暫定税率切れ後のガソリン値下げ、対応は各社まちまち-石油各社(3)

ガソリン税(揮発油税)の暫定税率が今月末に期 限切れとなった場合に石油元売り各社がとる価格方針はまちまちとなっており、販 売店や中間業者の間に混乱が生じることが予想されている。

新日鉱ホールディングス傘下のジャパンエナジーやコスモ石油は28日までに、ガ ソリン税(揮発油税)の暫定税率が今月末に期限切れとなった場合、4月1日から の税負担額の変更に伴うガソリン価格の値下げ幅を1リットル当り22-23円にとど めることを決めた。Jエナジーの広報担当、高田正紀氏、コスモ石油の広報担当、 矢野達也氏がそれぞれ明らかにした。

揮発油税は、ガソリンが製油所から出荷された時点で課税される「蔵出し税」。 暫定税率の期限が切れると、4月1日以降の出荷は揮発油税分25.1円を値引く ことが可能だが、各社は油槽所など製油所外のタンクに揮発油税が課税された 在庫も抱えている。混乱を避けるためにこれらを相殺すると、各社とも値下げ幅 22-23円の値下げになるとしている。

一方で、石油最大手の新日本石油は製油所からの出荷分と油槽所からの出 荷分に異なる税額を適用する。期限切れとなった場合、製油所出荷分はこれまで 上乗せされていた暫定税率25.1円をそのまま卸値から差し引く。しかし、油槽所 から出荷する分については、3月末までにタンクに入れられた課税済みのガソリン 在庫がすべて払い出されるまでは、従来どおり暫定税率25.1円を上乗せした揮 発油税(53.8円)を適用する。3月末までの古い在庫分が完売して時点で、暫定 税率分を差し引いて販売するという。

都内で会見した中村雅仁常務は、それぞれのやり方に一長一短があると説 明。コスモ石油やジャパンエナジーが適用する予定の一本化方式では、最終的 に過不足が発生する可能性があると指摘。揮発油税は国税であることから、本来 の課税方法に沿ってやることが「社内の結論だった」と強調した。

製油所ない地域などで「相当の混乱」

しかし、中村氏はこの方法の適用では「相当混乱があると思う」と明かす。新日 石の製油所が近くにある地域の販売先と、ない地域の販売先の間で不公平性が 生まれるためだ。新日石は7製油所を保有するが、例えば九州などの販売店は近 隣に新日石の製油所がないため、油槽所からの調達を余儀なくされる。このような 場合、その油槽所が3月末までに溜め込んだ在庫をすべて吐き出すまでの間、 製油所に近いエリアにある販売店より25.1円高いガソリンを仕入れざるを得なくな る。

また、販売競争が激しい石油業界で、約23円安くガソリンを仕入れた他社の 販売店と競合することは、新日石系列の販売店にとって大きな重しとなる。新日石 はこの方針を今日以降、各販売店に伝えるという。

さらに東京のように、同社の根岸製油所(神奈川県横浜市)と市川油槽所(千 葉県市川市)の境目にあるエリアの場合、4月初めに多くの顧客が根岸製油所へ 殺到することにもなる。製油所では通常の出荷量を拡大して対応するとしている が、「想定している数量を上回った場合には対応は難しい」としており、暫定税率 が期限切れになったあとの状況は計り知れない。

中村氏によると、同社のガソリン出荷量全体に占める油槽所出荷分の割合は 55%と、製油所出荷分を上回るという。不公平性を解消するため、税率の高い油 槽所出荷分の課税前卸価格を製油所出荷分よりも割安に設定するような価格の 調整の実施については中村氏は明言を避けた。

ガソリン価格には不確定要素もある。4月のガソリンの卸売価格には揮発油税 の軽減分以外に原油輸入コストの増加分が加味されるため、実際の値下げ幅は この通りにはならない可能性がある。石油最大手の新日石は27日、原油価格の 上昇分として同月の卸値を1.8円値上げする方針をすでに明らかにしている。

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