債券はもみ合いか、短観受け高寄り後は戻り売り-10年入札見極め(2)

債券相場はもみ合いとなりそうだ。前日の米 国市場で債券相場が上昇したうえ、朝方の日銀短観(企業短期経済観測調査)の 3月調査発表で景況感の悪化が示されれば、買い先行で始まる見通し。ただ、材 料出尽くし感が出て、高値圏では戻り売りに押されるとみられている。きょう実 施の10年債入札結果を見極めたいとのムードも強まりそうだ。

UBS証券チーフストラテジストの道家映二氏は、債券相場は高寄り後、伸 び悩む展開を予想。「日銀短観は、日銀シナリオの修正を迫る内容となろう。た だし、新年度入りで、高寄りなら利益確定売りが先行しよう」と説明している。

国際金融市場の混乱、日米景気の減速リスク、円高・ドル安の進行などを背 景に、市場では日銀の利下げを予想する向きが増えているという。

東京先物市場の中心限月6月物は、前日の通常取引終値140円52銭をやや 上回って始まり、日中は140円40銭-140円80銭程度のレンジが想定されてい る。3月31日のロンドン市場で6月物は、東京終値から6銭高い140円58銭で 引けた。

日興シティグループ証券チーフストラテジストの佐野一彦氏は、「短観が悪 ければ一段高後、伸び悩み。良ければ下押し後、反発」を予想している。

10年債入札に関しては、絶対水準の魅力は乏しいものの、①期初の好需給 ②目先は強気が多い相場観③割安さ―などから「セカンダリー(流通市場)を含 めた最終的な消化への不安は少ない」と分析した。

前日の先物相場は続落。前週末の米国市場で、株安・債券高となった地合い を引き継ぎ、日経平均株価の反落を受けて、買い先行で始まったものの、日銀短 観発表や10年債入札を控えて、警戒感が強まり、大引けにかけてヘッジ売りや 調整売りに値を崩した。現物市場では超長期債を中心に売りが膨らんだ。

この日は朝方発表の日銀短観が最大の注目材料。ブルームバーグ・ニュース 予想調査では、日銀短観3月調査の業況判断DIは、大企業・製造業がプラス 13、大企業・非製造業がプラス12と、いずれも昨年12月の前回調査の実績(プ ラス19、プラス16)から大幅な悪化が見込まれている。

ABNアムロ証券チーフ債券ストラテジストの市川達夫氏は、「短観は弱い 数字が予想されており、引き続き景気の先行きに懸念が残る。方向としては、債 券は買われやすい地合いが続くと思う」との見方を示している。

もっとも、「短観が予想の範囲内の悪化であれば、いったん材料出尽くしと なる可能性もある」(みずほインベスターズ証券マーケットアナリストの井上明 彦氏)ようだ。

10年債利回りは1.2%台後半で取引か

現物債市場で新発10年物の290回債利回りは、前日終値1.275%を若干下 回る水準で始まり、日中ベースでは1.2%台後半での取引が見込まれる。

三菱UFJ証券チーフ債券ストラテジストの石井純氏は、「長期金利は神経 質に上下する。朝方は日銀短観の悪化を手掛かりにいったん低下余地を探るが、 すぐに10年債入札に備えたヘッジ売りや持ち高調整売りに押し返される。無難 な落札結果の発表後は、期初の買いの思惑から弱含みに転じる」と予想している。

日本相互証券によると、31日の業者間取引で新発10年物の290回債利回り は、前週末比3.5ベーシスポイント(bp)低い1.235%で取引開始。その後は徐々 に水準を切り上げ、0.5bp高い1.275%で引けた。

また超長期債が下落。新発20年債は2.5bp高い2.075%、新発30年債は

3.5bp高い2.38%で引けた。

一方、10年物国債の290回債利回りは、東京時間の前日午後3時時点で、 大和証券SMBC、日興シティグループ証券、みずほ証券、三菱UFJ証券各社 の平均値であるブルームバーグ公社債基準価格(BBYF)によると1.275%だ った。

10年債入札、クーポンは1.3%か

財務省は、10年債入札を実施する。クーポンは前回3月4日入札の290回 3月債より0.1ポイント低い1.3%となる可能性が高いとみられている。発行額 は前回債と同じ1兆9000億円程度。

市場では、「クーポンが仮に1.2%でも1.3%でもまずまず無難な結果にな るとみている。日銀総裁が不在の中で利上げを行うことは考えにくいうえ、期初 に入り需要が増えるとみるからだ」(T&Dアセットマネジメントのファンドマ ネジャー、竹田竜彦氏)、「結果はよくて無難。テール(最低と平均落札価格と の差)は流れる可能性が高い。期初初日ということで、様子見する投資も多いだ ろう」(市川氏)などの予想が出ていた。

井上氏は、「10年債入札は、投資家の期初の買い姿勢を探る試金石」と指 摘、「無難に消化されれば、今月も10年債の1.2%、5年の0.7%の下限金利を 試す動きになる」と予想している。

また道家氏は、10年債入札について、「無難な結果を予想するが、債券相 場全体を押し上げる材料にはならないだろう」との見方を示した。

米国市場では米10年債が上昇

31日の米国債市場の10年債相場は上昇。1―3月期としては1995年以来 で最大の上げとなった。31日はシカゴ購買部協会の3月の製造業景況指数が2 カ月連続で製造業活動の拡大と縮小の境目である50を割り込んだことが買いを 誘った。

1日発表の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数が5年ぶりの低水準に 落ち込み、4日発表の3月の雇用統計が雇用減を示すとの見方が買いを誘った。 31日発表のミルウォーキー地区購買部協会の景況指数が2003年以来の低水準と なったことも買い材料。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時2分 現在、10年債利回りは前週末比2ベーシスポイント(bp)低下し3.42%。今月 17日には3.28%と、2003年6月以来の低水準を付けた。

米株式相場は反発。4営業日ぶりの上げとなった。原油相場の下落やシカゴ 地区製造業景況指数の改善に加え、米財務省が金融監督規制の改革案を発表した ことで、米経済が信用市場での損失拡大を乗り切ることができるとの期待が強ま った。

(31日の債券価格)                      前週末比      利回り
長期国債先物6月物         140.52        -0.15       1.386%
売買高(億円)             36038
10年物290回債            101.10                 1.275%(+0.005)
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