2月の鉱工業生産指数は2カ月連続の低下-先行きに慎重な見方(4)

2月の日本の鉱工業生産指数は、米国経済 の減速が鮮明になる中、電子部品・デバイスやパルプ・紙、輸送機械などの生 産を中心に2カ月連続で低下した。先行きの生産動向を示す予測指数は3月が 上昇、4月は低下と一進一退の展開ながら、市場では生産動向に慎重な見方が 多い。

経済産業省が31日発表した鉱工業生産指数(速報)によると、2月は前月 比1.2%低下し、108.2(季節調整済み、2000年=100)となった。前年同月比 では4.2%の上昇だった。同時に発表した3月の製造工業予測指数は前月比

2.0%の上昇、4月は1.0%の低下となった。ブルームバーグ・ニュースが事前 にエコノミスト32人を対象に調査したところでは、2月の予想中央値は前月比

2.0%低下、前年同月比では2.9%上昇だった(26人対象)。

政府は3月の月例経済報告で、景気回復は「このところ足踏み状態にある」 とし、2002年2月以降の景気拡張局面で3度目となる「踊り場」入りとの認識 を示した。踊り場脱却の鍵となるのが米経済の行方と生産・輸出の動向だが、 米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題に起因する金融市場 の動揺が続き、米景気後退が懸念される中、先行き不透明感は広がっている。

農林中金総合研究所主任研究員の南武志氏は発表後、「世界経済全体も、完 全に米国経済の悪化に従うわけでもないだろうが、減速することはほぼ確実で あろう」とした上で、「輸出・生産の足踏みは国内景気を停滞させる可能性が高 く、日本は景気後退までは至らずとも、08年度上期中は景況感の改善が乏しい 状況での推移を余儀なくされるものと思われる」と述べた。

品目別にみると、電子部品・デバイスは前月比4.1%減と、04年10月以来 の減少幅となった。アジア向け携帯電話用のアクティブ型液晶部品が5カ月ぶ りに減少したほか、市況の悪化の影響で半導体メモリーも減少した。デジタル カメラ、ノート型パソコン用の液晶も減少した。 また、パルプ・紙は、製紙会 社が古紙配合率を偽装していた問題を受け、需要動向とは別に生産が落ち込ん だ。輸送機械では、クラッチなどの米国向け自動車部品が減少した。

出荷・在庫

発表によると、2月の出荷指数は前月比2.6%低下、在庫指数は同0.1%の 上昇、在庫率指数は1.4%の低下だった。在庫は3カ月ぶりの増加となったもの の、上昇に最も寄与した業種は輸送機械で、主な理由は輸出の船待ちだった。

しんきんアセットマネジメント投信の宮嵜浩氏はブルームバーグテレビジ ョンに出演し、「出荷は2月に2.6%減少したが、生産よりも減少幅が大きくな っているので、出荷はあまり良くない。在庫は逆に小幅だが増加しているので、 2月の出荷と在庫を評価すればあまりいい数字ではない」との見方を示した。 さらに、「サブプライムとの関連を明確に言うのは難しいが、年明け以降の日本 の景気自体が下向きになっている。それを強く示唆する動き」と語った。

同省経済解析室の久武昌人室長は発表後の記者説明で、電子部品・デバイ スの先行きについて懸念材料はあるものの、「需給調整が常に起こる業種で、最 近は調整の仕方が巧みになってきている状況を踏まえると、今の時点で即、憂 慮して見ていることはない」と語った。また円高の影響についても、「足元の生 産に大きな影響が出ているというコメントは特段出ていないが、一段の円高傾 向が続けば商談に響いてくるとの幅広いコメントが見られた」としている。

一方、HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストは、電子部品・デバイ ス工業の出荷・在庫バランスが2か月連続で悪化していることに触れ、「通常の サイクルではバランスの改善がまだ継続してしかるべきタイミングに当たるが、 米国経済変調の影響による半導体を中心とした出荷鈍化で、バランスにピーク 感が出始めた可能性がある」と警戒感を示している。

判断は3カ月連続で据え置き

経済産業省は2月の統計を受け、「生産は横ばい傾向で推移している」とし、 3カ月連続で判断を維持した。製造工業生産予測調査の3月の予測値2.0%上昇 をそのまま当てはめると、1-3月期生産は前期比1.9%減少となる。

みずほ証券の清水康和シニアマーケットエコノミストは「4月の予測指数 も2期連続の前期比マイナスを示唆している」とした上で、「生産減少の長期化 を示し始めており、景気後退に向けて進んでいる」との見方を示す。

三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは、3月分 と4月分の製造工業予測指数で、5月、6月分を前月比ゼロで延長した場合の 試算では、4-6月期は前期比0.1%減少になると試算。その上で、「景気後退 が成立するのか、踊り場で済むかは大変微妙な状況になっている」と指摘して いる。

--共同取材 鎌田泰幸 Editor:Hitoshi Ozawa、Masaru Aoki

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