経費負担増嫌う米銀、住宅差し押さえに消極的-借り手が居座る場合も

住宅市場の危機で悲鳴を上げている米国の銀 行は、住宅ローン返済の滞っている借り手に対し、新たな対応を見せている。

全米抵当貸付銀行協会(MBA)によれば、住宅ローンの返済が90日以上 遅れている借り手の比率は昨年末時点で3.6%と、この延滞率は少なくとも5 年ぶりの高水準になっている。住宅が差し押さえとなっている借り手の割合は 2%で、延滞率が差し押さえ率の倍近くに達しているのは初めてのことだ。

ムーディーズ・エコノミー・ドットコムのチーフエコノミスト、マーク・ ザンディ氏は、金融機関が本来差し押さえ対象となる住宅所有者をそのままそ の物件に居住させており、このことがすでに過去最高となっている差し押さえ 率の統計をゆがませていると指摘する。こうした借り手はいずれ、不履行率を 押し上げ、すでに供給過剰の住宅市場がさらに新たな物件を抱えることになる という。

ザンディ氏は、「全体のプロセスが表面化するのが遅れており、実際に起き ていることの規模を把握することができない。統計を見れば、問題があるのが 分かるが、恐らくわれわれが考えているより大きなものだろう」と述べる。

米調査会社リアルティトラック(カリフォルニア州アーバイン)によれば、 金融機関は昨年、差し押さえまで平均61日の期間を置いた。前年は37日間だ った。サンフランシスコの不動産データ会社ローンパフォーマンス・ファース ト・アメリカン・コアロジックの統計は、昨年は差し押さえられた住宅の販売 が4.4%伸びた一方で、その供給は倍以上だったことを示している。

消極的

ダラスに本社を置く住宅関連の不良債権買い取り会社メトロ・レンディン グのオーナー、エンジェル・グティエレス氏は、「誰かに追い出されるまで、自 宅に居座る人もいる。それに、誰も来ない場合もある」と話す。

フロリダ州バルハーバーの不動産コンサルタント会社、コンド・バルチャ ーズ・リアルティを経営するピーター・ゼールウスキ氏は、銀行はさまざまな 理由から差し押さえに消極的であり、コストもその理由の1つだと説明する。

住宅ローンに関連する法的手続き関連の手数料や空き家のメンテナンス、 保険、税金などの経費が住宅の販売価格を最大15%押し上げる可能性があり、 さらに差し押さえ実施の法的措置に数カ月を要する公算もある。

ゼールウスキ氏は、「銀行が差し押さえれば結局、それを管理し、貸し出す か売却する必要」がある上に、空き家物件が誰かに荒らされてしまえば、その 修繕費も銀行が負担しなければならない場合も多いと語る。

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