出光社長:来期営業益は約700億円、中計目標達成困難-マージン縮小

出光興産の2009年3月期の連結営業利益は700億 円程度となる見通しだ。08年3月期の予想480億円からは増益となるが、中期経営計画 に盛り込んだ目標(1090億円)には到達しない。石油製品の販売利益(マージン)の確 保が予想以上に厳しくなっていることが理由。同社の天坊昭彦社長がインタビューで明 らかにした。

原油価格が急激に上昇する一方、石油製品の販売価格に転嫁できずにマージンは縮 小している。その結果、同社は本業の石油製品部門で08年3月期に110億円の営業赤字 を計上する見通しとなっている。天坊氏は「原油価格の乱高下がなく比較的穏やかに行 けば、2007年度ほどの悪化はない」と話し、09年3月期の同部門の赤字脱却に期待を示 す。来期は石油製品部門の営業利益を300億円程度まで回復させることで、全体の営業 利益700億円確保を目指す。インタビューは26日に行った。

同社は05年5月に策定した中期経営計画で連結営業益を1400億円に設定したもの の、原油高や国内での石油製品需要減少見通しなどを理由に07年5月に1090億円に下 方修正していた。

大幅なマージン悪化が石油製品部門の収益にのしかかったことで、今期は出光だけ でなく、すべての国内石油会社が苦境に立たされた。ブルームバーグのデータによると、 アジアの指標原油である中東産ドバイ原油の価格は07年4月2日から08年3月27日ま での間に57%上昇。その一方で、同じ期間のレギュラーガソリンの全国平均小売価格(石 油情報センター調べ)は9.1%の上昇にとどまった。天坊氏は、国内需要が減少を続ける 一方で石油各社の製油所の精製能力に変化はなく、国内市場における販売競争が激化し ていることがマージン悪化の原因だと指摘する。

マージン改善策の柱となるのが、卸価格を指標価格連動で決める手法。これまで石 油業界では、原油の輸入費用など精製にかかるコストを積み上げたうえで個別に卸価格 を設定する方法が多く用いられている。しかし、販売先との間で価格調整に応じるケー スが多く、原油価格が急騰した場合などには輸入価格の上昇分をそのまま販売価格に転 嫁することが難しくなっている。

指標価格連動でマージン改善へ

天坊氏は「改めて新しい指標価格を作るよりは、すでにある東工取を上手に使うこ とが一番の近道だ」と強調し、従来のコスト積み上げ方式から、東京工業品取引所(東 工取)の先物価格に連動した卸価格決定方式に移行する方針を示した。

東工取先物価格のような透明性のある価格に連動させる方式を石油業界に広まれば、 いずれは「今日はこの値段でしか売らない、という形で売値を宣言するようになってい くと思う」と期待をにじませた。

さらに、昨年に石油最大手の新日本石油が東工取の市場会員になったことで、「(市 況連動方式の導入を)一緒にやろうというシグナルが出ている」と指摘。出光も21日に 東工取に市場会員資格の申請を提出した。東工取には中東産原油、ガソリン、灯油の3 つの石油商品が上場されている。

エンシャム石炭鉱山、フル生産再開は来年初め

出光興産が85%の権益を保有する豪州北東部のエンシャム石炭鉱山では、1月中旬 に発生した豪雨で採掘場が冠水し、一部の採掘エリアで生産は再開されたものの依然出 荷停止の状態が続いている。天坊氏はすべてのエリアで生産が再開されるのは、来年の 初めになるとの見通しを示した。この石炭鉱山では発電などに利用する「一般炭」が採 掘されており、07年度の生産実績は801万トン。

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