ドル安でも湾岸諸国はペッグ制維持-新たな危機招くより得策と判断か

中東の主要中央銀行は、ドルの記録的な安 値の代償は小さいとみているようだ。サウジアラビア金融庁のサイヤリ長官は 12日、ドルが対ユーロで1ユーロ=1.55ドルに下落した際、ドルは「買い」 との見方を示した。

アラブ首長国連邦(UAE)の中銀当局者が今月中旬、匿名を条件に明ら かにしたのは、自国通貨ディルハムのドルとのペッグ(連動)制維持の方針だ。 米国から事実上の圧力を受け、ペッグ制を続けることにしたという。

景気拡大に沸くサウジアラビアなど湾岸協力会議(GCC)に加盟する6 カ国ではインフレ率が平均7%超に達しているが、加盟国の1国であるクウェ ートに追随しペッグ制を廃止することでインフレ抑制に動く国は現れていない。

英銀HSBCホールディングスの湾岸諸国担当チーフエコノミスト(ドバ イ在勤)、サイモン・ウィリアムズ氏は、ペッグ制を廃止すれば、新たなドル危 機を引き起こす可能性を指摘する。そうなれば、湾岸諸国のドル建て資産5000 億ドル(約50兆円)の価値が急落することになりかねない。

同氏は、「湾岸諸国と米経済のデカップリング(非連動性)はあり得るが、 湾岸諸国は依然としてドルに束縛されている。湾岸諸国の政策当局者は現状維 持の問題点を認識しながらも、少なくとも今のところ、ペッグ制を続けるつも りのようだ」と述べた。

ドルは過去1年間、貿易加重ベースで13%安となっているが、ペッグ制継 続は主要経済からドルを切り離すことがいかに難しいかを示している。サウジ アラビアは、為替市場への介入を通じ、通貨リヤルを1ドル=3.75リヤルで 固定している。

湾岸諸国の中銀は今年2回、会議を開く。その最初の会議はカタールのド ーハで4月6、7両日に開催され、金融・通貨政策が話し合われる。GCC会 議前の昨年11月には、湾岸諸国が自国通貨を切り上げるとの観測がピークに 達していた。

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