サッポロ株主総会:買収防衛策を継続、攻防の舞台は直接協議へ(6)

米系投資ファンドのスティール・パート ナーズが株式買い増しを提案しているサッポロホールディングスの定時株主総 会が28日開かれ、約65%の賛成で「買収防衛策の継続」議案が可決された。 スティールはこれまで買収防衛策のルールが壁となり、サッポロとの話し合い をうまく進められなかったため、結果が注目されていた。両社の攻防は今後予 定される直接協議の場に舞台を移す。

村上隆男社長は総会後に開いた会見で、議決権行使比率の低下や株主構成 の変更などにより、「賛成票は3分の2を超えず、昨年からは3%下がった」 としながらも、「基本的にはわれわれの考え方に株主の支持が得られたと理解 している」と述べた。昨年は可決に必要な条件となる過半数を大きく上回る3 分の2超の賛成票を集めて、買収防衛策の導入が承認された。

今回の議決権行使比率は80.25%。昨年(81.3%)に比べ1%強下がった。 株主構成は昨年30%だった外国人投資家が今年は36.1%に上昇。一方、個人 株主が20.9%から16.4%と低下、「5000人ほど減った」(村上社長)という。

継続が承認された買収防衛策では新たな項目を盛り込んだ。大量買い付け 行為に対する重要な案件を審議する際、取締役の過半数の賛成だけでなく、 「出席する社外取締役の3分の2以上の賛成も必要」との条件を加え、「より 客観的な判断ができるようにした」(村上社長)としている。

買収防衛策継続「投資家にとって有益かは懐疑的」

買収防衛策の継続を受けて、新生証券の宮川淳子シニアアナリストは「サ ッポロの経営体制や事業戦略に大きな変化は当面予想されず、同業他社に比べ 弱い信用力にも短期的に影響を与えないだろう」とみている。だが、日本にお けるコーポレート・ガバナンス(企業統治)が十分とは考えられないなかで、 買収提案に対する経営判断を取締役会が担っていることは、投資家の利益を損 なう可能性がある」と指摘し、買収防衛策が「サッポロの信用力や投資家にと って有益であるかどうかは懐疑的」という。

スティールはサッポロの筆頭株主で発行済み株式総数の約18.6%を保有す る。昨年の総会では、スティールが株主提案として買収防衛策に反対し、他の 株主に賛同を求めて委任状勧誘を行うなど激しく対立した。今年は、スティー ルは株主提案を行っておらず、「前もって議決権を行使しているため、総会に も出席していないようだ」(村上社長)。

サッポロHの株主総会を受けてスティールは「特に総会についてのコメン トはないが、現在行っている株式買い増し提案のプロセスに注力しており、今 後の進展に期待している」(広報代理人プラップ・ジャパン松岡雅子氏)と述 べた。

サッポロの買収防衛策は「事前警告型」と呼ばれ、株式の大量取得(議決 権の20%以上)を目指す買収者に対して買収の狙いや必要資金の裏付けなどの 情報提供を要請するもの。サッポロは買収者に質問状を送付し、十分な情報が 得られたと判断すれば最大90日間かけて検討、外部専門家などの意見を参考 に買収計画に賛同するかどうかを決める。企業価値を損なうと判断した場合、 新株予約権の発行で対抗する。

協議の日程を調整中

スティールは今月10日、昨年2月に提示した買収案の内容を修正。TO B(株式公開買い付け)価格を1株825円から875円に引き上げ、サッポロ株 の取得を66.6%から33.3%に引き下げた。総会で重要議案を否決できない3 分の1未満の保有比率に変更し、当初の買収案に反対したサッポロ側に経営権 支配にこだわっていない姿勢を示した。

買収提案の修正を受け、サッポロはスティールと協議する方針を決めた。 初会合は総会後の日程で調整に入っている。村上社長は、「根幹部分に関する 修正をしており、協議でなぜ提案内容を変更したのかをまず確認したい」と述 べた。

議決権の基準となるサッポロの株主構成は、スティール分を含む外国人投 資家が36.1%とトップ。続いて国内金融機関が30.3%、その他法人が13.6%、 個人が16.4%、証券会社が3.6%となっている。

今回の決議事項は第6号議案「買収防衛策継続」のほか、第2号議案「取 締役10人の選任」での村上隆男社長の取締役再任、第3号議案「監査役4人 選任」での宍戸賢一氏(現サッポロビール常務執行役)の選任など計6つ。1 -5号議案は3分の2以上の賛成で可決された。

株主総会は午前10時に始まり、1時間17分で終了。昨年の2時間47分 に比べ、所要時間は大幅に短くなった。出席株主数は843人。過去最多の1157 人が出席した昨年から減少した。質問者も4人と昨年の20人から大幅に減り、 買収防衛策に関する質問は出なかった。

サッポロHの株価終値は前日比変わらずの825円。

--共同取材:上野英治郎、Editor:Masashi Hinoki、Tetsuki Murotani

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