終了。3月17日安値から約2週間で1600円 戻した。

とは言え

もっとも、下値不安が後退する一方で、時価水準から上値を大きく買えると の声は少ない。新光証券エクイティ情報部の三浦豊シニアテクニカルアナリスト によると、「上昇してきたとは言え、出来高が少ない。現物主体というより先物 中心の裁定買いで買われた面が強い」という。金融システム不安の拡大などを見 越した売り方が買い戻しているに過ぎない、との認識が背後にある。

東証が2日に公表している3月28日時点のプログラム売買にかかわる現物 株式の売買状況によれば、裁定取引に関連した現物買いのポジションは当月限、 翌月限の合計で2兆5900億円。3週連続で増え、増加額は5168億円となった。 「前週を含めると、急速に裁定買い残が増えている。週末に株価指数オプション 4月限の特別清算値(SQ)の算出を控え、解消売りの警戒が強まる可能性もあ る」と、三浦氏は指摘している。

相場が本格上昇に転じるためには、為替相場が不透明さを増す中で、4月中 旬から始まる国内企業の今期業績見通しの発表を見極める必要があるとの声が支 配的だ。いちよし投資顧問の秋野充成運用部長も、「今は期間限定のショートカ バー(売り方の買い戻し)ラリー。1万3500円あたりまでが上昇できる範囲」 と見る。

重要統計手薄、G7にらみ

今週は、国内外で経済指標の発表や重要イベントの予定が少ない。注目され るのは、週末に米ワシントンで開催予定の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G 7)。金融システム不安に対する政策への期待が高まれば、為替市場でドル相場 の安定化につながり、日本株にも好影響を及ぼしそうだ。

このほか国内では、7日に2月の景気動向指数、8日に3月の景気ウォッチ ャー調査、10日に2月の機械受注が発表される。また11日には、オプションS Qとなる。一方、海外では10日に新規失業保険申請件数、11日にミシガン大学 消費者信頼感指数が発表される予定だ。

【市場関係者の当面の日本株の見方】
●みずほ投信投資顧問の岡本佳久執行役員・株式運用第2部長
  「日経平均は1万3000-1万3500円を予想。サブプライム問題に起因する
海外発のニュースをきっかけに、日中の値幅が上下に大きく振れる可能性はある
が、結局はレンジ内に収れんしよう。バリュエーションで割安感があり、下値で
買いを入れる投資主体は少なくないが、業績モメンタムが鋭角的に下向いており、
現時点で多くの機関投資家は様子見姿勢にならざるを得ない。4月中旬から本格
化する決算発表で、輸出企業が09年3月期について想定為替レートをどんな水
準に設定し、業績計画をどの程度慎重に見積もるかを見極める必要がある」

●SATOアセットマネジメントの佐藤博社長
  「今週は落ち着きを取り戻し、ボラティリティが低下して平穏な週になろう。
日経平均は1万2800円-1万3600円を予想。米国の不安材料は依然残り、先週
のスピード違反から25日移動平均線近辺まで調整の可能性がある。ただし、為
替が安定してきたことによる08年度の過度な減額修正懸念が和らいだ上、ヘッ
ジファンドの売り一巡による需給改善もあり、これまで上値抵抗線だった25日
線は今後下値サポートに転じよう。市場では足元の戻りを単なる買い戻しと判断
する向きが多いが、個人的には下げ過ぎの日本株見直しによる中長期の新規資金
が流入していると見ている。政府系投資ファンドや海外年金を筆頭として、外国
人の日本株買いは復活してきている」

●コスモ証券エクイティ部の清水三津雄副部長
  「週末のSQ算出を控え、思惑から上にも下にも大きく可能性があるが、日
米ともに企業の決算発表が本格化してくるため、業績本位で個別銘柄の選別が行
われよう。好業績銘柄が買われるのは当然で、むしろ悪いと思われている輸出関
連株が想定ほどは悪くないと、見直されるかどうかに注目したい。環境関連、ゲ
ーム関連、鳥インフルエンザ関連と、折に触れて買いが入る内需系の銘柄群もあ
る。こうして連想だけで買われるような状況は1カ月前にはまったくなかったこ
とで、個人投資家も元気になってきたことの表れ」
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