日本株:輸出や金融中心に反発、金融市場の安定期待-短観反応も限定

2008年度入りした午前の東京株式相場は反 発。米国での金融規制改革案が金融市場の信頼感回復につながるとの期待から、 トヨタ自動車やソニーなど輸出関連や銀行株中心に高い。日本銀行の企業短期 経済観測調査(短観)の悪化から朝方は伸び悩む場面も見られたが、すでに相 場水準に反映済みとして、次第に幅広い業種で買いが優勢となった。新日本製 鉄など鉄鋼株は大幅高。

三菱UFJ投信の宮崎高志運用戦略部長は、「業況判断DIを中心に短観 が大きく悪化することは避けられないと見ていたため、サプライズはない」と 指摘。短観では08年度の大企業経常利益は0.3%増益を見込んでいるが、「足 元の株価は2けたの経常減益を織り込む水準まですでに落ち込んでいるため、 今回の短観の結果が株価の下押し要因になる可能性は低い」(同氏)という。

日経平均株価の午前終値は前日比172円45銭(1.4%)高の1万2697円 99銭、TOPIXは17.21ポイント(1.4%)高の1230.17。東証1部の売買 高は概算で7億3195万株、売買代金は同8674億円。値上がり銘柄数は1124、 値下がり銘柄数は492。

東証業種別33指数の騰落状況では、29業種が上げ、4業種が下げた。電 気機器、銀行、輸送用機器、化学、医薬品、電気・ガス、鉄鋼、小売、陸運、 保険などが高い。食料品、建設、非鉄金属は安い。

過度な悲観一服

08年度の売買初日となった午前の相場は、金融市場や景気への過度な悲観 がやや一服する格好で幅広い業種が上昇。ポールソン米財務長官が提案した金 融規制改革は、米連邦準備制度理事会(FRB)が機能強化によって「市場安 定」を監督し、これまでに比べて市場の混乱により効果的に対処できる構造と なった。「第2の金融危機を起こさないためにはFRBの権限強化は必要で、 そのためのネットワークがつくられた」(ソシエテジェネラルアセットマネジ メントの吉野晶雄チーフエコノミスト)と評価された。

一方、取引発表前に発表された3月調査の日銀短観では、景気が「良い」 と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた業況判断DIで、大企 業・製造業がプラス11とブルームバーグの事前調査であるプラス13から下振 れた。08年度の設備投資計画(含む土地投資額)は、大企業・全産業が前年度 比1.6%減と、昨年3月調査の07年度計画(2.9%増、以下同じ)を下回った。

大和住銀投信投資顧問株式運用部の窪田真之シニアファンドマネージャー は、「短観は予想通りの悪化とは言え、厳しい。1月から景気後退に入ってい るかも知れないことを裏付けた内容」としながらも、日本株はすでに買収価値 を無視した水準まで売られており、「今後は景気が悪くなる中でも株価は大き く下げない状況になりそう」(同氏)と予想している。

上場企業の08年度業績を占う点で注目された大企業利益計画は0.3%増益。 米国景気の底入れが前提になっていると見られる上、08年度の想定為替レート は109円21銭と現在の水準よりかなり円安前提で、市場では先行き下方修正 は必至と予想されている。もっとも、短観で増益計画が示されたことで、「上 場企業の当初経常利益見通しは金融を除くベースで大幅減益となることはなさ そうだ」(クレディ・スイス証券の市川眞一ストラテジスト)と、ひとまずの 安ど感も出た。

短観ではプラスの一面も、鉄鋼堅調

全般は景況感の一段の悪化傾向が示された短観だが、事前の警戒が強かっ ただけに、業種別では内容が予想ほど悪くないとして前向きに評価される一面 もあった。大企業DIでは、自動車や造船・重機などが12月調査時点の先行 き判断に比べ、足元の判断は上回った。「非米国向けの伸びが悪化に歯止めを かけている」(ソシエテの吉野氏)という。

また、素材産業の販売価格DIは12月調査の先行き(プラス16)に比べ、 足元はプラス21となった。「原材料費が高騰して仕入価格DIが上がる中で も、円高メリットや需給堅調がプラスとなって鉄鋼をはじめとする素材企業の マージンは予想ほど悪化していないことは注目できる」と、吉野氏は見ている。 午前の東証1部の業種別上昇率で、鉄鋼は3位だった。

塩野義が急騰、千代建はストップ安売り気配

個別に材料が出ている銘柄では、高脂血症治療薬「クレストール」が心疾 患のリスクを低下させることが明らかになった塩野義製薬が急騰。自己株式を 除く発行済株式総数に対する割合で11.6%に相当する自己株取得を決議したキ ングジム、メリルリンチ日本証券が「買い」に格上げしたコナミもそれぞれ急 伸した。ゴールドマン・サックス証券などが強気判断を維持した日本電産、モ ルガン・スタンレー証券が新規にオーバーウエートとしたJSRも大幅高。

半面、業績予想を引き下げ、アナリストの格下げも相次いだ千代田化工建 設が制限値幅いっぱいのストップ安売り気配。業績予想を減額のフジクラ、1 日付の日本経済新聞が09年3月期は08年3月期推定比で減益になるもようと 伝えたTPRはそろって急落。08年3月期に有価証券評価損を計上する光通信 も大幅安で、メリルリンチ日本証券が格下げした大和ハウス工業は続落した。

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