債券は大幅安、高値警戒や10年入札低調で売り―先物140円割れ(終了)

債券相場は大幅安(利回りは上昇)。日銀短 観(企業短期経済観測調査)3月調査が景況感の大幅悪化を示したものの、高値 警戒感から売り優勢となった。午後は、10年債入札が低調な結果となったこと を嫌気してヘッジ売りが膨らみ、先物中心限月は140円を割り込み、一時は下げ 幅が1円超となった。10年債利回りは一時1.36%に上昇した。

DIAMアセットマネジメントのエグゼクティブファンドマネジャー、山崎 信人氏は、「日銀短観自体は弱めだった」としながらも、「朝方に利益確定売り や入札に向けたヘッジ売りが出た。10年債入札結果は、期初なので様子を見て いるうちにテール(最低と平均落札価格の差)が流れたのだろう」と述べた。

東京先物市場で中心限月6月物は、前日比8銭安の140円44銭で寄り付き、 直後に140円48銭の日中高値をつけた。日銀短観は大幅悪化となったものの、 売りが出たほか、入札低調でヘッジ売りも加速し、午後零時49分ごろに1円17 銭安い139円35銭まで下落。3月11日以来の安値をつけた。大引けにかけて下 げ幅をやや縮めて、72銭安の139円80銭で取引を終了した。

トヨタアセットマネジメントのチーフファンドマネジャー、深代潤氏は、 「短観悪化でも、買い進まれなかったため、10年債入札を控えたヘッジ売りが 出た。3月末に流動性不安を背景に『質への逃避』で国債が買われ過ぎていたた め、高値警戒感が出ていた」と説明した。

日経平均株価は反発。一時200円超の上昇となり、前日比130円88銭高の 1万2656円42銭で引けた。

10年債利回りは一時1.36%に上昇

現物債市場で、前回入札された10年物290回債利回りは、前日比2ベーシ スポイント(bp)高い1.295%で取引開始。その後は徐々に水準を切り上げ、午 後2時4分ごろに1.36%まで上昇。3月12日以来の高い水準となった。午後3 時過ぎは、1.35-1.355%で推移している。

また新発20年債利回りは5.5bp高い2.13%、新発30年は4.5bp高い

2.425%で推移している。

中央三井信託銀行総合資金部次長の関一也氏は、「短観の数字が悪かったに もかかわらず、今期計画の利益を確保するため、朝方から益出しの売りが出たほ か、10年債入札を控え、ヘッジ売りが出た。入札も、業者の積極的な買いスタ ンスが見られなかったことで、さらにヘッジ売りが膨らんだ。相場が大きく下が った後は、押し目買いが入った」と説明した。

10年債入札、市場予想を大幅に下回り低調

財務省がこの日実施した表面利率(クーポン)1.3%の10年債(291回債、 4月債)の入札結果は、最低価格が99円56銭(最高利回り1.350%)となり、 市場予想(99円82銭)を大幅に下回った。平均落札価格は99円80銭(平均利 回り1.322%)となった。

最低と平均落札価格の差であるテールは24銭となり、前回債の3銭から急 拡大し、2006年の9月債(33銭)以来の大幅な拡大となった。応札倍率は2.34 倍と前回2.78倍から低下した。

市場では、「最低落札価格が市場予想を大きく下回り、入札結果がよくなか ったため、ヘッジ売りが出た」(岡三証券経済調査部の坂東明継氏)、「投資家 の姿勢が変わったとかいう理由ではなく、ただ期初で様子を見ていただけだと思 う」(DIAMの山崎氏)などの声が聞かれた。

日本相互証券によると、この日入札された10年債(291回債)利回りは、 業者間取引において、1.31%で寄り付いた。その後は、1.375%まで売られた後、 午後4時8分前後は1.36%で取引されている。

短観は大幅悪化、展望リポートの判断下方修正へ

日銀短観3月調査で大企業・製造業の業況判断DIはプラス11と昨年12月 の前回調査から8ポイント悪化、大企業・非製造業DIはプラス12と4ポイン ト悪化となった。ブルームバーグ・ニュース予想調査では、大企業・製造業DI がプラス13、大企業・非製造業DIがプラス12と見込まれていた。

今回の結果は、日銀が8、9日に開く金融政策決定会合と、30日に公表す る「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の重要な判断材料となる。

第一生命経済研究所主席エコノミストの熊野英生氏は、「景気後退のがい然 性は以前よりも高まっている」と指摘。「金融政策は、景気後退に入る公算が強 まれば、利下げに動くだろう。今後、日銀が利下げに転じるタイミングは、新総 裁の人事がはっきりと決まってくる段階でより明確に見通せるだろう」と予想し た。

一方で、RBS証券チーフエコノミストの山崎衛氏は、「日銀の展望リポー トにおいては景気判断、国内総生産(GDP)見通しが下方修正されることにな ろう。ただ、今回の短観は、景気が後退局面入りしたことまでは示唆していない。 利下げの可能性はまだ50%未満と考えている」との見方を示した。

市場では、「日銀の景気認識に一定の影響を与えると考えられるが、利下げ との政策判断に至るとは考え難い。政策金利は当面据え置きとの見方を維持す る」(リーマン・ブラザーズ証券チーフエコノミストの川﨑研一氏)、「1-3 月期の実質GDPは前期比プラス0.3%程度に大幅な減速を予想。ただ、日銀は 慎重ながらも、現状の金融政策を維持すると予想される」(カリヨン証券チーフ エコノミストの加藤進氏)などの声も聞かれた。

UBSが増資計画発表、信用不安再燃も

スイスの大手銀行UBSが今年1-3月期は2期連続の赤字となる見通しを 示し、増資計画を発表。これを受けて、債券相場は引けにかけて下げ渋る展開と なった。

新光証券ストラテジストの三浦哲也氏は、「こういうニュースが出ると信用 不安はぬぐいきれないということになる。信用不安からの回復過程にあったのに、 それに水を差すような形になる。やはり債券は売れないということで先物は少し 買い戻されて、下げ幅を縮小した。質への逃避の動きはそう簡単になくならな い」と語った。

モルガン・スタンレー証券債券ストラテジストの伊藤篤氏も、「午後の動き にUBSの話は関係していないとはいえない。こうした話は今後も続くと思う。 大手銀行が破たんするとの見方は遠のいたが、欧米金融市場の信用不安は払しょ くされないとの見方から質への逃避は今後も続くだろう」と指摘した。

(債券価格)                            前日比        利回り
長期国債先物6月物         139.80       -0.72         1.444%
売買高(億円)             63904
10年物290回債            100.44                  1.35%(+0.075)

--共同取材:宋泰允、YUMI TESO Editor:Hidenori Yamanaka,Norihiko Kosaka

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