プレスリーの名曲を歌っているような米株市場-上昇は続かない可能性

米株式相場は、エルビス・プレスリーとオ ーティス・ブラックウェルが手掛けた名曲「冷たくしないで(Don't Be Cruel)」を歌っているかのようだ。

S&P500種株価指数は、3月10日に付けた2006年8月以降の再安値か らは3.3%戻したが、1-3月(第1四半期)全体では10%下げたままで、 2001年以来で最悪の第1四半期となった。ダウ欧州株価指数、MSCIアジア 太平洋指数は年初からそれぞれ16%、10%下げている。

株式市場は、プレスリーが悲しそうに「本当の気持ち(a heart that's true)」と歌うかのように、S&Pのバリュエーション(株価評価)がほぼ20 年ぶりの低水準になっているとして一部の投資家の気を引きつけている。ブル ームバーグのデータによると、構成銘柄の利益予想を基にしたPER(株価収 益率)は14倍だ。

しかし、INGインターナショナル・グロース・オポチュニティーズ・フ ァンドなどの運用を担当するウリ・ランデスマン氏は「長期的に買い意欲が維 持されるとは思わない」と語る。「いくつか短期的な上昇局面があったかもし れないが、ショートカバーなどによる上げだ」と述べた。

ランデスマン氏によると、金融株や不動産株、消費者関連株の上昇は、過 去3週間の上昇が一部は空売りの買い戻しに支えられていることを示唆してお り、これは昨年11月や今年1月に見られた一時的な上昇時の根拠のない買い シグナルだという。企業業績が4四半期連続で悪化し、銀行の信用関連損失が 拡大するとの見方が広がるなか、株価は同じパターンを繰り返し、今年の最安 値に向かって下落する可能性がある、と同氏は語る。

企業利益は減少へ

ブルームバーグがまとめたアナリスト予想では、S&P500種の構成銘柄 の第1四半期決算では9.9%減益が見込まれている。第2四半期には3.1%の 減益が予想されており、02年以来で最長の減益局面となりそうだ。

ゴールドマン・サックス・グループやサンフォード・C・バーンスティー ン、リーマン・ブラザーズ・ホールディングスをはじめ12社以上のアナリス トが、大手銀行・証券各社の利益予想を下方修正している。サブプライム(信 用力が低い個人向け)住宅ローン市場崩壊に関連した評価損や損失が、現在報 告されている2080億ドル(約20兆7800億円)から一段と拡大するとの見通 しが背景だ。

ブルームバーグの調査によると、金融機関の第1四半期決算は51%減益に なると予想されている。今年初めのアナリスト予想(12.3%減益)に比べて約 4倍の減益率となる。

利益見通しを基にしたPERの低下で、買いの好機ととらえる市場参加者 もいる。リバーソース・インベストメントのチーフ市場ストラテジスト、デー ビッド・ジョイ氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「これは 何よりもまずバリュエーションコールだ」と話した。

これに対しハンティントン・マネジメントのポートフォリオマネジャー、 ピーター・ソレンティーノ氏は「足元の上昇はショートカバーだ」と指摘。 「ファンダメンタルズ(需給関係)で動いているわけではない」と述べている。

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