ドルがお笑いの種になり始めたらピンチ、80円も視野に-W・ペセック

コメディアンたちがドル相場をネタにし始 めたら、黄信号だ。

NBC放送の番組「トゥナイト・ショー」のホスト、ジェイ・レノ氏のジ ョークはこうだ。「きょう5ドル紙幣について、面白い事実が判明しました。な んと、5ドル札は昔、10ドル札だったのです」。

HBO放送の「リアル・タイム・ウィズ・ビル・メイハー」のメイハー氏 は1セント硬貨の廃止をめぐる政治家たちの議論について、「1セント玉を廃止 しないで1ドルという名前にすればいいのさ。少しは金持ちになったような気 分になれる」と揶揄(やゆ)した。

米経済も世界の準備通貨であるドルも、そこまでひどい状態にあるわけで はない。と言っても、私が今週シドニーで出会ったブレット・コスグローブ氏 (47)には通用しない。シカゴのソフトウエア会社幹部の同氏とその旅行仲間 は、米ドルをオーストラリア・ドルに替えてその少なさに愕然(がくぜん)と した。「毎日、貧乏になっていくみたいだ」と同氏はこぼした。「これじゃ、米 ドルじゃなくて米ペソだ。気が滅入ってくる」。

12年ぶりの円高は、日本の当局にとってはさらに深刻な問題だ。あちこち でささやかれている次のような予想を聞いたら、当局者らは言葉を失うことだ ろう。ゲイン・キャピタル傘下のフォレックス・ドット・コムのデービッド・ リーバー氏ら一部トレーダーは、ドル・円相場が1カ月かそこらで1ドル=80 円近くに達することもあり得るとみている。

リーバー氏によれば、「すべての要素がドルに不利」だ。「金利、商品高、 サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題のどれを取っても、ド ルへの完璧な逆風だ」という。

日本銀行が今後数カ月以内に利下げをする確率は高まっている。日本の利 下げは円上昇のペースを少しは緩やかにするかもしれない。しかし、これは円 の問題ではなくドルの問題なのだ。経済の先行きに関する米国民の見通しは、 ニクソン大統領の時代以来の暗さだ。

海外旅行をする米国民は、両替の窓口に並ぶたびにがっかりする経験に慣 れなければならないだろう。日本の当局も円高を受け入れるしかない。デービ ッド・レターマン氏らコメディアンたちはドル安で笑いを取るのに困らないだ ろう。本当は笑い事ではないのだが。 (ウィリアム・ペセック)

(ウィリアム・ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニスト です。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

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