日本株は上げ拡大、金融市場安定期待や過度な悲観後退-鉄鋼は大幅高

午前の東京株式相場は、先物主導で上げ幅 が拡大。米国での金融規制改革案が金融市場の信頼感回復につながるとの期待 から、トヨタ自動車など自動車株や銀行株中心に上昇。日本銀行の企業短期経 済観測調査(短観)の悪化はすでに相場水準に反映済みとして、景況感が思っ たほど悪化していないとされた鉄鋼が大幅高となるなど、東証1部33業種中、 32業種が高くなっている。

ソシエテジェネラルアセットマネジメントの吉野晶雄チーフエコノミスト は、「短観の業況判断は思ったより悪いが、株式市場はエコノミストより最悪 の状況を織り込んでいた」と指摘。自動車や造船・重機などで非米国向けが悪 化に歯止めをかけていることや、円高メリットから鉄鋼など素材業種のマージ ンも予想ほど悪くなっていないとし、「それなりに健闘している業種が出てい ることは注目できる」(同氏)と評価していた。

午前10時28分時点の日経平均株価は前日比186円43銭(1.5%)高の1 万2711円97銭、TOPIXは18.45ポイント(1.5%)高の1231.45。東証1 部の売買高は概算で5億3032万株。値上がり銘柄数は1182、値下がり銘柄数 は412。

東証業種別33指数の騰落状況では、非鉄金属を除く32業種が高い。上昇 寄与度が高いのは電気機器、銀行、電気・ガス、輸送用機器、化学、医薬品、 小売、陸運、鉄鋼など。

米金融株指数は小反発

ポールソン米財務長官は3月31日、世界大恐慌以降で最も広範に及ぶ金 融規制改革を提案した。機能強化によって米連邦準備制度理事会(FRB)が 「市場安定」を監督することになり、これまでに比べて柔軟性が高く、市場の 混乱により効果的に対処できる構造だと同長官は指摘。「市場の混乱は不可 避」だとして、これに備えて監督システムを強化する必要があると主張した。

31日の米国株市場では、同案が金融市場の信頼感回復に役立つと評価され、 シティグループやJPモルガン・チェースなどの銀行株が上昇し、S&P500 種の金融株指数は前週末比0.9%高と5日ぶりに小反発した。ソシエテの吉野 氏は「第2の金融危機を起こさないためにはFRBの権限強化は必要だった」 と評価しており、東京市場でも自動車や金融株中心に買いが優勢となっている。

短観は下振れ

取引発表前に発表された3月調査の日銀短観では、景気が「良い」と答え た企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた業況判断DIで、大企業・製 造業がプラス11と昨年12月の前回調査の実績(プラス19)から悪化。ブルー ムバーグの事前調査であるプラス13もやや下回った。08年度の設備投資計画 (含む土地投資額)は、大企業・全産業が前年度比1.6%減と、昨年3月調査 の07年度計画(2.9%増、以下同じ)を下回った。

大和住銀投信投資顧問株式運用部の窪田真之シニアファンドマネージャー は、「短観は予想通りの悪化とは言え、厳しい。1月から景気後退に入ってい るかも知れないことを裏付けた内容だ」と述べた。ただし、日本株はすでに買 収価値を無視した水準まで売られているとし、「今後は景気が悪くなる中でも 株価は大きく下げない状況になりそう」(同氏)と予想している。

コナミは急伸、千代建は売り気配

個別に材料が出ている銘柄では、メリルリンチ日本証券が「買い」に格上 げしたコナミが急伸。ゴールドマン・サックス証券が投資判断を「買い」に引 き上げた船井電機、ドイツ銀行が新規に「買い」としたサンリオ、クレディ・ スイス証券が格上げした日立電線などもそろって上昇した。米クレジットカー ド大手のビザ(VISA)の株式公開に伴い、連結ベースで265億円の特別利 益が発生する三菱UFJニコスも堅調。

半面、業績予想を引き下げ、アナリストの格下げも相次いだ千代田化工建 設が大量の売り注文から制限値幅いっぱいのストップ安売り気配。業績予想を 減額したフジクラは急落した。

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