債券は軟調、米債安で売り先行後は下げ渋り-物価連動入札見極め(2)

債券相場は軟調(利回りは上昇)。前日の米 国市場で、民間部門の雇用者数が予想外に増加に転じ、米国債が下落した地合い を引き継ぎ、売り先行で始まった。その後は、この日実施の10年物価連動債入 札を控えて慎重姿勢となり、小動きに推移した。

モルガン・スタンレー証券ストラテジストの伊藤篤氏によると、「今は金融 システムに対する不安が後退している。益出しの売りなども出ている状況」とい う。

東京先物市場で中心限月6月物は、前日比17銭安の139円38銭で取引開始。 その寄りを安値にその後は若干下げ幅を縮小させて、午前9時13分ごろに139 円59銭の午前高値をつけた。前引けにかけては再び値を消し、10銭安の139円 45銭で午前の取引を終了した。

日経平均株価は小幅続伸。前日比11円35銭高の1万3200円71銭で引けた。

AIGインベストメンツのポートフォリオマネジャー、横山英士氏は、「債 券相場は様子見で方向感が出なかった。期末・期初のポジション(持ち高)調整 の動きが一段落したところで、4日に米雇用統計発表を控えて、投資家は動きに くい。結果次第で今後の米国の金融政策に大きく影響する」と述べた。

10年債利回りは1.375%

現物債市場で、新発10年物の291回債利回りは、前日比0.5ベーシスポイ ント(bp)低い1.37%で寄り付いた後、若干水準を切り上げ1.38%をつけた。そ の後は、横ばい圏で推移し、結局は前日比変わらずの1.375%で引けた。

また新発5年債利回りは1bp高い0.83%で午前の取引を終えた。

三井住友銀行チーフストラテジストの宇野大介氏は、「リーマン・ブラザー ズ、UBSなどの話により、今は金融不安に対する見方が一時的に楽観的になっ ているため、ドル安・株安・債券高のポジションが巻き戻されている。円安にな ると株が買い戻されるので、それも債券にとって重しになる」と指摘。

ただ、「この状況がずっと続くとは思えない。4月中旬には米銀の決算など も出るので、それによってこの楽観的な見方は悲観的な見方に変わり、債券は買 われると思う」との見方を示した。

新発10年債利回りは、前日に約1カ月ぶりの高水準となる1.38%まで上昇 して、値ごろ感が出ているため、下値では押し目買いが入りやすい。

岡三証券経済調査部の坂東明継氏によると、「3月中旬までいびつな形をし ていたイールドカーブ(利回り曲線)も随分修正されている」と話した。

10年物価連動国債入札、クーポンは1.3%の公算

財務省は、10年物価連動債(15回債、4月発行)の利回り競争入札の実施 を通知。発行予定額は5000億円程度を提示した。4月債の発行日は2008年4日 月10日、償還日は2018年3月10日。

前日の入札取引(WI)では1.335%付近で取引された。このめ、入札結果 を受けて決まる表面利率(クーポン)は、前回2月入札の14回に比べて0.1ポ イント高い1.3%が予想されている。

10年物価連動債のBEI(損益分岐インフレ率)は先週、マイナス4bp程 度に低下し、2004年3月に物連動債が導入されて以来で最低の水準を付けた。

横山氏は、「現状、割安だが、この商品自体は需給で動くところがあるので 買いが入るか不明。エネルギー価格の上昇が鈍化しており、商品相場全体が軟調 な動きになってきたので、消費者物価指数(CPI)が上昇している分ははく落 していくだろうことを考えると、不透明感は強い。ただ、入札自体が悪くても、 債券相場全体に与える需給面での影響はあまりないだろう」と説明した。

市場では、「入札には外国人投資家があまり参加してこないと市場は考えて いるため、国内投資家が積極的に買ってこれる状況ではない。その意味で慎重に ならざるを得ない。ただ、この2日間、下値ではある程度支えられているので、 入札への影響は限定的だと思う」(坂東氏)との声も聞かれた。

米国市場は株安・債券安

2日の米国債市場では2年債が下落。利回りは5週間ぶりの高水準となった。 米民間部門の雇用者数が予想外に増加に転じ、バーナンキ米連邦準備制度理事会 (FRB)議長の議会証言が信用問題の沈静化につながったため、売りが膨らん だ。キャンター・フィッツジェラルドによると、2年債利回りは前日比6bp上 昇し1.86%。一時は1.94%と、2月28日以来の水準に上昇する場面もあった。 10年債利回り1bp上昇の3.57%。

給与明細書作成代行会社のオートマティック・データ・プロセッシング(A DP)エンプロイヤー・サービシズが2日発表した給与名簿に基づく集計調査に よると、3月の米民間部門の雇用者数は前月比8000人増加した。ブルームバー グがまとめたエコノミスト予想の中央値は4万5000人減だった。

米株式相場は反落。バーナンキFRB議長が景気後退入りの可能性を初めて 認めたことが弱材料となったのに加え、燃料価格の上昇で小売株は値を消した。

JPモルガン・チェースのエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は、バーナ ンキ議長の発言を受けて、「これまで実施されてきた金融緩和の程度を指摘する ことで、今後の緩和がこれまでのように積極的ではなくなることをやんわりと示 唆したのかもしれない」と指摘。

その上で、「4月30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では50bpの利 下げが行われると引き続き見込んでいるが、今後1カ月の景気指標がさほど悪く ない場合は25bpにとどまる可能性もある」と予想している。

(債券価格)                            前日比        利回り
長期国債先物6月物         139.45       -0.10         1.473%
売買高(億円)             15903
10年物291回債            99.34               1.375%(変わらず)

--共同取材:宋泰允、Teso Yumi Editor:Hidenori Yamanaka,Norihiko Kosaka,Tetsuzo Ushiroyama

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 池田祐美 Yumi Ikeda +81-3-3201-2490 yikeda4@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

Sandy Hendry +852-2977-6608 shendry@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE